原口さん

原口 起久代さん/はらぐち きくよさん(日本酒うさぎ・店主・35歳)

有名百貨店の外商部に3年間、ファッション専門学校の営業部に半年間勤務。客として通っていたバーのオーナーに声をかけられ、鉄板焼きダイニングの店長に抜擢。2008年に心斎橋で間借りし、10席の日本酒専門店「日本酒うさぎ」をオープン。同年、大阪ミナミの飲食店と地酒酒蔵のコラボレーション・イベント「愛酒でいと」をスタート。以降、毎年開催へ。2011年、「日本酒うさぎ」を谷町4丁目に移転、晴れて独立。「愛酒でいと」は、2013年に参加者1200人を記録。波乱万丈な原口さんの素顔に迫ります!

 ●シゴトに就いたきっかけは?

新卒で就職したのはデパートだったんです。外商部というところに3年間いました。その後も、ウェディングプランナーをめざしたりしていて、最初は飲食にはそれほど興味がありませんでした。ただ、“人の集まる場所”が好きで、いつか自分でその場所を作りたいな、とは思っていました。

飲食業界に入ったのはオイスターバーでの勤務からですね。その後、学生時代に通っていたバーのオーナーに、「鉄板焼きのお店をやってみないか」と店長を任されました。その時に出会ったのが日本酒です。

日本酒うさぎカウンター

日本酒をもっと知りたいな、と勉強しはじめて、2008年、間借りではありますが、大阪・心斎橋に日本酒専門の「日本酒うさぎ」をオープンしました。2010年に晴れて独立となり、今の谷町4丁目にお店を移転。出産をはさんで、やっと本格復帰したのが一昨年ですね。

●シゴトのやりがいは?

いえろいろありますが、一番は、面白い人に出会えることです。昔から、「面白い!」と思う人には、食いついて離れないんです(笑)。

たとえば、デパート勤務時代に、三重県の「クロフネカンパニー」というウェディング会社の代表(中村 文昭さん)がセミナーにやってきたことがありました。その講演がめちゃくちゃ面白かったんです。すぐに、伊勢市にあるお店に代表を訪ねました。アポなしで(笑)。

原口さん

結局そのときに代表は不在だったんですが、スタッフの方が快く迎えてくれました。その後、別のセミナーに招待してもらったり、経営者の集うイベントに付き人として参加させてもったり、とても勉強になりましたね。

鉄板焼きのお店を任されたときも、きっかけは、学生時代にたまたまお客さんとして通っていたバーのオーナーが「何かやりたい?じゃあ、店やってみるか?」という感じで店長に。ほんと、人の縁に助けられていますね。

面白い人のそばにいると、人が自然と集まってくる。それを実感してきたし、自分自身もそういう場所を提供していきたいんです。

あと、日本酒に出会ったことも大きいですね。試飲会や田植えに参加したり、全国の蔵を巡りながら、同世代の若い蔵元がいることを知りました。でも、その人たちが全然表に出てきていない。その状況をどうにかしたくて、日本酒の専門店を開き、酒蔵と大阪の飲食店のイベント「愛酒でいと」を開催したんです。

最初はお店で100人くらいだったので、Zepp なんばを借りて1200人規模でやることになるとは思っていなかったですね。もちろん2015年も開催しますよ!楽しみにしていてください。

愛酒でいと会場1

●シゴトの目標って?

私にとって仕事って、どちらかというと、ビジネスという感じではなくて、ライフワークなんですね。その時々の出会いや人の縁に助けられて、今に至っているんです。

とにかく「楽しくしたい」。自然と人が集まる場所をつくりたい。そのことは変わらなくて、タイミングがあれば、また何かに向かって挑戦していると思います。

日本酒については、もっとその可能性を広く伝えたいですね。いま、「愛酒でいと」の仲間と、「S(h)AKE」(シェイク)という日本酒のオリジナルカクテル作りに取り組んでいます。バーやクラブでの音楽イベントを中心に活動をスタートさせていますよ。

●女子としての苦労&成果はある?

2010年に、岡山に里帰り出産しました。そのときに、お店を預けたのは、アルバイトとして働いてくれている昔からの女友達です。昼間は保育士やフリーライターをしていて、夜はお店を手伝ってくれていて、出産のための約2ヶ月も、彼女たちにすべて任せっきり。発注作業とかは、産後すぐに病室からしていましたけど(笑)。

息子が3歳半になった今は、田舎から母を呼んで、途中からバトンタッチ。夜は母にお店を任せ、私は家事と育児が中心です。毎日お店に立てないジレンマはありますが、家族や仲間に支えられていて、とても感謝しています。

日本酒うさぎ3人

母がお店に立つようになってから、お客さんにすごく慕われていて、びっくりしました。みんな頼りになる“お母さん”に安心するようで、ビジネスマンや女性のお客さんにすごく好評なんですよ。時には悩み相談などもしているみたいです(笑)。

私の周りの飲食で働く女性たちは、シングルマザーや独身が圧倒的に多いので、そういう環境も変えていかないといけないな、と思います。

家庭と仕事が両立しにくいといわれる飲食業界だからこそ、結婚と子育てを実現している例になれればな、と。

●プライベートを教えてください。

プライベートと仕事の区別があまりないんですが…、ただ、家族の時間を大事にしていきたいっていうのは、すごくありますね。夫は普通のサラリーマンなので、土日にお休みを合わせて、家族で出かけたりしています。

日本酒うさぎ カウンター

●シゴトモダチはいますか?

今8人いるお店の仲間もそうですし、心斎橋時代のミナミの飲食店の方やお客さんとは今も仲が良いです。「愛酒でいと」での酒蔵さんとのつながりもそうですし、尊敬している先輩方や師匠などもたくさんいますね。ただ、私にビジネスという感覚が希薄なので、やっぱり周りの人もそういう人ばかりなんですね。「面白いことしたい!」「面白いことに足突っ込みたい!」という人たちばかりです。

最近は、保育園のママ友とも仲良くなって、ご飯に行ったりしています。仕事とは別の仲間は初めてなんです!これが新鮮で、子育てや仕事のグチも言い合えるし、よい意味で刺激がありますね。

<原口さんに会える!『日本酒うさぎ』は、こんなお店♪>

日本酒うさぎ谷町4丁目駅より徒歩5分、本町通沿いのビルの1階は、小さなお店が並ぶホットスポット。うさぎのちょうちんがあたたかな灯りをともし、お客様をお迎えします。全国各地より店主・原口さんが選りすぐった地酒を取りそろえ、しめさば、エイヒレ、クリームチーズ酒盗かけなどなど、日本酒に合う手作りの一品料理をご提供。ランチタイムには「カレー屋マタタビ」としてもオープンしていますよ!

  • ◎所在地:大阪市中央区内本町2-3-8 ダイヤパレスビル本町 1F
  • ◎営業時間:平日17:00~23:00 土日祝15:00~23:00
  •  ランチタイム「カレー屋マタタビ」12:00~15:00
  • ◎定休日:不定休
  • ◎TEL:06-6944-8899
  • ◎お店のサイト: http://nihonshuusagi.web.fc2.com/

(取材・撮影・記事作成/峯林)