
みなさん「チーズ」はお好きですか?
ピザに、パスタ。お菓子に、チーズフォンデュ。
私たちの生活に欠かせない美味しい食材。
それがチーズです。
しかし、私たちは、そんな普段お世話になっているチーズのことを本当に一部しか知らなかったのかもしれません。
(出典:Woman excite)
目次
チーズの歴史は紀元前にまで遡る
チーズの歴史は紀元前8世紀の古代ギリシャ時代まで遡ると言われています。
そのころからワインとチーズはペアで貴族たちの楽しみとして食されていました。
その証拠の1つともなっているのが詩人ホメロスの叙事詩『オデッセイ』の一節にある以下の文章です。
「美の女神アフロディーテがゼウスの娘ヘレネをチーズとワインと甘い蜜で育てたためにヘレナは輝くばかりの美しさと知性を与えられた」
ヘレネ(左)
(出典:楽天BLOG)
チーズの種類は大きく分けて2種類
チーズの種類を大きく分類すると「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2種類です。
ナチュラルチーズ
(出典:ギャザリー)
プロセスチーズ
(出典:家ワイン)
ナチュラルチーズは加熱処理を加えていない、まだ発酵が進んでいるチーズのことで、プロセスチーズはナチュラルチーズを加熱し再度固めたチーズです。
それぞれにメリットデメリットがあり、一番は「味の変化」です。
ナチュラルチーズは加熱処理をしていないので発酵に必要な菌がまだ存在しており、冷蔵庫で保存していても発酵が進み味が変化していきます。
もちろん、種類によってその変化具合は異なりますが、プロセスチーズにはそれがありません。
ナチュラルチーズには多くの種類があるのでご紹介しましょう!
フレッシュチーズ
(出典:FROMAGE)
熟成させないために、クセが少なく、料理やお菓子に最適なチーズです。
生乳に酵素や乳酸菌を加えて固め、水分を抜くと完成です。見た目は豆腐に近い感じもします!
モッツァレラチーズ
(出典:バリグー)
イタリア産のチーズ。
「モッツァレラ」はイタリア語で「引きちぎる」という意味で名前の通り、成形する時に引きちぎって成形します。
一般的に「チーズ王国」と言われるのはフランスですが、チーズの起源はイタリアとされており、その中でもモッツァレラチーズは代表的なチーズです。
本来は水牛の乳で作られますが、水牛の乳で作られたものはとても高価なので(水牛自体が希少なため)今では牛の乳で代用した「モッツァレラ・ディ・ヴァッカ」が主流になっています。
味、臭いともにクセがなく、パスタ、ピザ、グラタン、サラダどのような食材・料理とも相性がよく、魚と一緒に食べるのも絶品です。
マスカルポーネチーズ
(出典:世界のチーズ専門店オーダーチーズ)
イタリア産チーズ。
昔は冬季限定のロンバルディア地方の特産品でしたが、今ではイタリア全土で生産されています。
写真のようになめらかなペースト状で、硬めの生クリームのような食感と、酸味と甘みが抑えられた上品な甘みとコクが特徴的です。
酸味や塩分が少ないので比較的いろんな料理に使用されます。
逆に、クラッカーなどの味の薄いものと一緒に食べることはあまりありません。
リコッタチーズ
(出典:Tredente)
南イタリア発祥のチーズ。
リコッタ(ri-cotta)とはイタリア語で「二度煮る」という意味。
通常のチーズは生乳にタンパク質凝固物質を添加して固まったものを使用するがリコッタはそのとき残った水分(乳清)を再度煮詰めて作るのでこの名前がつきました。
二度煮詰めているので、とても脂肪分が少なく健康志向の方に好まれるチーズです。
香りはあまりしませんが、さっぱりとした甘みと豆腐のような食感が特徴的で、そのまま食べても、オーブンで焼いて食べてもOKです。
ウォッシュタイプチーズ
チーズの中でこれほど好き嫌いがわかれるほど匂いのあるチーズはありません。
その名の通り、塩水などで洗って作るチーズです。
(出典:ギャザリー)
表面についている菌の量を調整するために洗うのですが、かなり強烈な匂いを発します。
ただし、匂いがきついのは表面だけで中は比較的匂いは弱くなっているのであまりにも匂いがダメな人は表面を取り除いて食べるのがいいかと思います。
洗う際には塩水の他にワインやビール、ウイスキーなどを使う地域もあるようで、かなり手間暇かけて作られたチーズです。
ルイ
(出典:PRESIDENT)
フランス ブルゴーニュ地方のチーズ。
乳酸菌を使用して熟成しており、燻製のような刺激臭がします。
中身は納豆のようにネバっとしていますが、ミルクの甘さが目立つマイルドな味です。
赤ワインにとてもよく合うチーズですが、臭いが苦手な人が多いようです。
マニゴーディン
(出典:https://antenna.jp/news/detail/1604412/)
フランス サヴォア地方のチーズ。
マニゴ谷というところで製造されているのでこの名前がついています。
モンドールというチーズに味がとても似ており、モンドールは冬から春にかけて販売されるのに対して、マニゴーディンは夏に販売されるので「夏のモンドール」と言われています。
臭いはきついですが、トロトロとした舌触りが美味しいチーズです。
マロワル
(出典:料理 de famille)
フランス ティエラッシュ地方にあるマロワル村で作られているチーズ。
7世紀頃に村にある修道院で作られたのが最初とされており、1000年以上の歴史があります。
はっきりとした塩味、独特のクセがとても個性的でワインよりもビールに合うチーズとしても人気です。
ただ、この個性の強さはウォッシュタイプのチーズの中でも突出しています。ご注意を!
ハードタイプチーズ
水分含有率が38%以下のチーズの総称です。
型に入れてから重しをして、水分を抜いて作られます。
アニメなどで代表的な、ネズミさんが大好きな穴の空いたチーズは「エメンタール」というハードタイプチーズです。
(出典:ホワイントニングWHY?)
そのままでも十分美味しいですが、熱を加えて溶かしてもまた違ったマイルドな味わいが楽しめます。
イベリコ
(出典:世界チーズ商会株式会社)
スペインのチーズ。
通常1種類のミルクで作られるチーズですが、イベリコはヒツジ、ヤギ、牛のミルクを混ぜて製造されています。
クセがなく、ヒツジミルクのコクと、牛乳の甘さが合わさったクリーミーな味わいで、薄く切っておつまみにするもよし、サンドイッチに挟むもよし、燻製にしても美味しいチーズです。
パルミジャーノ・レッジャーノ
(出典:kate channel)
イタリアを代表するチーズ。
イタリアチーズの王様とも言われており、その見た目通り、とても硬いです。
数年かけて熟成させるので風味が非常に豊かで、かけるだけで料理の味が格段に増すことからイタリアでは「台所のハズバンド(夫)」と呼ばれているようです。
セミハードタイプチーズ
水分含有率38%~46%のハードタイプよりも少し水分の多いチーズです。
保存性が高く、発酵が比較的ゆっくりと進むので味が変わりにくく、また自己主張が少ないので他の素材との相性も抜群!
チーズのフォンデュの定番です。
チェダー
(出典:ippin)
元来はイングランドのサマセット州チェダーで作られていてチーズ(今では世界中で製造)
第二次世界大戦中のイギリス経済統制のためにチーズ生産は「官製チェダー」1種類だけになったために今日イギリスのチーズ市場はチェダーの売り上げが全体の51%を占めています。
はっきりとした刺激の強い味が特徴で、グラタンやオムレツなどの料理の具材としてオーブンで焼いてもよし、細かく刻んでサラダに入れてもOKです。
ペパージャック
(出典:FROMAGE)
アメリカ ウイスコンシン州で作られているモントレージャックというプレーンなチーズにブラックペッパーなど数種の香辛料を練りこんだチーズ。
アメリカのチーズバーガーでは欠かせないチーズで、肉料理にとても合います。
香辛料のほのかな香りが食欲を高め、辛味は弱いので子供から大人まで楽しめる味です。
もちろん、ビールにも合います。
ゴーダチーズ
(出典:CHEESE BOOK)
オランダの代表的なチーズ。
ロッテルダム近郊の町ゴーダで作られていたことからこの名前がつきました。
オランダのチーズ生産量の60%を占めており、クセが少なく、マイルドで日本人には比較的親しまれているチーズです。
オムレツ、グラタン、フォンデュ、お菓子など、何にいれても美味しい万能チーズでオーブン料理に適しています。
青カビチーズ
2000年以上の歴史を持つチーズです。フランス最古のチーズとも言われ、ローマ貴族もワイン片手に青カビチーズを楽しんだと言われています。
ご存知のとおり、クセが強く塩辛いので苦手な人はいますが、この塩辛さがワインとの相性抜群です。
塩辛さが苦手な型はクセの少ないフレッシュチーズと混ぜて食べると塩辛さが軽減されます。
ゴルゴンゾーラチーズ
(出典:オーダーチーズ)
イタリアのロンバルディア州のゴルゴンゾーラ村で作られているチーズ。
三大ブルーチーズのひとつでもあり、青カビチーズの代表格です。
「ゴルゴンゾーラ・ピッカンテ」はピッカンテが辛いの意味で青カビが強く辛味が強いく、「ゴルゴンゾーラ・ドルチェ」はドルチェが甘いの意味で青カビが少なくクリーミーな味わいなので、青カビチーズに慣れていない人はドルチェを食べることをお勧めします。
その塩味を生かしてリゾットやピザにのせて焼いてもよし、甘味を生かしてパイやケーキの材料としてもよしです。
ロックフォール
(出典:オーダーチーズ)
2000年以上の歴史があるフランス最古のチーズ。
美しい女性を見かけた羊飼いの青年が洞窟に持ってきたパンやチーズを置きっぱなしにして女性をおいかけ、戻ってきたらチーズにカビが生えていたことが始まりという伝説があります。
昔から模造品が多く、15世紀のシャルル7世の時代には模造品を作った人を罰する法律も制定されました。
「チーズの王」「チーズの皇帝」などと揶揄されることが多く、そのしっかりとした旨みと塩味、なめらかな舌触りと口溶けは絶品です。
ブルー・デ・バスク
(出典:Casa di Arrecria)
フランス産のチーズ。
フランスとスペインの国境付近のバスク地方で作られていることからこの名前がつきました。
青カビ由来の辛味もありますが、それ以上にチーズ自体の風味が特徴的で、パスタソースやピザとの相性バツグンです。
白カビチーズ
青カビチーズよりも歴史は浅いですが、1000年ほどの歴史があります。
もっちりとした舌触りとマイルドな味が特徴的で「カマンベール」と言われるチーズもこの白カビチーズの一種です。
カマンベール
(出典:mamapan)
日本人の舌には最も合うチーズと言われています。
バラカチーズ
(出典:熊本お米王子のブログ)
フランス イル・ド・フランス地方産のチーズ。
フランスでは縁起が良いとされている馬の蹄型で、贈り物などに使われることも多いチーズです。
食べ方はなんといっても生が一番。
常温に戻して蜂蜜やジャムをかけて食べると、ふわっとした食感とバターのような濃厚差が相まってなんとも言えない贅沢な味わいになります。
ブリーチーズ
(出典:TOP BUYER BLOG)
フランスのブリー地方の白カビチーズ。
1000年以上前から作られています。
8世紀西ローマ皇帝のシャルルマーニュが絶賛したり、ルイ16世はフランス革命後に馬車で国外へ逃げる際に捕らえられた市長宅にて、「食べ物は何が欲しいか」と聞かれて「ブリー・ド・モー」を要求したという逸話があるほど美味しいチーズ。
クセは少なくとても濃厚な味わいです。
「チーズでできたお菓子」と言われているのでそのまま食べるのがおすすめです!
シェーブルタイプチーズ
チーズは通常、牛の乳から作られますが、このシューブルタイプチーズは違います。
この「シューブル」とは「山羊」のことでシューブルタイプチーズは、その名の通り、山羊乳を使用したチーズです。
クセがあり、苦手な方も多いようです。
ただ、多くのチーズ好きは最終的にシューブルに行き着くと言われており、そういう意味では究極のチーズなのかもしれません。
バラット
(出典:ちょこっと料理とハーブのある話)
フランスのアキテーヌ地方のチーズ。
バター作りの道具(バラット)に形が似ていることからこの名前がつきました。
チーズというよりも、固めのヨーグルトのような味と食感で、とてもクリーミーです。
ヴァランセ
(出典:飛び出せKitchen)
フランス中心部ヴィランセ村で作られているチーズ。
特徴的な四角すいの形には逸話が残されていて、元々はピラミッド型だったがエジプト遠征に失敗したナポレオンの怒りを買い、先を切り落とされてこの形になったと言われています。
表面の黒いのは木灰できつい匂いを抑えるためにまぶしてあります。
熟成すると酸味が弱まり、甘味とナッツの香りがします。シチューに入れると美味しいですよ。
ピコドンチーズ
(出典:http://item.rakuten.co.jp/otokonodaidokoro/ch-ar-33-42/)
フランスのロール・アルプ地方で作られているチーズ。
中世プロヴァンス語の「辛い」を意味する「ピカン」と「甘い」を意味する「ドゥ」を合わせたのが名前の由来で、熟成が浅い時は甘く、熟成が進むと辛くなります。
熟成するに従って味が変化するチーズはたくさんありますが、ここまで劇的に変化するチーズは稀です。
熟成が進むととても硬くなるので、その場合はオリーブオイルに漬けておくとやわらかくなります。
この様に、チーズには私たちが知っている以上に多くの種類があります。
スーパーに並んでいるものはほんのごくわずかなのです。
好奇心旺盛な方は、ぜひ近くのチーズ専門店を探してみてください。
見たこともないチーズの世界が広がっています。
参考:http://shikakuu.com/food/somurie.html
参考:http://www.pablo3.com/cheesebook/