「日本酒って、種類とかいっぱいあって、ムズかしいよね」という声をよく耳にします。
確かに日本酒は、純米酒、本醸造、吟醸、大吟醸、山廃、ひやおろし、中汲み・・・などなど、ラベルにいろんなことが書かれていて、ちょっとやっかいなイメージがあります。しかも、それらの知識の表面をなぞってすべてを理解するなんて無理!
「結局、どういうお酒を選べばいいのかわからない・・・」という状況に陥りかねません。
そこで、ビールよりワインより日本酒が好きな編集部 峯林が、居酒屋にふらっと寄ったときに、「これさえ押さえておけば、後は飲むだけ!」という初心者が失敗しない日本酒の飲み方・選び方のコツを、お伝えします。
目次
「純米酒」とラベルにあればよし!
アツき闘い!「純米酒」VS「本醸造酒」
日本酒は米でできたお酒です。日本酒には大きく2つの分類方法があります。
ひとつは、米の発酵を促すために、また旨みをより引き出すために米をどれだけ磨いたか、削った後の米の割合を表す“精米歩合”での分類です。米の削り具合で「普通酒」「特定名称酒」に分かれます。
この分類は気にしなくて大丈夫です。
問題は、アルコールを添加したか、していないかの分類です。
原材料が白米100%・水・米麹のみの天然の素材だけで醸される「純米酒」(下図のブルーの部分)と、そこに人工的な醸造アルコールを添加した「本醸造酒」(ピンクの部分)があります。ここはぜひ、覚えておいてください!
日本酒の分類
普通酒 原材料/米・米麹・醸造アルコール 特徴/本醸造、純米よりアルコール量が多く、精米歩合も高い |
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本醸造酒 原材料/米・米麹・醸造アルコール |
純米酒 原材料/米・米麹 |
特別本醸造 (精米歩合〜60%) |
特別純米 (精米歩合〜60%) |
吟醸 (精米歩合〜60%) |
純米吟醸 (精米歩合〜60%) |
大吟醸 (精米歩合〜50%) |
純米大吟醸 (精米歩合~50%) |
アル添(アルコール添加をこう呼びます)の本醸造酒は、さまざまな条件や出来具合により品質が左右されやすい「純米酒」よりも、味のバランスが安定する、また価格も安い、ということで非常にポピュラーです。
飲食店でも広く扱われていて、場合によっては、「お酒ください」とだけいうと、純米酒ではない「本醸造酒」が出てくる場合も少なくありません。
そんな事情のある中で、ではどんな日本酒を選ぶべきか?
というと、断然「純米酒」です!
米の旨みと香りを純粋に楽しめるのは「純米酒」であり、米の旨みと香りを楽しむことこそが、日本酒の最大の魅力だと思うからです。
最近は、純米酒に力を入れる酒蔵がグッと増え、居酒屋や和食店でも銘柄や産地などにこだわって沢山の種類をそろえています。
「居酒屋で純米酒を選ぶ楽しさ」が広がったのは、国内でもここ数年の変化であり、今って、本当にシアワセな状況だな~と思います。
米をとことん削れば、メロンの香り!?
純米酒の中でも特に「香りを楽しみたい!」というのなら、『純米吟醸』『純米大吟醸』を選んでみては。
日本酒の香りは、よくフルーツにたとえられますが、純米吟醸や純米大吟醸は本当に、梨だとかメロンだとかに似た甘くさわやかな香りがします。
ちなみに、“吟醸”は精米歩合が60%より低いもの、“大吟醸”は精米歩合が50%以下のものを指します。
大吟醸は元の米のサイズの半分以下になるわけで、とてもぜいたくなのですが、米をみがけばみがくほど、香り高い日本酒となるわけです。
※本醸造酒にも米の精米歩合で分類された『吟醸』『大吟醸』があり(冠に純米とついていない)、香りに関しては、むしろ純米酒よりもよい、とされる場合があります。
どちらを選ぶかは、個人の嗜好の問題なので、「純米大吟醸」と「大吟醸」を、一度飲み比べてみてもいいかもしれませんね。
よい日本酒は低温保存されている
日本酒は、高温多湿な場所で放置してはいけないお酒です。
『麹菌』という生き物で作られているため、保存の仕方で、ものすごく味が変わります。
というか、台無しになります。
居酒屋でも和食店でも、そして酒屋さんでも、冷蔵庫や冷暗所から出される日本酒を選んでください。
米の含有率が高い純米酒ならなおのこと。
陽が当たって暑くてムシムシするような場所から取り出されたものなどはNGです。
ワインも、薄暗く、低温が保たれているカーヴと呼ばれる貯蔵庫に保存されていますよね。
そのあたりは、すべての醸造酒に共通しています。
「お水ください」は恥ずかしくない!
日本酒はよく、“悪酔いするから”といって飲まない人がいます。
日本酒を飲んで悪酔いしている人を見ていて思うのは、飲みすぎなのではないか、ということ。
アルコール度数でいえば、15度前後、ワインと同じくらいです。
ガバガバ飲むものではないわけです。
とはいえ、確かに焼酎のように、“次の日にすっきり!”しないのが日本酒。
そこで、オススメなのが、日本酒に続けて水を飲む、いわゆる口直しの“チェイサー”です。
日本酒の場合は「和らぎ水」(やわらぎみず)と呼ばれています。
和らぎ水については以前、奈良にある有名な酒蔵の蔵元から教えてもらいました。「和らぎ水」だなんて粋な名前に感動しました。
日本酒でチェイサーする人は確かにあまり見かけません。
でも、「お酒に弱いって思われたくない」「かっこつけて・・・」と考えずに、ぜひ、きっぱりと「お水ください!」と店員さんに伝えてください。
あなたの一声で、悪酔いにさよならを。
日本酒は知識じゃない。出会いのもの!
日本酒を飲むコツ、いかがでしたでしょうか?
今回は、峯林の独断と偏見にて誰でもカンタンにできる基本をご紹介しました。
とは言っても、これ以上のコツは正直、特にありません…。
銘柄や製造法、米の産地、はたまた麹菌の種類まで、とことんこだわるのもいいですが、雑誌やSNSで紹介していた有名な日本酒を探してみるのもよし、たまたま入った居酒屋のおススメでもよし。
まずは、3つのコツだけで、ぜひ、うまーい日本酒との出会いを楽しんでいただければと思います♪