
住宅街に佇む赤と黒の「やきとり大吉」の看板。誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。1978年3月10日に一号店を兵庫県尼崎市にオープンした大吉は、ピーク時には年間100店舗以上も出店するほどに急成長。1998年には創業から僅か20年で1000店舗まで拡大しました。さらに驚かされるのは、すべてのお店が「個人による独立開業」であることです。
現在は約500店舗まで減少していますが、閉店の主な理由は「店主の高齢化」によるもの。多くの飲食店が大打撃を受けたコロナ禍においてもそれを原因とした閉店は一店舗もありません。住宅街にしか出店しない大吉には、繁華街の飲食店と違って常連のお客さまが多く、コロナ禍でも店主を心配してお店に顔を出して支えてくれたそうです。
そんな佇まいはチェーンでありながらも地域のお客さまに永く愛され続ける大吉の「生業(なりわい)商売」とは?
8割の店主が10年以上の営業を継続
はじめに、大吉が「永く愛され続けるお店」であることを示すデータから。
飲食店の営業継続率は非常に低く、開業から3年以内に約7割が閉店、10年後も営業を続けているお店は約1割と言われています。近年では家賃や食材の高騰、人手不足などにより、多くの飲食店は開業資金すら回収できずに閉店に追い込まれます。
そんな浮き沈みの激しい飲食業界において、大吉では店主の8割が10年以上の営業を続けているのです。これは個人による開業で営業継続率が安定しているとされるコンビニ(6割が5年以上の営業継続)と比べても高い水準になります。
二度の大震災、鳥インフルエンザや飲酒運転の厳罰化、そしてコロナ禍といった苦境を乗り越え、ほとんどの店主が大吉を続けている、その事実こそが「持続可能な仕組み」であることを証明しています。
「笑って、生きていく。」人生がもたらす店主の幸福感
次に大吉に加盟した店主の「仕事における幸福感」を示すデータを紹介します。
仕事における幸福感は、人生全体の幸福度に影響を与える重要な要素です。仕事で幸福を感じることは、個人の満足度を高めるだけでなく、生産性や創造性の向上にもつながります。また、仕事の幸福度はプライベートの幸福度にも影響を与え、双方向的な関係にあるとされています(パーソル総合研究所「はたらくことを通じて幸せを感じることの効果とは」より抜粋)。
この「仕事における幸福感」について、2025年4月にやきとり大吉のオーナーを対象に「加盟者の職場満足・ワークエンゲージメントに関する分析」を目的としたアンケート調査がありました。
アンケート調査はフランチャイズビジネスを研究する駒澤大学の小本 恵照教授によって行われたもので、この記事では注目すべきアンケート結果を2つ取り上げます。
調査期間:2025年4月15日〜4月28日 回答数:約140名
大吉の店主の「加盟を選択したことへの満足度」の高さと「自分の仕事に誇りを感じる」ことへの背景には、地域に根ざしたお店づくり、お客さまとの温かい関係が築かれ、仕事そのものへの大きなやりがいがあることが伺えます。
店主の魅力で成り立つ、唯一無二の生業主義
チェーンの看板を掲げつつも、店主個人の魅力によって成り立っているのが大吉。
大吉にはセントラルキッチンや細かい接客マニュアルはありません。練り上げられたレシピはありますが、鶏肉などの仕入れ先の縛りもなく、なんと各店舗の売上も本部は一切管理していないのです。さらには店ごとのオリジナルメニューの提供も認められています。
店主が守っているのは、創業以来の「生業商売に徹する」の大吉の理念です。
・店主自ら食材を仕入れ、品質を確認して見定める。
・店主自ら串を打ち、焼き台に立って手で焼き上げる。
・店主自らの人柄と会話で常連客との関係を築いていく。
これらは「生業主義」と呼ばれ、店主自らの個性がお店の魅力となり、地域で愛され続けるようになるという考え方です。そのため、法人は大吉のお店を持つことはできず、「1億円出すから10店舗つくってくれ」という申し出を断ったというエピソードもあります。
この徹底された「店主の魅力で成り立つ個人店」という考え方に基づく生業商売、大吉の創業者である辻 成晃氏によると、成功するには「5つの要素」があるそうです。
・明るくて
・元気がよくて
・遊び好き
・欲が深くて
・いい加減
遊び好きとは「旺盛な好奇心」、「欲が深くて」は商売人の必須の資質、そして、最後の「いい加減」はいい塩梅を意味します。つまり大吉は、焼鳥だけでなく店主の人柄も売っているんですね。
いつかは自分のお店、地元で大吉という選択肢
大吉のリース方式では辻氏の「夢を持った人、若者を成功させたい」という考え方により、開業資金は約150万円、月々僅か33,000円の定額ロイヤリティで出店することができます。
そのため、ほとんどの店主は最初はリース方式で出店し、その店舗を買い取るか、出店費用を貯めて自分が希望するエリアにオーナーとして出店するという選択をします。現在、オーナー方式のお店が約450店舗、リース方式が約50店舗となっています。
しかし、近年、開業希望者からの「地元で家族の面倒をみなければいけない」「開業するなら最初から地元がいい」という声が増えてきたことから、新たに「地元でリース方式」というプランで出店ができるようになりました。
飲食人なら誰もが思い描く「いつかは自分のお店を持ちたい」という夢を半世紀近くに渡って叶え続けてきた大吉、これからは「今すぐ“地元で”自分のお店を持ちたい」を持続可能な生業商売で応援してくれます。
編集後記
大吉の創業者・辻 成晃氏の著書に「自分が進んで作った目標のために努力するのは、決してつらくない。(中略)自分で志を立て、それの実現へ向かって努力する者はみんなそうだ。人生の醍醐味はここにあるといっていいだろう。」とあります。また、この志を立てることが「なりわいの一歩」と書かれています。
クックビズでは、この大吉の「生業(なりわい)精神」に深く感銘を受け、大吉での独立開業を目指す方々からの相談も受け付けています。少しでも興味がありましたら、LINEよりお問い合わせください。





