コーヒーを入れている様子

愛知県岐阜県は人口あたりの喫茶店数が多く、喫茶代の年間支出額も高いことから、喫茶店を利用する習慣が根付いたエリア。
特に、朝食でコ―ヒー1杯を注文するとトーストやサラダなどたくさんの”おまけ”が付いてくる独特の「モーニング」は、全国的にもユニークな喫茶店サービスとして知られています。
今回は、そんなユニークな喫茶店文化についてご紹介します。

喫茶店年間支出額、全国1位 岐阜市・2位 名古屋市

全国で喫茶店の店舗数の多い都道府県トップ3は次のようになります。

<喫茶店の店舗数ランキング>
1.大阪府   9,337店
2.愛知県   8,428店
3.東京都   6,999店
出典:「平成26年経済センサス‐基礎調査結果」(総務省統計局)

また、喫茶店数の人口比で見てみると、トップ3は次のようになります。

<人口1千人あたりの喫茶店数ランキング>
1.高知県   1.56店
2.岐阜県   1.43店
3.愛知県   1.33店
(全国平均   0.55店)
※人口は、「人口推計(平成26年10月1日現在)」(総務省統計局)

総務省統計局の「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市※ランキング(過去3年間の平均)」を見ると、年間の喫茶代支出においてトップは岐阜市です。続いて、名古屋市、東京都区部と続きます。

<1年間あたりの喫茶代支出ランキング(2015年~2017年)>
1.岐阜市    16,013円
2.名古屋市   12,350円
3.東京都区部  10,195円
4.横浜市    9,665円
5.神戸市    9,216円
6.川崎市    8,190円
7.堺市     8,001円
(全国平均    6,282円)

どのランキングにも愛知県と岐阜県が上位にランクインされていることから、この2県がまさに”喫茶店王国”だと納得いただけるのではないかと思います。

「コメダ珈琲店」など、愛知や岐阜発祥の喫茶店チェーンの人気と広がり

トーストとコーヒーの画像

愛知県発祥の喫茶店チェーンといえば「コメダ珈琲店」。いまや国内のみならず海外展開も進める巨大チェーンに成長している喫茶店です。愛知県内にはその他にも、市内に9店舗ある純喫茶の「コンパル」、約30店舗を構える「支留比亜(シルビア)珈琲」など、純喫茶にこだわるチェーン店が数多く存在します。

長年続く老舗喫茶店チェーンだけでなく、ここ数年急速に東海地方に店舗を増やしているチェーン店もたくさん出現しており、勢いがあります。その一つが昭和53年創業の「珈琲屋明楽時運(あらじん)」。もうひとつが「珈琲屋らんぷ」です。これらは東海地方で「コメダ珈琲店」に続く店舗数を誇っており、連日賑わっています。どちらの店舗も古民家風なのが特徴で、年配層でも気軽に行くことができる雰囲気です。

2000年代からは全国的にシアトル系コーヒーショップが激増しましたが、愛知や岐阜を中心に展開する喫茶店チェーンはそもそもの思想が違います。店内には雑誌、新聞、スポーツ紙が豊富においてあり、「モーニング」には小倉餡がのったトーストが提供される、“純名古屋スタイル”が貫かれ、根強い人気を集めています。

愛知・岐阜の喫茶店では「モーニング」サービスが常識

サラダ、ベーコンエッグ、トースト、コーヒーの喫茶店のモーニングの画像

愛知県や岐阜県の喫茶店に共通するのは「モーニング」サービスです。これは、朝の時間帯にドリンクを注文すると、トーストやゆで卵が無料でついてくるサービスのことを言います。愛知・岐阜の大型喫茶チェーン店では、トーストにゆで卵というシンプルなセットの場合が多いのですが、個人経営の喫茶店に行くと、過剰サービスなのでは!?と思えるほどボリュームたっぷりの「モーニング」が提供されることもしばしばです。

過剰サービスの傾向は名古屋市内よりも、「モーニング」発祥の地といわれている一宮市や岐阜市の周辺地域の方が強いとも言われています。例えば、おにぎりにみそ汁のサービスがある店、はたまたカレーライスのサービスがある店、お寿司のサービスがある店など、バラエティ豊富です。

最近登場した注目トレンドは「アフタヌーン」サービス!

女性が二人コーヒーカップを手にしている画像

最近では「モーニング」だけでなく「アフタヌーン」サービスを行う店も現れ始めています。店によっては「ティータイムサービス」と呼ぶことも。午後の時間帯にドリンク代だけで、ケーキやパフェ、和スイーツなどがついてくるサービスを指します。

「アフタヌーン」で有名なのは、愛知県を中心に喫茶店をチェーン展開する「カフェヨシノ」です。午後の時間帯に、ドリンクにシフォンケーキ、コーヒーゼリーソフト、冷やし白玉ぜんざいなど、複数のスイーツの中から1種類を選んで付けることができます。

「アフタヌーン」サービスは、愛知県郊外や岐阜県など、名古屋市以外の周辺都市で展開されています。このような豪華なサービスは、郊外でじわじわ広がる傾向にあります。

「カフェ」とは一線を画す、レトロな雰囲気が魅力の「喫茶店」

レトロな喫茶店のイメージ画像

大手コーヒーチェーン店や人気の「カフェ」と言えば、カウンターでさっと注文してサクッとテイクアウトしたり、おしゃれな空間で一杯いただくスマートなイメージ、もしくはおしゃれなスイーツやユニークなドリンクメニューを楽しむ若者向けのトレンド店のイメージなどがあるかもしれません。

一方、愛知・岐阜の「喫茶店」はそれとはまったく趣が異なります。多くの場合は、ベロア素材や革製のレトロな椅子やソファが置いてあり、雑誌やスポーツ紙も豊富に揃います。また店に訪れるのは、若者だけでなく、近所のミドル世代から年配層、ビジネス層やファミリー層など多種多様です。

そして、多少長居をしてもとがめられない雰囲気がそこにはあります。飲食しながら馴染みの人たちとおしゃべりを楽しむ庶民の社交場の雰囲気は、愛知・岐阜の「喫茶店」の持っている大きな特徴です。

まとめ

普段着でサンダルのまま気軽に行けてしまうのが、愛知・岐阜の喫茶店。ユニークでお得な「モーニング」文化、そして洗練されすぎない昔ながらの庶民的な安心感があるので、長年庶民の社交場として親しまれ、老若男女が集う場所となっているのです。
愛知や岐阜に訪れる機会があれば、ぜひ喫茶店で「モーニング」を体験してみてくださいね。店によってサービスはさまざまなので、お気に入りを見つけてみるのも楽しいかもしれません。