両手でHalalと書かれたボードを持っている女性の画像

「ハラル認証」は、専門機関による“ハラルフードである”という証明

上記以外にも、ハラルフードには厳密なルールがあるので、イスラム教徒(ムスリム)がハラル対応でない日本の飲食店で食事をすることはまず無理。そこで、彼らが店選びの目安としているのが「ハラル認証」です。

「ハラル認証とは」

宗教と食品科学の2つの面から、専門家が、ハラルであることを保証する制度が登場しました。それが「ハラル認証」という制度です。1970年頃マレーシアで始まったと言われています。

製造現場では、施設・設備が常にハラルである事、使用する原料が常にハラルである事が監査されます。そしてその製造現場で作られた製品がハラルである事を認証することになります。ハラル認証では従業員教育、組織としてのマネジメント体制の確認も求められます。現場の従業員、管理者の理解が不足していると、ハラルでないものが混ざってしまうおそれがあるからです。”

引用:一般社団法人ハラル・ジャパン協会

ハラル認証とは、いわば専門家からのお墨付き。
この認証を受けている店ならイスラム教徒(ムスリム)も安心して食事ができるというわけです。

ただし、ハラル認証を受けるには、「イスラム教徒(ムスリム)のオーナーまたはシェフが在籍している」「アルコールを販売しない」「提供しているすべての食材・調味料がハラルフードである」などの厳しい基準をクリアしなければならないため、取得はかなり難しいのが実情です。

ちなみに、ハラル認証機関は世界に200以上あるといわれ、日本にも複数ありますが、許認可や届け出などの設立における規制がないため、それぞれの認証機関独自で定めた基準によって認証を行っています。
ハラル認証を受けたい場合は、よく調べた上で機関を選定した方がよいでしょう。

イスラム教徒(ムスリム)のビジネス

ハラルフードは「安全で身体によい食べ物」であるという側面

ハラルフードは「イスラム教の教えにおいて許されている」ということ以外に、もうひとつの側面を持っています。

それは「清潔かつ安全に管理された、高品質・高栄養価で健康的な食べ物」であるということです。
ハラルフードは、神の教えに基づく食べ物なので、身体に悪いものなどそもそもあり得ないわけです。

食肉は、血抜きを施すため有害な菌やバクテリアの繁殖を防ぎ、鮮度も保たれます。
飼育環境や飼料についても厳格に管理されており、中国ではハラルミートを「安全肉」と呼ぶそうです。ハラルフードはイスラム教徒(ムスリム)だけの食べ物ではなく、万人にとってのヘルシーフードであるといえます。

イスラム教徒(ムスリム)向けの厳密なハラルフード対応の店づくりをするのは難しいかもしれませんが、こうした食材を上手に取り入れるのもひとつの手。
食の安全への注目度が上がるなか、ハラルフードの安全さを消費者にうまくアピールすることができれば、新たなマーケットが広がる可能性も大いに考えられるのではないでしょうか。

レストランや飲食店では、ハラル認証を取得しなくても、イスラム教徒(ムスリム)のお客様と直接コミュニケーションを取りながら食事対応している事例もあるようです。
今後は、どこまで対応するのか、あるいは対応しないのかを決め、マニュアルを作成したり、研修を行うなどの必要も出てくるでしょう。

ハラルフードは業界としてはまだ新しく、世界が注目し始めたばかりの市場。規制や制度、認証制度の面でもまだまだ変化が激しく、最新の情報収集が必要となります。

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