
奈良県と言えば何を思い浮かべますか?
やはり、奈良と言えば奈良公園の鹿だと思います。
奈良には鹿がいて、大仏があって、かつては平城京と言う名のもとで、都としての役割を大いに担い繁栄を極めましたが、その後の京都への遷都以降、歴史の中心舞台から離れ、現在に至っては、奈良県北部は大阪のベッドタウンとしての位置付けに甘んじています。
また、観光地としても京都に後塵を拝しているのが現状です。
そんな奈良県ですが、京都にも負けない素晴らしいものも沢山抱えています。その一つが食材です。
今回は、そんな以外と知られていない奈良の美味しい食材についてご紹介します。
京野菜に勝るとも劣らない大和野菜
「大和野菜」は、奈良県の名産品として、奈良の歴史や文化を受け継ぐ技・オリジナルの栽培方法により、味、香り、形態、来歴などに特徴をもつ伝統の野菜と大和のこだわり野菜を指します。
現在では、約25品目ある大和野菜の中でも、特に歴史を有する20品目が「大和の伝統野菜」としてブランド指定されています。
代表的なものとしては、あの古事記にも登場する「大和まな」、和菓子の材料にも利用される「大和いも」、良く締まった肉質としっかりとした食感が特徴の「大和丸なす」などが挙げられます。
全国的にも非常に希少な大和当帰
“トウキはセリ科の多年生植物で、その根を乾燥させた「当帰」は、多くの漢方薬や生薬製剤に使われる重要な生薬の一つである。トウキにはヤマトトウキとホッカイトウキの2系統があり、ヤマトトウキの方が品質が良いとされている。特に五條市の大深産のものが良品とされていたが、現在では、吉野地方でわずかに栽培されているだけになっている。”
引用:大和当帰の栽培について 大和当帰の総合情報サイト 奈良県公式HPより
江戸時代中期に、大和の隣にある紀州藩出身の徳川幕府8代将軍吉宗が、幕政改革の一貫としての薬種業の振興政策を行いました。
その過程で、各地に派遣された本草学者学者の植村佐平次や、吉野葛生産者で本草学者の森野藤助(森野通貞)らが、大和国(奈良県)で当帰を見出し、森野により当帰の栽培加工法が確立されました。
日本で自生している当帰のなかで、最も品質が良いとされるのが、この「大和当帰(ヤマトトウキ)」です。
風味・旨みのある奈良の金ごま
実は日本で使用されるごまは99.9%、海外からの輸入に頼っています。
そんな国内では希少なごまですが、実は奈良県の金魚の養殖で有名な大和郡山市でごくわずかに、この「金ごま」と呼ばれる品種が育てられています。
他のごまと比べて、風味・旨みがあるのが金ごまの特徴です。
奈良県を代表するこだわりの大和肉鶏
名古屋コーチン、シャモ、ニューハンプシャーの3品種を掛け合わせて作られた「大和肉鶏」は、コクと旨みがあり、肉の締まりが良く、適度な脂肪分を持つこだわりの地鶏です。
弾力性のある食感にやみつきになる人も多いと言います。
奈良県を代表するブランド地鶏で、大阪にも卸され、大和肉鶏を味わうことができる飲食店も数多く存在します。
奈良が誇るブランドイチゴ
奈良県はイチゴの生産も有名で、特に絶妙な甘みと酸味のバランスと、宝石のように鮮やかな色の「あすかルビー」が代表的な品種として挙げられます。
また、高級品種「古都華」はフルーティな香りと甘みで贈答用としても人気です。
あすかルビーと古都華は両方とも奈良で品種改良して誕生したブランドで、最近では、あすかルビーにかわって古都華に注目があつまっているようです。
古都華は2011年に奈良県農業総合センターで誕生しました。
香りがとても豊かで、甘味と酸味も強く濃厚な味わいで、甘いのに果肉はしっかりしていて歯ごたえがあるのが特徴です。
日持ちにも優れているので、お持たせにも良いです。
歴史と伝統の大和茶
806年に弘法大師が唐から持ち帰った茶の種が始まりとされるのが「大和茶」。
1200年の歴史を持つ大和茶は、流通量はさほど多くないものの、見た目、色味、香りなどに優れ、品評会では全国ブランドのお茶に負けない高い評価を得ています。
奈良県東北部の高原地帯である大和高原の山間地に茶畑が広がっています。
山間の冷涼地で、昼夜の温度差が大きく日照時間が短いといった、様々な茶生産に適した条件がこの品質の高い大和茶を産み出しています。
奈良県を訪れた際には是非、この美味しい食材の数々を味わってみてはいかがでしょうか。