クックビズ総研ライターJUNPEです。
7月26日に滋賀県の上原酒造さんで行われた「初呑み切りの会」に参加してきました。50種を超える品種をきき酒できるとあって、クローズのイベントなのに評判が評判を呼び、毎年、参加者はうなぎのぼり。その模様をお伝えします。

比良山系のふもと、琵琶湖のほとりに蔵を構えて150年余

きっかけは、大阪の左党(※1)の間では知らぬ人はいない八尾市の「三井酒店」さん。店主の三井聖吉さんにごお声かけいただき、上原酒造さんの「初呑み切りの会」に参加できることに。社内の非公式同好会「日本酒の会」に所属するGOUTENさんと私。期待値は高まるばかりです。

大阪駅からJR新快速で北上。京都、大津京を過ぎ、右手に琵琶湖の青、左に比叡山の緑を眺めつつ、ちょっとした遠足気分です。

上原酒造さんは、江戸時代末期に創業した伝統ある酒蔵。琵琶湖の西北─、琵琶湖のカタチを靴下に例えると(ん?適切でない?)、ちょうど前足首の付け根っこあたり(下図)に位置します。

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こちらが上原酒造さん。

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後ろを振り返れば、1200m級の比良山系の山々が。ここで使う仕込み水は、この比良山系の伏流水を使用しており、店を入ってすぐ左に湧き水を引き込んだ水場があります(写真)。平成の名水100選のひとつで、ミネラルが少なく、日本酒にはぴったりの水質なのだそう。

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「かばたの湧き水」。水筒持参なら持ち帰れます。この方は酒処「日本酒 うなぎだに」(大阪・心斎橋)の店主。なかなかの男前です♪

いざ「初呑み切りの会」に参戦!56種もの利き酒にトライ

すでに蔵内は、人で溢れかえっており、さらにテンションが↑↑

「初呑みきり」とは、そもそも冬に仕込んで貯蔵したタンクのお酒を抜き出して、酒質や熟成を調べるために利き酒をし検査すること。貯蔵タンクの「呑み口」を切ることから、そう呼ばれます。

上原酒造さんでは、例年、タンク貯蔵(熟成中未出荷)、出荷前の商品(瓶貯蔵の商品)、出荷中の商品をきき酒し、タンク貯蔵の商品の中から、参加者の評価の高いものを、その年の「ひやおろし」(※2)として出荷するか、アンケートを含めて選考資料にしていらっしゃいます。

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そのため蔵にとっては重要な行事。毎年、酒販店や卸業、飲食店などお酒のプロや、そこのお得意さん、上原酒造を愛飲するファンが一堂に集まります。

蔵内にしつらえた会場には、酒瓶とお猪口がズラ~リ。会場で陳列酒一覧表とアンケート用紙を受け取り、いざ─。
今年は56種。すべて呑むと酔っ払いますが、強者GOUTENさんは、すべて胃袋におさめていました。
私はほかの方と同じく、含んで、ころがして、用意されたバケツへ。とはいうものの、特に美味しいと思うお酒はゴックン!幸せな気持ちです~ヽ(´▽`)/

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女性陣は、未出荷酒の「純米吟醸(山廃・生)26BY(ブルワリー)、雄町(岡山)精米歩合55%」に人気が集中。女性をほっこりさせていましたヨ~。私もコレがナンバー1。アンケート用紙にしっかり書き込みました。

女性陣は、未出荷酒の「純米吟醸(山廃・生)26BY(ブルワリー)、雄町(岡山)精米歩合55%」に人気が集中。女性をほっこりさせていましたヨ~。私もコレがナンバー1。アンケート用紙にしっかり書き込みました。

上原酒造さんの強みは、手間暇が相当にかかる山廃(やまはい/※3)にこだわった造りを行っていること。もちろん山廃以外の商品もありますが、これほど手間暇かかる造りをしながら、品種が豊富な蔵にはなかなか出会えません。

時代の流れに逆らった古き良き「造り」へのこだわりが、「不老泉」の旨さのヒミツ

蔵も見学させていただきました。まずは入口にドドンと置かれた木桶。2003年から木桶仕込みを復活させました。

現在、木製を採用している酒蔵はめったにないです。木の方が柔らかく香り豊かになるそうです。

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こちらはしぼりの工程で使われる槽(ふね)。発酵させた醪(もろみ)は、しぼられて酒と酒粕に分けられるのですが、この工程は、現在、多くのところで機械化されています。

ところが上原酒造さんでは、この工程も昔ながらの木槽天秤しぼりを採用。機械より3倍の時間がかかり、しかも機械の85%しか搾りきれないのですが、雑味は酒かすに残り、お酒は透明感のあるすっきりした味わいになるのだとか。

天秤につけられた石の重みでゆっくりと圧をかけて酒をしぼります。

天秤につけられた石の重みでゆっくりと圧をかけて酒をしぼります。

こんな大きな槽(ふね)は見たことがないです。しかも柿渋塗りで重厚感にあふれています。

こんな大きな槽(ふね)は見たことがないです。しかも柿渋塗りで重厚感にあふれています。

とにかく、時代の流れにとことん逆らった酒造りを実践している上原酒造さん。木桶や槽(ふね)、天秤も、手入れが大変なはずで…。今時、こんな古式の道具を修理したり、作っているメーカーさんも少数派なわけで。きっとそこに関わる職人さんたちも、「不老泉」になくてはならない方々なのだろうなぁと感じました。

次は冬に来たいなぁ。きっと蔵ではプツプツという醪(もろみ)のつぶやきと、淡いような甘いようなお酒の芳香が充満しているはず。
快く取材を許可いただいた上原酒造さん、ご案内していただいた三井酒店さんに感謝です!ありがとうございました。

店内ではお気に入りの1本を買うことができます。※季節によって、ない場合もあります。

店内ではお気に入りの1本を買うことができます。
※季節によって、ない場合もあります。

なお、今回の初呑み切りの結果が上原酒造さんのブログで公開されています。
http://furo-sen.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-14ea.html
これを参考に今後不老泉を買い付けてみてはどうでしょうか?

※1:左党
江戸時代、大工や鉱夫は右手に槌、左手にノミを持つことから右手のことを「槌手」、左手のことを「ノミ手」と言いました。このノミ手と飲み手が語呂合わせで、お酒飲みのことを「左党」や「左きき」と言われるようになりました。
出典:上戸・左党ってなんで大酒飲みって意味なの? – SAKETIMES

※2:ひやおろし
冬にしぼられた新酒を春先に一度だけ加熱殺菌し、夏を越して熟成させたお酒。出荷前の2度目の火入れはなく、秋にしか味わえない日本酒。

※3:山廃(やまはい)
「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」が正式名称。蔵に棲みつく天然酵母の力を借りて酒母をつくる生酛(きもと)系の手法。生酛を作るときに行う、蒸した米、麹、水を混ぜ粥状になるまですりつぶす手間のかかる「山卸」の工程を省いたものを呼ぶ。現在は、乳酸を添加して、より効率的に酒母をつくる速醸酛系が一般的。
出典:「生酛(きもと)」「山廃」とは、どのような日本酒か – 日本伝統文化スタイル

関連情報

■上原酒造「不老泉」

滋賀県高島市新旭町太田1524
http://furosen.com/

■三井酒店

大阪府八尾市安中町4-7-14
http://mituisaketen.justhpbs.jp/
今回の初呑み切りの情報を頂いてご一緒させていただき、蔵の案内と解説までして頂きました。

■日本酒 うなぎだに

大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目3-28
https://www.facebook.com/nihonsyuunagidani
常時100種類近くの日本酒を取り揃えているおすすめのお店です。