さまざまな種類のビンの画像

贈りものでいただいたワイン、自分用に購入したビール、旅先から持ち帰った日本酒焼酎…。あなたは普段、お酒をどのように自宅で保管していますか?

いくらお酒が好きでも、自宅に立派なワインセラーを持っている人は、まだごく一部ではないでしょうか?
では、ワインセラーなど専用の保管場所がない場合に、ボトルのお酒は一体どのように保管しておくのがベストでしょうか。

この記事では、さまざまなお酒の正しい保管方法をお伝えします。自宅でもっと美味しくお酒を楽しみたい方は必読です!

では、お酒の正しい保管方法を種類別に、
ワイン、日本酒、ビール、ウイスキー、焼酎の順で紹介していきましょう。

ワインの正しい保管方法

ワインには賞味期限がありませんが、瓶内で熟成が進むため、保管方法が味わいに大きく影響を与えます。そのため、なるべく刺激を与えない環境に置くことが大切です。長期保管にはワインセラーがあると安心ですが、購入後数ヵ月の間に飲むデイリーワインなら、あまり神経質になる必要はないとされています。

■開栓前のワインの正しい保管方法

<ワイン保管の基本条件>
温度:12~16℃、温度変化が少ないこと
湿度:70~80%
保管場所:光が当たらない暗所、振動やにおいがない場所が望ましい

■ワインの種類別 保管のポイント

スティル・ワイン(非発泡のいわゆる普通のワイン)

寝かせて保管するのが鉄則。ボトルを横置きにする理由は、コルクをワインに触れさせて乾燥を防ぐため。コルクが乾燥して収縮すると、ワインの酸化を進めてしまう可能性があります。

シャンパンやスパークリングワイン(発泡性のワイン)

立てて保管するのがベター。ボトルを縦置きにする理由は、コルクが長時間ワインに触れると細くなってガスが抜けやすくなるためです。コルク栓が乾燥に弱いため湿度が高い場所で、温度は10~15℃ぐらいで保管するのがおすすめです。振動には特に注意してください。

デイリーワイン

箱単位で買った際には、箱ごと横に倒して保管すればOK。温度は12~25℃くらいが目安。振動もそれほど気にしなくても大丈夫ですが、数ヵ月以内で飲み切るように心がけましょう。

大切なワイン

長期保存やワインの熟成までを考えている場合は、ワインセラーを購入することをおすすめしますが、セラーがない場合は、ワインを新聞紙で包んで霧吹きをかけ、発泡スチロールの箱に入れてガムテープでしっかり密閉し、床下収納庫や押し入れ(できれば北向きがベター)へ。ただし温度変化で劣化はしてしまうため、できるだけ早めに飲み切るのが賢明です。

また、冷蔵庫の冷蔵室は低温・低湿で振動も多いため、長期保管には適していません。しかし、野菜室は温度や湿度がやや高め。夏場に常温で置いておくのであれば野菜室で保管するのも良いでしょう。そして、冷やして飲みたい時には、前日に冷蔵室に移しましょう。

寝かせたワインの画像

■開栓後のワインの正しい保管方法

ワインは酸化や劣化が早いと言われますが、開栓後のボトルに再び栓をして保管すれば2~5日間ほど楽しむことができます。なかには翌日の方がおいしいというケースもあるので、あえてワインを残して味の変化を試してみるのもいいかもしれませんね。
なお、開栓後のワインボトルの保管のコツは「立てて保管」すること。横に寝かせるとワインが空気に触れる面積が増え、酸化が進みやすくなってしまいます。

<ワインの種類別 開栓後の保管のポイント>

  • 赤ワイン:コルクかストッパーで栓をして、なるべく涼しい室内に保管。
  • 白ワインとロゼワイン:コルクかストッパーで栓をして冷蔵庫で保管。
  • スパークリングワイン:しっかり栓をして冷蔵庫に立てていれれば、2~3日は鮮度が保てます。高品質なシャンパンであれば一週間以上もつこともあるとか。

開栓してしまったワインボトルに再び栓をする際にはストッパーが有効ですが、少量だと効果が薄れるので中身が半分以上残っている場合での使用がおすすめです。市販のストッパーには、シリコン製のものやボトル内の空気を抜くポンプ付きのものなど、さまざまな種類があります。
なお、コルクで栓をする時は、ワインと接していた方を下にするのがポイント。斜めにねじこむようにすると入りやすいです。

コルク栓を抜くコルク抜きの画像

日本酒の正しい保管方法

日本酒に賞味期限の記載はありませんが、製造時期の表示が義務付けられています
日本酒は高温と光に弱く、とてもデリケートなお酒なので保管には注意が必要ですが、風味の劣化は保管次第で防ぐことが可能です。特に日光や蛍光灯などの紫外線は日本酒の大敵
日本酒ブームなどにより、最近では家庭向けの日本酒セラーなども登場して話題になっています。

■開栓前の日本酒の正しい保管方法

<日本酒保管の基本条件(一般的な日本酒)>
温度:20℃前後、温度変化が少ないこと
湿度:70~80%
保管場所:光が当たらない暗所、振動やにおいがない場所が望ましい

■日本酒の種類別 保管のポイント

「生」と書いてある日本酒(生酒)

生酒は一度も火入れをしていないフレッシュな味わいが特徴。常温では瓶の中で生きている酵母が活性化してしまうため、劣化も早いです。冷蔵庫もしくは冷暗所で保管するのが基本ですが、冷蔵庫で1~2ヵ月は保管可能。

なお、「生貯蔵酒」や「生詰め酒」は、全く火入れをしていない生酒と異なり、火入れはしているものの(通常は2回のところ1回のみ)品質は変化しやすいようです。生貯蔵酒は冷蔵庫で2~3ヵ月、生詰め酒は冷蔵庫で1~1.5ヵ月程度で飲み切りましょう。

「生酒」以外の一般的な日本酒

一般的な日本酒は加熱処理をしているため、生酒ほど温度の影響を受けにくいですが、高温、日光や蛍光灯などは極力避け、できるだけ乾燥した冷暗所で保管します。基本的には賞味期限の記載がなく長期保管が可能ですが、美味しく飲める目安は約1年以内と言われています。

新聞紙などに包んで光をシャットアウトするのもひとつの方法です。「吟醸酒」や「大吟醸酒」など、冷蔵保存を推奨する日本酒もあるので、ラベルの指示に従いましょう。

お猪口に日本酒を注いでいる画像

■開栓後の日本酒の正しい保管方法

ボトルに入った飲みかけの日本酒は、栓をし直して保管します。酵母や微生物が生きている生酒の方が一般的な日本酒よりも劣化が早いので、保存期間の目安は短くなりますが、基本的には冷蔵庫での保管となります。

なお、日本酒のキャップは、瓶の口にプラスチック製の栓が刺さった打栓タイプと、金属のキャップを回して開けるスクリューキャップタイプの2種類が主になっています。

<日本酒の種類別 開栓後の保管のポイント>

  • 生酒:空気に触れると味がどんどん変化するので、冷蔵庫で保管し、できれば3日以内に飲み切りましょう。
  • 生酒以外の一般的な日本酒:開栓後は冷蔵庫で保管を。次第に酸味が強くなってくるため、1週間程度で飲み切るのがおすすめです。

ビールの正しい保管方法

さまざまな種類がありますが、基本的には新鮮で喉ごしの良いビールが美味しいとされています。つまり、できたてのビールが最も美味しく、日が経つごとにその風味が失われていきます。

■開栓前のビールの正しい保管方法

保管方法は、ビール瓶や缶のラベルをチェックしてそれに従いましょう。
基本的に、無ろ過や非加熱処理のビールは冷蔵庫で保管しますが、ラベルに「要冷蔵(●℃以下)」と書かれていれば、それに従いましょう。それ以外のビールも、室温の高いところや直射日光の当たる場所に置くと品質が劣化してしまうため、できるだけ冷暗所で保管します。
なお、ビールには基本的に賞味期限が書かれているので、それまでにいただくようにしましょう。日本国内のメーカーのビールは賞味期限を9ヵ月で統一しているようです。

■缶ビールと瓶ビールの保管方法の違いは?

缶ビールと瓶ビールでの保管方法に大きな違いはありませんが、缶ビールはアルミ製なので、ガラス瓶よりも熱伝導率が高いため直射日光は避けてください。瓶ビールは日光を遮るために濃い色をしていることが多いですが、それでも光には注意しましょう。

ベルトコンベアの上に並ぶビール瓶の画像

ウイスキーの正しい保管方法

ウイスキーは蒸留酒(スピリッツ)に分類されるお酒。原料のモルト(大麦麦芽)、もしくはグレーン(トウモロコシや大麦、小麦)を発酵させてから蒸留。その後、樽で長期熟成させるアルコール度数の高いお酒です。

■開栓前のウイスキーの正しい保管方法

ウイスキーは未開栓で保管状態が良ければ長期間品質を保つことができるため、賞味期限がありません
また、ワインなどと異なり、瓶の中で熟成が進むことはないので保管しやすいお酒だと言えますが、直射日光の当たる場所や温度が高い場所は避け、立てて保管します。箱があれば箱に入れたままにする方が安心です。
ただし、コルク栓を使ったウイスキーの場合は長期保管でコルクが劣化して中身が蒸発したり漏れたりすることもあるので注意しましょう。

ロックグラスに入ったウイスキーの画像

■開栓後のウイスキーの正しい保管方法

開栓してからは紫外線や酸素にできる限り触れないように保管しましょう。いつまでに飲まないと…という目安も言いにくいものですが、冷蔵庫保管は避け、常温で極力涼しく暗いところで保管します。

<ウイスキー飲む頻度別 開栓後の保管のポイント>

  • 週2~3回以上、日常的に飲む場合:自宅であれば最も涼しく、光の届かない場所に置きます。
  • 週1回以下、めったに飲まない場合:保管は冷暗所で。上記と同様。加えて、もともとワイン用に開発された道具(お酒の酸化防止用のガスが入ったスプレーで、これをシュッとビン内に吹き付けて、空気と液体が接触しないようにする)を利用するのもおすすめです。ワインはもちろん、日本酒や調味料(酢・醤油など)にも使えるので、ひとつ備えておくと役立ちます。

<バーボンは冷凍保管がおすすめ>

アメリカンウイスキーである「バーボン」は実は冷凍保管が向いています。バーボンの風味は焦がした樽から出るポリフェノールが主でアルコールや水分に溶け込んでいるので、蒸発に伴い風味も失われますが、冷凍することで蒸発を防ぐことができるのです。冷凍庫から取り出す際はアルコールと水分が分離している状態なので、いったん冷蔵庫に入れてゆっくり常温に戻し、飲む前にボトルを振ってから注ぎましょう。

棚に並ぶたくさんのお酒の画像

焼酎の正しい保管方法

焼酎も日本酒と同様に日本を代表するお酒です。蒸留酒である焼酎は、糖蜜やさつま芋、麦など、さまざまなものを原料にして作られています。それぞれ違った原料・製造方法だからこそ、特有の香りや味わいが楽しめます。

■開栓前の焼酎の正しい保管方法

焼酎はウイスキーと同様に賞味期限がありません。こちらも日光や温度の高い場所は避けるようにします。色付きの焼酎の瓶が多いのは日光から遮ることを目的としているからだとか。しばらく飲む予定がなければ新聞紙などで包んでおくのもよいでしょう。

また、冷蔵庫や冬の屋外などで保管すると、焼酎の中の旨味成分が凝縮し、オリが発生したり油が浮いたりする場合があるので避けましょう。

さまざまな焼酎の画像

開栓後のお酒の保管についてのポイント

お酒は開栓前の保管方法にもケアが必要ですが、開栓後のお酒を長持ちさせるコツは空気に触れさせないことです。そして適切な温度で保管すること。こうすることで劣化を防ぐことができます。

一度開栓したワインや日本酒は、小さな瓶に入れ替えてしっかり栓をすれば、液面が空気に触れる面積が少ないので酸化を防ぐことができます。空気に触れずに保存ができる専用の真空パック容器も市販されています。

また、ボトル内の空気をポンプで吸い出して真空にする便利なアイテムも市販されています。飲食店でもよく使われている“空気抜き”は、ワインショップやインターネット通販などで取り扱いがありますが、これは専用のキャップで栓をし、ポンプを使ってワインや日本酒の瓶内の空気を抜くことで、酸化・劣化を遅らせることができるというものです。

立てて保管されているビンの画像

正しく保管して、お酒をもっと美味しく楽しんで

この記事では、ワイン、日本酒、ビール、ウイスキー、焼酎の開栓前・開栓後の正しい保管方法を中心に紹介しました。

保管で一番大事なのは、酸化を防ぐこと。ワインや日本酒は他のお酒に比べるとデリケートですが、基本的なポイントを抑えると大きな劣化を防ぐことができます。

もし開栓後に残ったお酒の風味が落ちて飲むのに適さなくなった場合は、お料理にぜひ活用を!お酒は臭みを抑え、肉を柔らかくする効果もあるので、煮込み料理などに適していますよ。

<参考資料>

書籍
「シャンパン&スパークリングワイン完全ガイド」(小林史高 監修/池田書店/2011年発行)
「ワインの便利手帳」(井出勝茂 監修/ナツメ社/2013年発行)
「洋泉社MOOK 本気のビール」(洋泉社/2015年発行)
「日本酒完全バイブル」(ナツメ社/武者英三 監修/2015年発行)
「日本酒選びの教科書」(ナツメ社/竹口敏樹 監修/2018年発行)
「はじめての日本酒」(マイナビ/葉石かおり/2018年発行)

インターネット
家飲み派には必須品?バキュバンで日本酒を開栓後も長持ち!」(リカーページ)
ウイスキーの賞味期限、未開封と開封後でどう違う?劣化を防ぐ保管のコツ!」(macaroni)
焼酎に賞味期限はあるの?」(焼酎のひご屋 焼酎図鑑)
賞味期限のないウイスキーをおいしく保存する方法」(たのしいお酒.jp)
ワインのギモン」(もっと!ワイン)