20代の2人が働くのは、バリューマネジメント株式会社。ニュースに取り上げられることも多い日本の空き家問題…。中でも維持・存続が難しくなった歴史的建造物や古い町並みに新たな光をあて、ホテル、レストラン、婚礼などのパーティー会場として利活用し、マネタイズしながら人が集まるユニークなまちづくりに取り組んでいる企業です。

その取り組みは世界からも称賛を集め、同社が手掛ける愛媛県大洲市は、一時は町並みが荒廃するピンチに立たされながらも「持続可能な観光地」として再生。2023年、国際的認証団体が選ぶ「世界の持続可能な観光地」文化・伝統保全の部で世界1位に輝きました。(「グリーン・デスティネーションズ」主催:オランダ)
国や自治体からの依頼は引きも切らず、現在、全国200か所で観光まちづくりが進行中です。

今回、バリューマネジメント株式会社で料理人を務める齋藤寿樹さん(25歳・画像左)とポター太陽パトリックさん(22歳・画像右)にクックビズ編集部がお話をお伺いしました。

スタッフのインタビュー動画

2人のインタビューをダイジェスト動画でご覧いただけます。
詳細を知りたい方は記事へ。

▼プロフィール
齋藤寿樹さん(25歳・チーフ ※取材時/2023年7月よりマネージャーへ昇格
東京から函館に赴任。25歳の若さで函館市の「NIPPONIA HOTEL 函館 港町」の厨房責任者を務める。地元の生産者や料理人とも交流を広げながら活躍する。

ポター太陽パトリックさん(22歳)インタビュー記事はこちら
滋賀県在住。140年の歴史をもつ京都・鴨川沿いの元料亭「鮒鶴京都鴨川リゾート」で、独立をめざして働く。休日は信楽焼の器やワイナリーを訪ね歩く。

25歳の僕に大きな権限を与えてくれたことに感謝しつつ、地元の人と函館を盛り上げる/齋藤寿樹さん

──入社のきっかけを教えてください
将来の自分のキャリアを考えて転職をしようと考えていたところ、人の伝手(つて)でバリューマネジメント株式会社を知りました。運営店舗の「THE GRAND GINZA」(東京)のシェフとお話をさせていただいた時に、
「これからの料理人は料理を作れるだけでは生きていけない。それ以外の力を身に付ける必要がある」という言葉をもらいました。その瞬間、一気に視野が広がったような気がしました。
しかもまだ入社もしていない外部の人間に対して真摯にアドバイスしてくださる。そんな人がいる会社で働きたいなと思ったのがきっかけです。最初の配属先は、希望通り「THE GRAND GINZA」。レストラン、婚礼と幅広い業務に携わることができるスタイルも魅力的でした。

齋藤さんがスタッフと談笑する様子

「まっすぐでピュアな人が多い会社」と話す齋藤さん(左)。函館に赴任する際は、「THE GRAND GINZA」のシェフから「がんばれよ」と声をかけてもらったのだとか。

──今の具体的な仕事を教えてください
入社から1年半後、函館に新しくできる「NIPPONIA HOTEL 函館 港町」の厨房責任者として赴任することになりました。今は、朝食、ランチ、カフェ、ディナーにおける料理の仕込み、提供、お客様へのごあいさつや料理のクオリティの管理であったり、衛生面の管理、3カ月に1回メニュー構成が変わるので、季節に応じたメニュー構築などもあります。

──やりがいは?
自身の25歳という年齢で、責任者としての大きな権限が与えられていることは、ほかではありえないと思っています。自分の考えをもとにメニューにしてみることなど、その場で自分の裁量で行うことができます。それをスピード感をもって直接お客さまにお届けできることが、今の仕事の魅力だと思っています。

NIPPONIA HOTEL 函館 港町 外観

「NIPPONIA HOTEL 函館 港町」は、重要伝統的建造物群保存地区の赤レンガ倉庫群を再生して建築。赤レンガのホテルを初めて見た際、「自身も函館のにおいを料理に乗せてお届けしていかねば」と感じたのだそう。

──会社の好きなところを教えてください
いろんなタイプの上長、シェフがいて、尊敬できる方が多くいらっしゃる。そして一番は、年功序列でないということ。人に対して真摯に向き合う本気な人が多いところです。

──貴社が行う歴史的資源を活用した観光まちづくりについてどうお感じですか?
函館も観光では潤っていますが、若い人がどんどん札幌や東京などへ転出しています。
この施設で働き続けているだけで「地域創生」であったり、この建物を守る、この地域を盛り上げていくということが実感できます。

海が見える函館の街並み

─今後、やってみたいことや目標は?
生産者さまとのつながり、地元の料理人同士のつながりの中で、函館というまちを盛り上げていきたいと思っています。だから、今、函館市内の料理人の方と勉強会をしたり、生産者の方に積極的に会いに行っています。

ここに赴任し、料理の技術をどう高めたらいいのかと考えたときに、「地元の料理人さん、生産者さんとつながる」ことが大事だと考えたんです。函館は食材の豊富なまちです。昔TV番組で料理人が生産者さんのもとに行くのを見たときは「アピールだ」と思っていたけれど、そう思ってた自分は本当に分かっていなかったですね。今はそこから始まると思っています。生産者さんから「齋藤さんみたいな料理人に会えてよかった」の言葉をもらったときはうれしかったですね。

──今日はありがとうございました

クックビズ編集部より
齋藤さんの力強い目の輝きが印象的な取材でした。
現在、齋藤さんは、社内研修の1つ、料理人専任の「アルチザン研修」に参加。メニュー考案における大事な要素が詰まった研修で、実践形式で身につくのがポイント。具体的には自身で食材とテーマを決めて、メニュー考案を行い、ほかの施設とオンラインでつなぎ、その内容をローテーションで発表。その場で料理も作ります。

講師を務めるのは同社のグランシェフ・石井 之悠さん。スイスのグランメゾンで活躍し、関西のフレンチ界を牽引する名シェフ。TV・ラジオなどでも登場する業界で知られた存在です。

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