イスラム諸国の経済成長に伴い、海外に旅行するイスラム教徒が増加中。
日本にも、多くの信者が観光に訪れています。

厳しい戒律を持つ彼らを迎えるためには、食事や文化の違いへの対応が大きな問題となってきます。
イスラム教徒のお客様をおもてなしの心で迎えるためには、どう対応したらよいのでしょう?

今回は「ハラル認証」についての基礎知識、認証取得の方法などをご紹介します。

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ハラル認証とは?

ハラルとは、イスラム法で認められたもの、合法なもののことを指し、食品においてはイスラム教が禁じている豚肉、アルコールやその由来成分を含んでいないことが条件となる。また、それ以外でもイスラム教の教えに従って処理されていなければならず、調味料、原料まで遡ってハラル以外のものが使われていないか検証が必要となり、こうした条件を満たしていることをハラール認証機関が証明するのがハラル認証である。
引用:外食.biz

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引用:一般社団法人ハラル・ジャパン協会

経済成長&ビザ緩和により、来日するイスラム教徒が増加。ハラル対応の必要性が高まる

イスラム教徒の人口は世界の約23%、約16億人という巨大市場です。

いま、中東やインドネシア、マレーシアなどのイスラム諸国では、経済成長により海外へ旅行する人が増加しています。
2011年、イスラム圏47カ国の旅行者が海外で使ったお金は約10兆円でしたが、2020年には20兆円に倍増すると見込まれています。
※参照:ぐるなびPRO

日本では、2013年7月、東南アジア5カ国の観光ビザ発給要件が緩和されたことなどにより、イスラム諸国から来日する観光客が増加。

東南アジア6カ国(タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム)からの訪日客数は、2013年合計で約115万人、前年比48.3%増と大幅に伸びています。

グラフ
※参照:日経ビジネスオンライン2014/04/30

イスラム圏からの留学生も増加傾向。ハラル対応している学生食堂も多数

また、イスラム圏からの留学生も増えており、学生食堂でハラル食を提供する大学は、19大学にものぼります(全国大学生活協同組合連合会・2012年度調べ)。

メニューも、カレーや鶏肉のトマト煮などから、うどん、そばなどの和食まで多彩になってきています。

halal-menu03引用:全国大学生活協同組合連合会

観光客の玄関口である空港内では、礼拝室とともに、ハラル認証飲食店の設置が進む

全日空日本航空などの国際便では、事前申し込みに応じて、イスラム教徒のための特別機内食を提供しています。

また全日空では2014年1月より、機内食における「ハラル食」の世界最大手であるマレーシア企業と提携し、自社調理による独自ハラル機内食の提供しています。

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空港内の飲食店においても、ハラル認証を受ける店舗が少しずつ増えています。

ロイヤルグループの機内食会社・株式会社関西インフライトケイタリングが運営する「ざ・U-don」は、本格的な讃岐うどんのセルフサービス店で関西国際空港内店舗で初めてハラル認証を受けたお店です。

ざ・U-don引用:ロイヤルホールディングス株式会社 

また、グルメ杵屋では、関西国際空港にて「おらが蕎麦 関空エアロプラザ店」「信州そば処 そじ坊 関西空港店」と2つのハラル認証店舗を展開。

成田空港でも、既存2店舗を改修して認証取得し、2014年6月にオープンしました。

そじ坊引用:グルメ杵屋

※参照:日本経済新聞2014/5/30

ハラル認証取得の方法は、各認証団体によりさまざま

では、ハラル認証はどのように取得すればよいのでしょうか?

日本国内の認証機関は複数あり、取得までのプロセスや料金体系も各認証団体により異なります。
また、ハラルでは飲食店内でのアルコール提供は禁じられていますが、日本では難しいため、日本の現状に合わせた基準を設定している認証機関もあります。

下記は、ハラル認証取得の手続きの概要です。

  1. ハラル認証の書類提出
  2. 書類審査
  3. 工場および製品の監査
  4. 審議
  5. 認証取得

引用:日本貿易振興機構

認証機関のひとつである宗教法人 日本イスラム文化センター・ハラル認証委員会の方に、お話を伺うことができました。

「飲食店1店舗あたり、申請から認証書発行までは問題がなければ大体1~2週間、費用は20万~30万円程度となります。レストランのメニューやキッチンに改善の必要がある場合、レストランがきちんとハラール対応できるようになるまでアドバイスしたりもしています。」

ハラル対応の第一歩は、正しい知識を身につけ、異文化への理解を深めることから

今後ますます拡大が予想されるハラル市場。
各認証機関や取得支援団体が開催しているセミナーに足を運ぶなど、まずはハラルの正しい知識を学んで、異文化への理解を深めることからはじめましょう。

そして、認証取得を検討中の方はもちろん、「アルコールや豚肉を扱っているから無理だろう」とお考えの方も、まずは一度、認証機関に問い合わせてみてはいかがでしょうか。