ぬか漬けを作っている様子の写真

初心者にはハードルが高く感じる自家製「ぬか漬け」。
そのベースとなる「ぬか床」の作り方について、東海漬物株式会社「漬物機能研究所」で漬物の調査・研究・商品開発を長年行っている“漬物博士”小野 浩さん(農学博士)にお話しをうかがいました。

白衣姿の漬物博士の写真

“漬物博士”として活躍する東海漬物 漬物機能研究所 要素技術開発グループ グループ長の小野︎ 浩さん(農学博士)。専門は発酵学、応用微生物学。漬物機能研究所のサイトにさまざまな研究成果と論文が公表されています(写真提供:東海漬物)

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ぬか漬けビギナーには、いきなり本漬けができる便利な「ぬか漬けキット」がおすすめ!

「ぬか床」をイチから手作りする場合、確かにちょっと手間がかかるようです。

米ぬかに塩と水、唐辛子などの調味料を加えて混ぜ合わせる

野菜の切れ端などを漬けて取り出す作業を繰り返して熟成させる「下漬け」と呼ばれる過程を経る

「本漬け」を行う

これが従来のぬか漬けの始め方。
生の米ぬかから作ると、好ましくない微生物や虫が発生するリスクも否定できず、ぬか床の状態が安定するまで、数週間〜1カ月程度かかるそう。

“漬物博士”小野さんは約10年の歳月をかけて漬物を徹底研究。ぬか床に適した植物性乳酸菌を突き止め、ぬか床専用の液体調味料(特許製法)と画期的な「ぬか漬けキット」を開発しました。

大きな特徴は、多少の手間とリスクが否めない「下漬け」過程を省略して、いきなり「本漬け」から始められること。「手軽でおいしいぬか漬けを、大勢の人に楽しんでほしい」との想いが込められています。

こちらが、その「ぬか漬けキット」!

2種類のぬか漬けキットの写真

ぬか漬けキットとタッパの写真

東海漬物の「熟ぬか床」セット1500円(消費税、送料、手数料込)。独自製法のぬか床(1.2キロ)、専用プラスチック容器(2リットル)、補充用ぬか床(400グラム×2袋)のセット。ぬか漬けの作り方のコツを分かりやすくまとめた小冊子も付いています(写真提供上:東海漬物・下:ライター撮影)

キットを利用すれば、手間のかかる下漬けの工程を省略することができるので、ぬか漬けを気軽に始めることができますね。
続いて、「ぬか漬け」ライフの真髄となる、日々の「ぬか床のお手入れポイント」を解説します!

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ポイント【1】 ぬか床に適した温度は15〜25℃

寒いと動くのがおっくうになり、暑いと汗臭くなりやすいのが私たち人間。「実は、ぬか床もヒトと似ているんですよ」と小野さん。

「ぬか床の中にいる植物性乳酸菌と酵母は、私たち人間が快適に感じる温度を好みます。目安は15〜25℃。寒すぎると発酵スピードが遅くなり、逆に暑すぎると好ましくない乳酸菌が発生しやすくなり、嫌な匂いを放ったり、ぬかを変色させる原因になります」

小野さんによれば、ぬか漬け生活を始めるおすすめの季節は「冬」。室温がぬか床の適温に近い冬は温度管理がしやすいのだそうです。ただし、ストーブやファンヒーターの近くにぬか床を保管しないように注意する必要があります。

また、気温が25℃を超える「夏」は、冷蔵庫の野菜室でぬか床を保管するのが理想的とのこと。(冷蔵庫の野菜室の温度はメーカーや機種、庫内の保存量によっても異なりますが3〜8℃くらいが平均のようです)

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ポイント【2】 ぬか床の「かきまぜ」は“天地返し”がキホン

ぬか床のお手入れで悩むのが、「かきまぜ」の頻度とタイミング。ぬか漬けはかきまぜてナンボ!のイメージがありますが、小野さんは「毎日かきまぜなくても大丈夫。むしろ、ぐちゃぐちゃにかきまぜ過ぎないよう注意してください」と言います。意外ですね!

「ぬか床の植物性乳酸菌は、実は酸素が苦手。かきまぜ過ぎると酸素と触れ過ぎてしまい、乳酸菌にとって居心地の良い環境ではなくなってしまいます。逆にかきまぜを怠れば、乳酸菌がぬか床内部で増殖しすぎて酸味が強くなってしまいます」

理想的なかきまぜペースは、1〜2日に1回程度。表面側のぬかを下へ、下側のぬかを上へ入れ替える“天地返し”をまんべんなく行えばOK。野菜を漬けるときはぬかで蓋をするように覆い、ぬか床の中に空気が残らないよう、最後にぬか床の表面を手で軽く押さえるような感覚で平らにすればカンペキ!

また、“天地返し”には、香りのもととなる「酵母」の生育を活発にする意味もあるそう。ぬか床の表面が白っぽくなれば、酵母が育っているサイン。「白カビと勘違いしてぬか床を捨てないでください。表面が白くならないと、よい香りがしません」と小野さん。この「酵母」も適度にかきまぜることで良い香りが持続するそうです。

かまってあげ過ぎても、かまわなさ過ぎても「ぬか床」が育たない。奥深いです!

野菜の入ったぬか床をかき混ぜている写真

漬けた野菜を取り出した後に「天地返し」でかきまぜ、新たな野菜を漬ければ手間いらず

ところで、しばらく旅行などで家にいない場合はどうしたらいいのでしょうか?

小野さんによれば、「冷蔵庫で保管する場合は1週間程度かきまぜなくても問題ありません」とのこと。ぬか床をフリーザーバッグなどに移し替えて空気を抜き、冷凍保存すれば長期放置も可能だそう。その場合、凍らせたぬか床は常温で自然解凍してから再使用します。

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ポイント【3】 余計なものは入れない、入れっぱなしにしない

ぬか床の風味を豊かにするために、「昆布や唐辛子などを加えるといい」「ビールを足すと発酵が進む」など、さまざまなアレンジ方法を耳にします。小野さんに、ぬか床に加えてOK・NGな食品を確認しました。

【ぬか床に投入OK!】

  • 乾燥昆布、干し椎茸、煮干し・・・うま味が出てぬか床の風味が増します
  • 香辛料(唐辛子、山椒の実など)・・・雑菌を抑える効果があります
  • しょうが、にんにく・・・香りづけになる反面、ぬか床に香りが移りやすいので注意!
  • 卵の殻・・・ぬか床の酸味が和らぐ効果があります(1個分の殻を熱湯でゆでて必ず薄皮を取り除き、よく乾燥させてから細かくして入れること)
  • 塩・・・漬けた野菜の塩味が薄く感じた場合のみ加える(小さじ1〜2杯程度が目安)、塩辛くなりすぎると乳酸菌と酵母の生育が悪くなるので注意!

ただし、香辛料と塩を除き、長期間の入れっぱなしは腐敗の原因となり、おすすめできないそうです。(投入から2〜3週間程度を目安に取り除くようにしましょう)

【ぬか床に投入NG!】

  • ビール、ヨーグルトなどの液体状のもの・・・ビールの酵母、ヨーグルトの動物性乳酸菌はぬか床に適しません。後で取り除くことができない液体状のものは入れないように!
  • 生の魚介類や肉・・・カンピロバクター菌、腸炎ビブリオ菌などの微生物がいる可能性あり!

また、ぬか床を雑菌から守るために衛生面への配慮も大切です。

  • ぬか床を触る前に手洗いをする(ビニール手袋をつけて作業してもOK)
  • 漬ける野菜はよく水洗いして水気を切ってから入れる
  • 容器のフチや蓋をぬかが付着したまま放置すると雑菌が発生しやすいので、きれいに拭き取る
ぬか床を作っている写真

野菜を漬けたまま出し忘れてしまうのもNG。異常発酵の原因となりやすいので、かきまぜの際に出し忘れがないかをチェックをしましょう

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ポイント【4】 ぬか漬けの風味が弱い時は「ぬか床ベンチタイム」または「ぬか補充」を

漬けた野菜を何度か食べるうち、自分好みの「酸味(酸っぱさ)」「風味(香り)」が、なんとなく分かってきます。ぬか漬けの酸味は乳酸菌の生育バロメーター、風味(香り)の強弱は酵母の生育バロメーターにもなるそうです。

「風味(香り)が薄い・弱いと感じる時は、酵母の育成が進んでいない可能性があります」と小野さん。
野菜を入れたりかきまぜたりしないで、ぬか床を常温で1〜2日休ませてあげることも時には必要だそう。

また、「酸味」が強すぎると感じたり、葉もの野菜などの水分がぬか床に移って水っぽくなった場合、ぬか床の量が減ってきた時には、「ぬか」の補充を。最近は、塩や昆布などの調味料を調合済みのさまざまな「補充用ぬか」がスーパーなどでも売られていて便利です。

ぬか床と掘り返して野菜が露出しているぬか床の写真

ライターの私自身も「ぬか漬け」ライフに挑戦! 3カ月目の状態を “漬物博士”小野さんに診断していただきました。ぬか床の色や状態(写真左)、漬ける野菜の量(写真右:家族3人1食分)など「まったく問題なし」と太鼓判をいただきました。目安にしてみてください(ライター撮影)

なお、漬け始めは発酵が進んでおらず、「塩味」を強く感じやすいそうです。その場合は漬ける時間を短縮して調整を。逆に、想像以上に漬かりすぎて、しょっぱく感じた場合は、取り出した野菜を水に浸けて「塩抜き」したり、「細かく刻んでお茶漬けにして食べても結構おいしいですよ」と小野さん。

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ポイント【5】 意外な食材がぬか漬けと好相性!? 失敗を恐れず、漬けてみるべし!

ぬか漬けにするとおいしい定番野菜は、きゅうり、大根、にんじん、かぶ、なすびなど。ぬか漬けビギナーは、定番野菜からチャレンジすると失敗しにくいでしょう。なお、野菜の色がぬか床に移る場合もありますが、気にしなくてOKです!

【定番野菜の漬け時間の目安】

  • きゅうり・・・8〜10時間(1本まるごと漬ける場合)
  • にんじん、だいこん・・・20〜30時間(皮を剥いて縦4等分に切った場合)
  • かぶ・・・10〜20時間(十字の切れ目を入れた場合)
  • なす・・・10〜24時間(縦半分に切った場合)

冷蔵庫で保管する場合は目安よりも長めの時間、常温保存する場合は目安を基準に季節に応じて微調整して好みの漬かり加減を見つけましょう。

四角い皿に乗ったきゅうり、大根、ニンジンのぬか漬けの写真

漬けた野菜の切り方でも食感や味わいが微妙に変わります

小野さんによれば、ぬか漬けに向いていないのは「ゴーヤ、ネギ、玉ねぎなど苦味のある野菜」だそう。
他にも、おすすめの変わりダネと下処理のコツ、漬け時間の目安を聞いてみました!

【おすすめの意外なぬか漬け5選】

1.パプリカ・・・縦半分に切り、ヘタとタネを取って洗い、水気を切って漬ける(漬け時間12時間程度)

赤と黄色のパプリカの写真

程よい酸味と柔らかさがクセになります!彩りも鮮やかなまま楽しめるのでお弁当にもおすすめです(ライター感想/写真提供:東海漬物)

2.プチトマト・・・ヘタを取って丸ごと漬ける(漬け時間:1〜2日)

プチトマトの写真

甘みが増して濃厚な味わいに!中の種が破れて出てこないよう優しく扱うのがポイントです(ライター感想/写真提供:東海漬物)

3.アボカド・・・皮ごとよく洗って縦2つ割に。種を取って皮面を下にして漬ける(漬け時間:12〜24時間)

切られたアボカドの写真

少し固めのアボカドを漬けるのがおすすめ。アボカドらしいクリーミィで濃厚な風味がアップします!(小野さん談/写真提供:東海漬物)

4.プロセスチーズ・・・適当なサイズに切るだけでOK。冷蔵庫で漬ける(漬け時間:12〜24時間)

プロセスチーズの写真

燻製チーズのような独特の風味が楽しめます!おつまみにもおすすめです(小野さん談/写真提供:東海漬物)

5.ゆで玉子・・・ゆでてから殻をむき、丸ごと冷蔵庫で漬ける(漬け時間:12〜24時間)

4等分にされたゆで卵の写真

ぬか床から程よい塩味が移り、こちらも燻製のような味わい。サラダやおつまみに(小野さん談/写真提供:東海漬物)

「ご家庭でぬか漬けを作る醍醐味は、市販ぬか漬けでは食べられない、未知の野菜や食材を漬けて楽しめることです。もしもぬか床が傷んでしまっても、傷んだ部分だけ捨てて新しいぬかを足せば元気に再生します。失敗を恐れず、気軽にぬか漬けDIYライフを楽しんでください」(小野さん)

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まとめ

ぬか漬けDIYライフを初めて数カ月。個人的感想にはなりますが、ぬか床を触るのが楽しくなり、匂いも思っていたよりも気になりません。野菜や食材を漬ける→放置する→取り出す→洗って切るだけなので、とても手軽です。火も使うことなく、おかずが一品増え、サラダ並みにたくさんの種類の野菜を食べることができます。

しかも、食べるだけで、「腸活」になるので一石二鳥といえそうです!

ぬか漬けの歴史、栄養価値などについては「漬物博士に学ぶ!日本の伝統食「ぬか漬け」の魅力と底力」にくわしく書いています。ぜひ参考にしてください!

取材協力

企業名 東海漬物株式会社
URL http://kyuchan.co.jp
ぬか漬け専用ページ
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