野菜バスケット

こんにちは!「クックビズ総研」編集部の中西です。
調理師免許やソムリエをはじめ、飲食業にまつわる資格がたくさんあります。

ここ数年、飲食業界でも取得者が増えている資格の一つが「野菜ソムリエ」。
野菜ソムリエがいるレストランも、一般的になってきました。

今回は、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会を運営するフードディスカバリー株式会社の中谷さんに直撃インタビューしてきました!

※日本野菜ソムリエ協会は、日本で唯一の「日本野菜ソムリエ」認定機関です。

飲食企業が注目する、野菜ソムリエ資格とは?

───まずはじめに、野菜ソムリエとはどういった資格か、教えていただけますか?

フードディスカバリー株式会社の中谷さん

中谷氏:四季折々、旬の野菜のおいしさや味わい、風味など、野菜や果物についての魅力を伝えるのが、野菜ソムリエの役割です。

野菜ソムリエ資格取得講座では、野菜や果物の品種や特長、選び方や保存法、調理法などの知識を把握するだけでなく、より多くの生活者へ分かりやすく情報を伝えるためのコミュニケーション能力や、氾濫する健康情報の中から正しい情報を見極める手法を学びます。

野菜ソムリエ資格は、人気モデルや女優などの芸能人が取得したことにより、一気に知名度が上がりました。
とはいえもともと野菜ソムリエは、青果物の流通の拡大と生活者の求める情報を食卓にお届することを目指し、青果物に精通する人材を育成するために生まれた資格です。
流通業界や外食産業などを対象にした資格でしたが、安心安全な食への興味の高まりから他にも普及したんですね。最近では、社員の野菜ソムリエ資格取得を推奨している飲食企業も増えてきていますよ。

野菜ソムリエ資格を取得するメリットとは?

───ずばり!飲食業界で働く方が、野菜ソムリエを取得するメリットは何でしょうか?

中谷氏:資格というのは、自分の持っている知識はこうですよ、と相手にわかってもらえる手段です。

また資格をもっているということは、第三者から評価してもらえているということになるので、自分の持っている知識を自画自賛している人より断然信頼できる。資格をとるメリットというのは、一番大きなところはそこだと思います。後は自信にもつながりますね!俺はいっぱい勉強したから資格を取得できた!という風に。

ワインのソムリエなんかでいうとわかりやすいと思うんですが、ブドウのバッジをつけている人から説明してもらうと、いつもよりワインが美味しく感じたりしませんか。
普通のサービスの人からサーブしてもらうよりも、説得力や安心感が断然違う。飲食業に携わる人が資格をとるのはそういうのがメリットではないかと思います。

建築業からの転身。食への想いから、野菜ソムリエ普及を目指す

───中谷さん自身は、もともと飲食業で働いていたんですか?

中谷氏:私自身は、もともと建築系の会社で働いていました。中でも、飲食店の内装を手がけることにやりがいを感じていて。そのうちに自分も、何か食に関わる仕事がしたいと思うようになったんです。

そんなある日、内装のお手伝いをしたレストランのレセプションに呼ばれて。とても良い内装に仕上がったので喜んで行ったのですが、その時感じたんです、食べ物がよくないと。

「空間にこだわった上、さらにおいしい食べ物を提供すれば、もっとお客様に喜んでもらえるのでは?」そんな風に考えるようになりました。そこから、「おいしさ+α として健康」を意識するようになったんです。「おいしさ+α としての健康」を深めていきたい、それをきちんと伝えていける人になりたい、そんな思いが日に日に強くなって、最終的には会社をやめて栄養士の専門学校に通うことになりました。

野菜ソムリエ資格を通じて、「おいしさ+αの楽しさや発見」を伝えたい

中谷氏:栄養士の勉強をしながら、産直野菜の販売をするお店にアルバイトをすることにしました。その産直野菜を販売する会社の元が、野菜ソムリエ協会でした。

野菜を対面販売で売りながら、日々、鮮度や味わいなど素材の違いを痛感しましたね。また、買いに来るお客様たちは野菜の栄養価などよりも、どうやれば長持ちするのか、どう調理すれば美味しくなるのか、という情報を求めている事を強く感じました。
おいしさ+αは健康だけでなく、求める人に よって様々。だから、いろいろな形で発信していくことができれば、野菜・果物の魅力や素材の違いをもっと多くの人たちに感じてもらえるのではないか、という想いにいきつきました。

そこで栄養士学校を卒業後、そのまま協会で就職し、本社でマーケティグの仕事をするようになったんです。
野菜ソムリエを起用し、様々なメーカーとのコラボを企画。野菜ジュースやスープ、シチューなどメーカーさんの力も借りることで、全国の生活者の方々に、野菜・果物の魅力や素材の違い、そして「おしいさ+αとして楽しさや発見」をお伝えしていくことができました。

そんな風に、食べることから健康だけではなく「おいしさ+αの楽しさや発見」を感じてくれる人を一人でも増やしていきたいという想いで、野菜ソムリエ資格の普及に取り組んできました。

資格で、飲食業界を盛り上げていきたい

フードディスカバリー株式会社の中谷さん2

───フードディスカバリーさんでは、野菜ソムリエ資格以外にもたくさんの資格や検定を運営されています。

中谷氏:そうですね。私自身は今、新規事業部で新しい講座の開発をしています。最近では『アスリートフードマイスター』の講座が人気ですね。アスリートを食から支える資格です。

さっきのソムリエの話に少し戻るんですが、ソムリエって実は凄く難しいんですよ。一生懸命勉強して、難しい試験に合格しないともらえない。努力をした人だけが得られる特権ですね。

飲食業界に、そんな自分のスキルがしっかりと見える資格が増えていけば、一生懸命働く方々がもっと高く評価されていく業界へと変わっていくきっかけになると思います。
料理が身近な存在だけに、“誰でもできる”と思われがちですが、そこを資格というスキルで可視化できれば、また全然変わってくると思うんです。
私たちは、資格から飲食業界を盛り上げていきたい、そして業界で働く人の成長支援をしていきたい。そう思って、日々取り組んでいます。

───ありがとうございました!

編集後記

飲食人のキャリア形成を考える「クックビズ総研」では、飲食業界でのキャリア形成に活かせる資格を今後も紹介していきます!ぜひチェックしてくださいね!
(取材:中西、記事作成:ハコベ)