
居酒屋に行くと、すぐさま「ビールと枝豆ください!」と注文する人も多いはず。お通しの定番として提供されることも多い枝豆は、酒の席には欠かせない食材ですね。日本人にとって身近な枝豆ですが、最近では日本食ブームの波に乗って、「EDAMAME(枝豆)」として世界中でも広く親しまれるようにもなっています。
今回はそんな「枝豆」の魅力について、歴史から美味しい食べ方まで解説します。
目次
枝豆の正体は「大豆」って知ってた?
青々とした枝豆の見た目からはなかなか想像できませんが、枝豆の正体は「大豆」です。正確には大豆になる前の「未熟豆」ですから、枝豆が完熟すれば大豆になります。
驚くべきなのは、とても短い収穫期間
枝豆は6月〜9月が旬。約1週間〜10日程度の期間で収穫を終えなければなりません。適期を過ぎると次第にサヤが黄色くなり、味や品質が損なわれてしまいます。枝豆農家さんは、タイトなスケジュールの中で最も美味しい状態を摘み取っているわけです。
枝豆の種類は3種類
枝豆には、大きく分けて「白毛豆(青豆)」「茶豆」「黒豆」の3種類あります。
私たちが普段から口にしている鮮やかな緑色の枝豆は白毛豆(青豆)です。味・形・大きさ・産毛の色・収穫時期などの違いから、枝豆の品種はなんと400種類以上あるといわれています。
各地で盛んなブランド枝豆の栽培
全国各地で独自のブランド枝豆が栽培されています。よく知られているのは、山形県・庄内地方の特産品「だだちゃ豆」でしょうか。
ほかにも、青森県・津軽地方で栽培されている「毛豆」は、粒が大きく栗のような甘さが特徴。また、「丹波篠山黒大豆」は流通期間が短く手に入りにくい高級品。正月用の豆煮に利用されることが多く、真っ黒で艶やかな姿は漆黒のダイヤモンドのようです。
産地を旅行などで訪れる際には、ブランド枝豆を使った地元料理を味わってみたいですね。
枝豆は遥か昔から食されていた!
つづいて、枝豆の歴史を掘り下げていきましょう。
枝豆が日本で食され始めた時期は、奈良時代〜平安時代にまでさかのぼります(ただし諸説あり)。日本で独自に栽培が進んだのか、中国では4,000年前から大豆が栽培されていたことから、中国から日本に伝来したものなのか、まだ正確にはわかっていないようです。
一般庶民の食卓に枝豆が登場したのは江戸時代
江戸中期に出版された文献に「夏に枝豆売りの姿が見られた」という記述が残っており、江戸っ子にとって枝豆が身近な食材だったことが伺えます。
現代では枝から外された状態、冷凍食品であればサヤからも外された状態で売られているのが一般的な枝豆ですが、江戸時代は枝に付けたまま茹で上げて提供されていたそうです。サッと茹でて、すぐに食べられることから、今でいうファーストフードのような感覚で人気だったとか。
ちなみに、「枝豆」という名前はこの食べ方に由来しています。
最初は庭先や畦道(あぜみち)で栽培されていたことから「畦豆(アゼマメ)」と呼ばれていましたが、枝付きの状態で販売される姿が広まり、「枝付き豆」「枝豆」と呼び名が変化していきました。
「枝豆×ビール」が人気となる昭和30年代
定番の組み合わせ「枝豆×ビール」は昭和30年代が始まりだといわれています。ちょうど電気冷蔵庫が一般家庭に普及して、家庭でもキンキンに冷えたビールを楽しめるようになった時代です。さらに昭和40年代に入ると、減反政策の影響で稲作から枝豆栽培に切り替える農家が増え、枝豆が市場に多く出回るようになったことも重なり、定番化しました。
「枝豆×ビール」の王道コンビは、今もなお広く親しまれています。
そして空前の日本食ブーム
最近では「日本食」が世界的に人気です。枝豆はいまや世界中で親しまれており、海外のレストランでも「EDAMAME(枝豆)」の表記でメニューに載っています。塩ゆでではない、ユニークな食べ方も人気だそう。オリーブオイル・ニンニク・鷹の爪を傷めた中に枝豆を入れてさっとからめた「ガーリック枝豆」やクリームチーズと枝豆を混ぜて味付けした「クリームチーズ枝豆ディップ」などの創作料理もあるとか。
枝豆の美味しさの真髄は「ゆで加減」にあり!
居酒屋では季節に関係なく枝豆がメニューに登場していますが、夏場(旬は6-9月)にはスーパーでも簡単に手に入ります。自宅でお酒を楽しむ「ウチ飲み愛好家」の人のために、美味しいゆで方も解説しましょう!
<おいしい枝豆のゆで方>
- ハサミを使ってサヤの端を切る。
- たっぷりの塩でもんで、うぶ毛を落としたらしばらく放置。
- 大きな鍋に多めのお湯を沸かし、沸騰したら塩を少量加える。
- 塩もみした枝豆を、塩を洗い落とさないまま鍋へ投入。
- 沸騰してから「4分」ゆで、火を止める。
- 素早くザルに揚げて、粗熱でほどよく火を通す。
ポイントは「ゆで加減」です!
沸騰して4分経ったら火を止めて、素早くザルに取ります。
ゆで過ぎてしまうと旨味も栄養素も流れ出てしまうので注意が必要です。
短い時間で簡単に出来るので、栄養不足になりがちな夏場にはうってうけの料理ですね。
見た目で良い枝豆を見分けることができます!
状態の良い枝豆は「鮮やかな緑」と「ほどよい膨らみ」が特徴です。
色がきれいな枝豆は美味しい証拠。実が膨らみすぎているのは香りが薄いので避けたいですが、「ほどよい膨らみ」を見分けるのはなかなか難しいもの。参考程度に覚えておくといいですよ。
ひと粒に込められた、枝豆の深い魅力
日本では夏の風物詩である枝豆。
実は「大豆」で、栄養価も高く、奥深い歴史背景があることなどついて説明してきましたが、いかがでしたか?気軽に手に入るので「枝豆」の魅力についてこれまであまり考えたことがなかった人も、今夏はご紹介した美味しいゆで方のポイントを参考に、ぜひ家でゆで立ての枝豆を冷えたビールと一緒に楽しんでみてください。