なすやキュウリなど複数の野菜とぬか床の写真

腸内環境の改善に大活躍!「ぬか漬け」は栄養と植物性乳酸菌の宝庫

では、「ぬか漬け」の特徴について迫ってみましょう。

野菜や果物などの食物を「ぬか床」で漬けた「ぬか漬け」は、実は発酵食品。植物性乳酸菌が豊富な保存食として現在注目を集めていますが、どんな栄養価値があるのか、小野さんにうかがった内容から、3つのポイントをまとめてみました。

ぬか漬けの栄養価値(1)野菜のビタミンB1量が約10倍に増加

ぬか床中で野菜が漬かる際に、米ぬかに含まれるビタミンB1が野菜の中へ浸透するメカニズム。例えば、きゅうり(100gあたり=約1本分)に含まれるビタミンB1(0.03mg)はぬか漬けにすると約10倍(0.26mg)に増加します。

きゅうりに限らず、生野菜の状態より、ぬか漬けにした方がビタミンB1含有量が増加するそうです。

ビタミンB1含有量を表した図

食材に含まれるビタミンB1含有量。大根・きゅうりは生野菜の状態よりぬか漬けにした方がビタミンB1含有量が増加することがわかります。(資料提供:東海漬物 ※文部科学省 食品データベースより引用、ビタミンB1含有量は漬け時間により異なる)

ぬか漬けの栄養価値(2)ビタミンB1以外にも栄養成分が豊富!

ぬか漬けには、ビタミンB1以外にも栄養素が凝縮しています。小野さんによれば、「米ぬか」に含まれている「米油」にこうしたさまざまな機能性成分が含まれているそう。

主な栄養成分とその効果は次のとおりです。

  • ビタミンE・・・脂質酸化防止作用など
  • r−オリザノール・・・抗酸化作用など
  • フェルラ酸・・・抗酸化作用、紫外線吸収など
  • フィチン酸・・・抗がん作用、抗酸化作用、抗脂肪作用など
  • イノシトール・・・抗脂肪肝、動脈硬化予防、カルシウム吸収促進など

ぬか漬けの栄養価値(3)生きて腸まで届く!強い「植物性乳酸菌」

米ぬかと野菜の両方に含まれる植物性乳酸菌が、「ぬか床」の発酵とともに乳酸球菌→乳酸桿(かん)菌へとバージョンアップ。塩分濃度が高く過酷な「ぬか床」の環境を生き抜くことで、生きたまま腸まで届く強い防衛パワーを身につけます

そうした強い植物性乳酸菌が宿った漬物を摂取すると、腸内の善玉菌が増え腸内環境改善効果が期待できます。
腸内環境が良くなると、免疫力も高まり、アレルギー予防や整腸作用、疲労回復などの健康効果へつながるそうです。

漬物の野菜には食物繊維も含まれています。植物性乳酸菌と食物繊維を一度に摂取できるぬか漬けは、とても合理的で健康的な食品といえるでしょうね」と小野さん。

ぬか床由来のラクトバチルス・プランタラムの顕微鏡写真

ぬか床に含まれる植物性乳酸菌の「ラクトバチルス・プランタラム」。ぬか漬け特有の酸っぱさの素にもなっています。(写真提供:東海漬物)

植物性乳酸菌の「ラクトバチルス・プランタラム」が「腸内環境改善」「美肌」「集中力向上」に効果があることを漬物機能研究所がヒト試験で実証し、2017年に発表しました。「今後、老化予防や認知症予防との関係性など引き続き試験・研究したいと考えています。

現在、解明されているメカニズムは一部で、まだまだ漬物由来植物性乳酸菌は多くの健康パワーを秘めていると考えられます」と小野さん。

ところで、ぬか床の中には、どれくらいの植物性乳酸菌がいるのでしょう?

なんと、たった1gの中に約1億個の植物性乳酸菌が生きています!その数は、漬け始めからわずか1週間程度で爆発的に増え、発酵スピードが進んでぬか床が酸性になり、植物性乳酸菌以外の微生物が生きられない環境になるそうです。
数を増やし、自分たちにとって居心地の良い環境にしてしまう植物性乳酸菌の底力、凄いです!

ぬか床内での菌数変化を表したグラフ

ぬか漬けの発酵日数と植物性乳酸菌の数を示すグラフ(資料提供:東海漬物)

漬物とごはんの相性は抜群!偏った食べ方をしなければ塩分も気にしなくてOK

漬物といえば、日本料理店や料亭旅館などで和食をいただく際、ごはんとセットで出てくるイメージがあります。実は、ぬか漬けにも含まれている「ビタミンB1」は、ごはんの糖質を分解する酵素を助け、エネルギーに変える働きがあるそう。

小野さんも「ごはんを食べるときにぬか漬けを一品として加えるのは健康バランス的にもオススメ」とのこと。

ご飯の上にお漬物を添えている写真

ぬか漬け&ごはんの定番組み合わせは、栄養面でも理にかなっていることに。日本の食文化、改めて素晴らしいですね!

一方で、ぬか漬けに含まれる塩分を気にする声もあります。小野さんに確認したところ、ぬか漬けを美味しいと感じる「適度な塩分濃度」は「ぬか床の約5%」とのこと。この塩分濃度で漬けた場合、「きゅうりのぬか漬け1本(約100g)あたりの塩分量は1g程度」になるそうです。

厚生労働省が推奨するナトリウム(塩分相当量)摂取の目標基準値は18歳以上男性で1日8g未満、18歳以上女性が1日7g未満(日本人の食事摂取基準2015年度版より)なので、持病があり塩分を控えた方がいい場合や、極端に偏った食べ方をしない限りは気にしなくて大丈夫そうです。

ぬか漬けを自分の手で漬ければ塩分量の微調整が可能になり、より安心して召し上がっていただけます。
好みの風味や塩加減がわかれば、ぬか漬けがもっと美味しく感じられるはずです。

ぜひ手作りのぬか漬けにもチャレンジしてみてください」と小野さん。

続編記事「初心者でも失敗しない!日本の伝統食「ぬか漬け」のDIYライフ」で、ぬか漬けを自分で作るコツを小野さんに伝授していただきます。そちらも参考にしてください!

取材協力

企業名 東海漬物株式会社
漬物機能研究所
URL http://kyuchan.co.jp
http://kyuchan.co.jp/labs/
無料TEL 0120−623−336(東海漬物 お客様係)
受付時間 9:00~17:00(土日祝および年末年始・夏季休暇期間を除く)


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