ペルーでは、16世紀から始まったスペイン植民地時代をきっかけに、ヨーロッパやアジアなどから人が中南米大陸に足を運ぶようになり、定住するようになりました。
スペイン、イタリア、アフリカ、日本など、ペルーには数多くの国の文化が残されており、その中でも日本からペルーへの移民事業が始まって100年以上が経ちました。

そんな両国の間で生まれた、2カ国の味をかけ合わせた新スタイルの“日系ペルー料理”が今注目されています。
今回はその魅力についてお届けしたいと思います。

日系ペルー料理とは?

ペルーに移住した日本人が、ペルーの食材を使って和食を作っていたことがはじまりでした。
“日系ペルー料理”は日本からの移民やその子孫たちが、日本の食の技術とペルーの豊富な食材をかけ合わせたことで生まれ、ペルーでは「Comida Nikkei(コミーダ・ニッケイ)」という名で知られています。
コミーダとはスペイン語で“食事”や“料理”を意味し、ニッケイは“日系”のことを指しています。

また、日系ペルー料理はペルー人だけにではなく、世界で数多くの人々に愛されています。
というのも、日本にルーツを持つ数人のペルー人シェフの海外進出によって、アメリカやスペインでも日系ペルー料理専門店が増えています。

日系ペルー料理の特徴

日本で醤油、みりん、酢、日本酒を使うように、ペルーではAjí  Amarillo(アヒ・アマリージョ)、レモンやライム、生姜などを用いて、辛味と酸味のある料理に仕上げることが多いです。特にアヒ・アマリージョは、南米ボリビアやペルーなどでしか収穫できない黄色い唐辛子で、すごく貴重な食材です。生でももちろん、ペースト状や粉末状で使用したりとどの料理にも欠かせないアイテムです。

そしてこのペルーのアヒ・アマリージョやライムと、日本の醤油や日本酒をケンカさせることなく、絶妙な組み合わせで使っているのが日系ペルー料理です。また、調理法方として、日本の技術がたくさん使われています。てんぷらと同じように高温で揚げ物にしたり、寿司と同じようにネタを握ったり、麺類の定番メニューであるラーメンをペルーの食材で作ったりと様々です。

どんな料理メニューがあるの?

では、実際にどのような料理があるのでしょうか?ペルーで高いシェアを誇る日系ペルー料理専門店の人気メニューを紹介したいと思います。

レストラン名:Nikko Cebichería Nikkei(ニッコー・セビチェリーア・ニッケイ)

Ceviche Nikkei(セビーチェ・ニッケイ)

マグロとタコのセビーチェの一品。セビーチェはペルーのマリネ料理の一種で、こちらは“Tamarindo(タマリンド)”という酸味の強いフルーツで味付けしたもの。

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出典:Nikko Cebichería Nikkei Facebook

Tempura de plátano y mango(テンプラ・デ・プラタノ・イ・マンゴー)

デザート感覚で楽しめるてんぷらの一品。マンゴーとバナナを“Manjar Blanco(マンハール・ブランコ)”というペルーのキャラメルクリームでコーティングし、揚げたもの。

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出典:Nikko Cebichería Nikkei Facebook

Yakicucho de Pollo(ヤキクーチョ・デ・ポジョ)

日本の“照り焼き”とペルーの“Anticucho(アンティクーチョ)”をかけ合わせたもの。アンティクーチョはペルー風串焼きで、辛味のあるタレで味付けしているのですが、こちらは照り焼きの甘辛で焼いています。

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出典:Nikko Cebichería Nikkei Facebook

Rollitos Crocantes Primavera(ロジートス・クロカンテス・プリマベーラ)

日本語で“春巻き”のことを指しています。
春巻きの中には、ペルーの定番おかず“Lomo Saltado(ロモ・サルタード)”の牛肉と野菜の炒め物が入っています。

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出典:Nikko Cebichería Nikkei Facebook

レストラン名:Maido(マイド)

Tallarín Saltado de Pescados y Mariscos(タジャリーン・サルタード・デ・ペスカドス・イ・マリスコス)

ペルーでは魚介類の料理が人気なのですが、こちらは細めのパスタではなくうどんと合わせています。
うどんのような太麺に魚介類のエキスが絡みやすく絶品です。

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出典:Maido Facebook

Chupemushi(チュペムシ)

日本の“茶碗蒸し”とペルーのエビスープ“Chupe de Camarones(チュペ・デ・カマロネス)”をミックスしたもの。
海老の旨みが十分に味わえるチュペ・デ・カマロネスを、茶碗蒸しの独特なとろみで再現しています。

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出典:Maido Facebook

Misoshiru de Camarones(ミソシル・デ・カマロネス)

海老から摂った旨味と日本の味噌をかけ合わせ、ペルーの調味料で味付けした味噌&海老の奇跡のコラボスープです。

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出典:Maido Facebook

レストラン名:Osaka(オオサカ)

Osaka Ramen(オオサカ・ラーメン)

味噌ベースのラーメンに、醤油、日本酒、昆布、生姜で味付けたもの。その上にはチャーシューではなく、厚みのあるベーコンをトッピングしています。

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出典:Osaka Facebook

Inca Gyoza(インカ・ギョウザ)

こちらのギョウザは砂糖漬けして炒めたダックと玉ねぎに、中華風に炒めた椎茸が入っており、ギョウザのお供にウァンカーヨソースが付いています。
ウァンカーヨソースとは、アヒ・アマリージョやチースなどを使ったピリ辛のソースです。

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出典:Osaka Facebook

Udon Batayaqhi(ウドン・バタヤキ)

バターで焼いたうどんにパルメザンチーズ・魚介類を加えたもの。最後にかつお節をトッピングし、上からライムを絞っています。

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出典:Osaka Facebook

以上、今ペルーで注目されている日系ペルー料理専門店の人気メニューをお送りしました。
ペルーに初めて日本人が移民してから100年以上経ちましたが、当時ペルーで生活していた日本人たちは知らずに日系ペルー料理を食べて、新たな食文化を作り上げました。

そして、その新しい食文化を発展させ、日本のルーツを大切に引き継いできた料理人たちによって今の日系ペルー料理があります。

皆さんもぜひペルーに旅行に行かれた際に、日系ペルー料理を体験してみてはいかがでしょうか?