
目次
茶道の学びは「資格」ではなく「許状」を取得するのが基本
茶道には、資格試験も国家資格もありません。
茶道では、入門すると初歩の稽古から段階を追って進んでいきますが、稽古の各段階ごとに学ぶことを許可する「許状(きょじょう)」を申請し、取得するのが基本となっています。
これはいわゆる「資格」ではなく、お稽古で学べる内容を許可する「許し状」。身につけて学び終えた証ではないため、いわゆる修了証や免許のようなものではありません。
茶道の流派ごとに許状の内容、修道の過程は異なりますが、申請段階ごとに費用が異なり、1度の申請で数千円から数万円以上の費用がかかることもあります。
なお、裏千家では、これに加えて「許状」と対応した「資格」制度を設けています。これは、茶道を学ぶ人の習熟度を表すもので、入試の願書や就職活動の履歴書に記載しても社会的に理解が得られやすいようにという目的からです。この資格は、対応する許状を全て取得すると得られるようになっています。
<裏千家の許状種目と資格>
なお、カルチャーセンターなどで行われるカジュアルな茶道教室では、こうした許状の申請手続を行わない場合や、途中の許状段階までしか教えないケースもあるようです。通いたい教室がどの程度の内容まで教えてくれるかは、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。
許状の目標は日頃の稽古の励みになり、学ぶ内容がステップアップしていく喜びを感じられるでしょう。裏千家では、茶名取得までに7~10年程度を目安にしているようですが、これは稽古に通う頻度にもよりますので一概には言えません。
流派に関係なく受検できる「茶道文化検定」とは?
では、流派に関係なく取得できる資格はないのでしょうか? 実は、「茶道文化検定」というものがあります。
この検定は、茶道文化の知識を体系的に学ぶためのものです。点前の手順などについての出題はなく、茶道文化に関する知識のみを問われ、資格を取得すればそれを証明することができます。
ですので、これから茶道を始めようという人から、長年茶道に携わっている人まで、流派に関係なく受検ができるのが嬉しいポイントです。実際に、小学生から高齢の方まで幅広い年齢層の方が受検しているようです。
この検定を受検することで、茶道を通じて日本文化を幅広く学ぶことができ、価値観が多様化する国際化社会の現代だからこそ、自国の文化を深く広く身につけてほしいという実施団体の考えのもとで行われています。
レベルは1級~4級に分かれており、「茶のこころ」「茶の歴史」「茶事・茶会」「茶道具」「茶室・露地」「茶と禅」「茶席の花」「懐石」「菓子」「茶業」などの分野から出題されます。
年齢・性別・茶道経験・流儀等の制限はなく、4級または3級から受検し、合格をもって上位級の受検が可能となります。年1回実施の当検定は公式テキストも販売されているので、茶道に興味がある方は調べてみたり、挑戦してみてはいかがでしょうか?
■茶道文化検定ホームページ(実施団体:茶道文化検定運営事務局)
まずは茶道のお稽古体験で雰囲気をつかんで!
社会人になってから茶道を習う場合は、教室探しに一番苦労するといいます。かつては、生徒からの紹介でお茶の先生を見つけることが一般的だったようですが、今ではインターネットでも探すことが可能になっています。三千家(裏千家・表千家・武者小路千家)のホームページでは、稽古場を検索することもできます。また、カルチャーセンターなどでも茶道を気軽に学べるようになりました。
とは言え、実際に通う所を決めるのは難しいと思う方も多いでしょう。ここはひとつ、自宅や職場の近くなどに幾つかの教室があれば、ぜひ、体験や見学をさせてもらってはいかがでしょうか。
例えば、約2時間のお稽古無料体験では、手ぶらで行き、生徒さんの点てたお茶と季節の和菓子をいただくことができます。その時には、先生や、通っている生徒さんとお話をして、稽古場の雰囲気を捉えることも大事です。和気あいあいの教室も、ピンと張り詰めた雰囲気で学ぶ教室もあるでしょう。
もちろん、流派や費用、アクセスも教室を選ぶポイントになりますが、自分自身のフィーリングも大切にすれば、長く楽しく通うことができるでしょう。
興味はあっても茶道そのものが未体験で、いきなり教室に通うことがためらわれる場合は、1日体験のクラスや単発教室にまず参加してみて、そこから長期間かけて通える教室を探すのも良いかもしれません。
お茶の稽古を始める時に知っておきたい茶道の基礎知識について、こちらの記事でご紹介しています。