白衣を着て鰻をさばいている男性


「うなぎ四代目菊川」パサージュ青山店の厨房。ガラス張りの焼き場の向こうで、真剣な眼差しで鰻と向き合う若き職人、株式会社パッションギークスの深田さんに今回お話を伺いました。2021年に株式会社パッションギークスに入社し、京都、東京と店舗を移りながら鰻職人としての腕を磨いてきた深田さんは現在、調理だけでなく、後輩の育成や厨房の数値管理まで任されるなど、周囲から厚い信頼を寄せられている。伝統が重んじられる鰻の世界で、彼が短期間で著しい成長を遂げられた背景には何があったのか。彼のこれまでの歩みと、仕事への情熱、そして彼を惹きつけてやまない会社のカルチャーに迫りました。

伝統と革新の融合。「世界を、魅せる。」の一言が拓いた新たな道

──まず、深田さんが飲食業界を目指されたきっかけから教えていただけますでしょうか。
保育園の頃からずっと料理人になりたいと思っていました。直接のきっかけは、昔放送されていた料理対決のテレビ番組です。料理人たちが技術を駆使して競い合い、お客様の投票で勝敗が決まるのですが、その和菓子の部門を見た時に「これはすごい」と衝撃を受けて。そこから料理の世界に強く惹かれるようになりました。和菓子だけでなく、幅広く料理を学びたいと考え、中学生の頃にはっきりと料理人になろうと決意し、調理師養成施設でもある栃木県の高校へ進学しました。

──高校卒業後は、すぐに京都の料亭に就職されたのですね。
はい、新卒で入社しました。ただ、そこは昔ながらの厳しい世界で、職場での会話もほとんどないような環境でした。思い描いていたものとのギャップに悩み、転職を決意しました。その時に利用したのが、飲食業界に特化した人材紹介サービスの「クックビズ」です。

──数ある企業の中から、株式会社パッションギークスを選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
紹介された企業のウェブサイトを見ていく中で、パッションギークスのホームページが目に留まりました。ページを開いた瞬間に飛び込んできた「世界を、魅せる。」というパーパスが、とても印象的だったんです。

そして面接を受けた際、「鰻業界では“串打ち3年、焼き一生”と言われるけれど、ここならすぐにできるようになるよ」と言われたことにも衝撃を受けました。伝統的な技術を、未経験からでもスピーディーに習得できる環境がある。これは入社するしかないな、と。20代のうちに技術を身につければ、間違いなく自分の力になるだろうと感じました。

また、ちょうど「うなぎ四代目菊川」の京都ポルタ店がオープンするタイミングで、オープニングスタッフとしてお店を一から創り上げていく経験ができることにも大きな魅力を感じ、2021年に入社を決めました。

刺激的な仲間と共に、鰻のプロフェッショナルへ。個性を尊重し合うチームの力

──入社されてから現在までのキャリアについて教えてください。
入社後は、オープニングスタッフとして京都ポルタ店に配属されました。
その後、2023年1月に関西から東京へ異動となり、まず東京駅黒塀横丁店に配属。そして2025年6月のパサージュ青山店オープンと同時に、こちらへ異動してきました。

──新しくオープンしたパサージュ青山店は、どのような雰囲気のお店ですか?
パサージュ青山店は、オープンのために新規採用したスタッフがおらず、さまざまな既存店からメンバーが集まって始まったお店です。一人ひとりが確かな技術と豊かな個性を持っていて、日々刺激を受けながら働ける環境ですね。

キッチンは料理長を含めて4名体制です。50代後半の経験豊富な料理長、2年前に新卒で入社した21歳の若手、そして当社の鰻業態では珍しい40代の女性の鰻職人。年齢も性別もさまざまですが、それぞれが対等な立場で、自分の個性を発揮しながら活躍しています。

──そういった個性を尊重する雰囲気は、会社全体に共通しているものでしょうか。
そうですね。各店でさまざまな人が活躍していますし、店舗に来られた社外の方からも「楽しそうに仕事をしている人が多いですね」とよく言われます。確かに、つまらなそうに働いている人を見たことがないですね。どのお店も、ブランドの格式ある店構えからは想像できないような、ユニークで面白い人がたくさんいます。

例えば、都心にある「恵比寿ガーデンプレイス店」と聞くと、少し堅いイメージに感じられるかもしれませんが、実際はとても気さくな人ばかり。店舗ごとのカラーはありつつも、根底には風通しの良さがあって、どの店舗へ行っても本当に働きやすいと感じます。

白衣を着てインタビューにこたえる男性

全員で最高の仕事を。互いを尊重し、高め合うコミュニケーション術

──多様なメンバーが集まる中で、チームワークやコミュニケーションにおいて大切にしていることはありますか?
現在配属されているパサージュ青山店のメンバーは、とにかくおしゃべり好きな人が多いんです(笑)。誰かがムードメーカーになっているというわけでもなく、自然と会話が生まれる雰囲気ですね。料理長もよくお話しますし、豊富な経験による引き出しの多さにはいつも驚かされます。指導の際も、一方的に教えるのではなく、相手に合わせて伝え方を変えてくださるので、とても仕事がしやすいです。

僕自身がコミュニケーションで意識しているのは、「輪から外れる人を一人も作らない」ということです。会話から置いていかれたり、情報が伝わっていなかったりするスタッフがいたら、すぐに声をかけるようにしています。

──後輩への指導で心がけていることはありますか?
料理長と同じように、相手に合わせて伝え方を変えることです。自分が持っている知識を情熱的に伝えても、相手が受け身の状態ではなかなか響きません。矢継ぎ早に教えるのではなく、相手の理解度を確認しながら、一つひとつ丁寧に伝えることを心がけています。

僕はこれまで複数の店舗を経験してきたので、「うなぎ四代目菊川」として大事にしていることを、それぞれの店舗で実践を通じて身につけることができました。しかし、新しく入った人には、その人なりの「もっとこうしたら良いのでは」という視点がある。そうした意見も尊重しながら、なぜこのやり方がベストなのかを丁寧に説明し、納得してもらうことが大切だと考えています。

──仕事における一番のやりがいや楽しさは、どんな時に感じますか?
「うなぎ四代目菊川」の店舗は、焼き場がガラス張りになっているお店が多いです。だから、お客様が鰻を一口召し上がった瞬間の表情が、ダイレクトに見える。その「美味しい!」という顔を見られた時が、何よりのやりがいであり、楽しい瞬間ですね。

また、鰻という食材そのものにも、この仕事ならではの奥深さを感じています。以前は「鰻は土用の丑の日に食べる特別なもの」という印象でしたが、実際に働いてみると、季節を問わずこんなにも多くの方が鰻を食べたいと思ってくださっていることに驚きました。自分が一生懸命覚えた技術で鰻を提供し、「美味しい」と言っていただけるのは、大きな魅力だと思います。

それに、鰻の調理は決して簡単ではありません。一尾一尾状態が違う、生きている鰻を相手にする難しさがあるからこそ、できるようになった時の達成感は格別で、自分の成長を実感できる場面も多いんです。そこも、この仕事の面白いところですね。

グルメサイトに寄せられる口コミを読むのも好きです。僕たちの「美味しい鰻を提供したい」という想いが、お客様にしっかりと伝わっているんだなと実感できますし、次へのモチベーションにも繋がります。

──仕事道具へのこだわりや、成長を実感する瞬間についてもお聞かせください。
当社では、鰻職人としてスタートする際、自分専用の包丁を一本持たせてもらえます。これが、ものすごく愛着が湧くんですよね。他の人の包丁を持つと、形は同じでもフィット感が全然違うんです。毎日握っていると、力の入り方や握り癖で、木の柄の部分が自分の手の形に少しずつ削れて、フォルムが変わってくる。3年も使っていると、刃も研がれて少し細くなってきているようにも感じます。その変化を見ると、「ああ、これだけ多くの鰻を捌いてきたんだな」という確かな実感が湧いてきて、また頑張ろうと思えます。

「うなぎ四代目菊川 パサージュ青山店」内観

料理長、もしくは店長へ。憧れの背中を追いかけ挑戦する

──今後、どのようなことに挑戦していきたいですか?
今は、料理長や店長の仕事を間近で見ながら、知識やスキルを吸収している段階です。将来、自分が管理職になった時に困らないよう、しっかりと準備を進めていきたいです。鰻の調理に関しては「深田さんに聞いて」と言ってもらえるようになりましたが、鰻以外の和食の知識や、人を育てる力はまだまだ足りません。

幸い、パサージュ青山店は懐石料理にも力を入れているので、ここで料理長から多くのことを学びたいと思っています。教わったレシピや調理のポイントは、僕が記録を残し、まとめ、他のスタッフがいつでも見られるように壁に貼っています。僕がいなくてもキッチンが回る仕組みを作ることが、チーム全体の成長に繋がると考えているからです。

──目標となるような上司の方はいらっしゃいますか?
はい。パッションギークスには個性豊かで魅力的な店長や役職者が多いので、「こんな人たちのようになれたら面白いだろうな」といつも思っています。例えば、あれだけ忙しい店舗を切り盛りしているのに、毎日どこか面白おかしくて、余裕さえ感じさせる店長がいるんです。裏ではものすごく仕事をしているはずなのに、その余裕はどこから生まれるんだろう、と。

東京エリアの統括店長も、一見すると気さくで、面白い人なんです。でも、周囲からは絶大な信頼を寄せられている。なぜそこまで人に慕われるのか、そのマネジメント力の源泉はどこにあるのか、興味が尽きません。いつか、そうした先輩方から多くを学び、自分もそんな存在になりたいと思っています。

──料理長だけでなく、店長というキャリアも視野に入れているのですね。
はい。将来的には店長も目指したいです。調理のことが分かる人間が店長になることで、キッチンとホールの連携をよりスムーズにできると思うんです。お客様とスタッフの間に立ち、双方の想いを繋げられるような存在になれたら理想ですね。まずは、今の環境で吸収できることを全て吸収したいと思っています。

──改めて、深田さんが考える飲食業界そのものの魅力とは何でしょうか?
近年はIT化が進んでいますが、僕たちが作った料理がお客様に届いて、その場で「美味しい」とか「また来るよ」という反応がすぐにもらえる。このダイレクトな繋がりこそが、飲食業界の最大の魅力であり、やりがいだと思います。

これからは、ただ料理を提供して終わり、ではなく、スタッフとお客様がもっと気軽に会話できるようなお店が増えると、業界全体がさらに盛り上がっていくのではないでしょうか。僕自身、作り手の方と話しながら食事をするのは楽しいですし、「これはこうやって作っているんだ」「この産地の食材はこんなに美味しいんだ」といった発見は、食事をより豊かな体験にしてくれます。お客様の知識にもなるようなコミュニケーションが広がれば、飲食業界はもっと発展していくと信じています。

向かい合って話している白衣を着た男性ふたり

編集後記

インタビュー中、深田さんの言葉の端々から感じられたのは、仕事に対する真摯な姿勢と、仲間への深い敬意でした。常に新しい知識や価値観を吸収しようとする柔軟な思考。そして、多様な個性を持つ仲間たちや上司の存在を語る時の楽しそうな表情。「個性豊かな面白い人たちに囲まれて、楽しく仕事ができている」と語る深田さんの笑顔は、パッションギークスという会社の魅力を何よりも雄弁に物語っていました。

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