ドリンクを運ぶ橋本さん


都心にありながら、どこか温かみのある空気が流れる和風個室居酒屋「くいもの屋 わん」で、柔和な笑顔と的確な指示でお店を切り盛りする男性・橋本 亜南さん。彼のキャリアの原点は、ナポリで優勝したピッツァヨーラを擁するイタリアンレストランだった。料理人として専門性の高いスキルを磨いてきた彼が、今、居酒屋の店長を目指している。その大きなキャリアチェンジの裏には、ワークライフバランスへの意識、変化する社会情勢への洞察、そして何よりも「人」との出会いがあった。「料理のクオリティ」を追求する道から、「店舗全体を動かす」面白さへ。彼の言葉から、現代の飲食店で働くことのリアルな魅力と、キャリアの新たな可能性が見えてきました。

料理人から店舗運営へ。キャリアチェンジの軌跡

──まず、前職からオーイズミフーズに入社されたきっかけを教えていただけますか?
前職は新橋のダイニングバーで、和食とイタリアンの両方を提供していました。もともとイタリアンがやりたくてその店に入ったのですが、キャリアの途中で和食居酒屋の店舗へ異動になったんです。やはりイタリアンへの想いを諦めきれず転職を考えていた時に出会ったのが、オーイズミフーズが運営する「LOGIC」でした。「カプートカップ2012」クラシカ/外国人部門で優勝した実績のあるピッツァヨーラが監修したピッツァを提供しているような、非常に本格的なイタリアンだったことに強く惹かれましたね。それに加えて、前職よりもワークライフバランスを整えたいという思いもあり、入社を決意しました。

──イタリアンレストランで10年以上勤務された後、居酒屋業態へ。そしてシェフではなく「店長」を目指そうと思ったのは、どのような心境の変化があったのでしょうか?
入社後は「LOGIC」池袋店で12年ほど勤務しました。その後、カジュアルイタリアンの「CERTO!」という業態をいくつか経験したのですが、コロナ禍の影響もあり、最終的に会社からの提案もいただきつつ現在の「くいもの屋 わん」に異動しました。

もともとはキッチンスタッフとして、将来的にはシェフになれれば良いなと漠然と考えていました。ですが、30代になり役職がついていないことに焦りを感じ始めた頃、心境に大きな変化がありました。シェフとして料理のクオリティを突き詰めることよりも、店舗運営全体を回していく方に、自分の興味と適性があると感じるようになったんです。

もちろん、この会社に入って多様な業態を経験したことで考えが変わった部分もあります。しかし、それ以上に大きかったのは社会情勢の変化です。人手不足や少子高齢化が進む中で、凝った料理を提供し続けることが、自分には限界がある、難しいと肌で感じました。それよりも、限られたリソースの中でお客様に満足いただき、スタッフが無理なく働ける環境を作り、店舗として利益を上げていく。そうした「店舗運営」という仕事に、今は大きな魅力を感じています。ホール社員の仕事は、お客様と積極的にコミュニケーションを取ってリピーターを増やし、売上を管理すること。これは店長の仕事と直結します。だからこそ、今はこの「くいもの屋 わん」で店長を目指して頑張っています。

人との繋がりが原動力。仕事の楽しさとやりがい

──このお店で働いていて、特に「楽しい」と感じるのはどんな時ですか?
一番は、お客様とのコミュニケーションですね。自分が今所属しているこの大井町の店舗は、土地柄ホテルにご宿泊のお客様、特に関西方面から出張で来られた方が非常に多いんです。関西のお客様はお話好きな方も多い印象で、こちらから話しかけると積極的に会話に乗ってきてくれる。そうした何気ないやり取りが、日々の仕事の大きな楽しみになっています。お店が比較的落ち着いている時間に、お客様とじっくりお話できると、本当に楽しいですね。キッチン業務では、自分の知らなかった調理法に出会った時に「こうやって作るのか!」と発見があり、調理面での楽しさも感じています。
また、当店は学生アルバイトが多いのですが、彼らとの会話も新鮮で面白いです。10歳以上も年が離れていますが、ジェネレーションギャップも含めて楽しんでいます。

──最も「やりがい」を感じる瞬間はいつでしょうか?
やはり、自分が接客したお客様が「また来たよ」とリピーターになってくださった時ですね。これは何物にも代えがたいやりがいです。以前いた目黒の店舗では、お客様と仲良くなるうちに「あなたに選んでほしい」とワインの注文を任せていただけるようになりました。私自身ワインが好きなので、おすすめしたワインを楽しんでいただき、結果として3名で30万円以上という高い客単価に繋がったこともありました。自分の提案がお客様の満足に繋がり、売上という目に見える成果になった時は、大きな達成感がありますね

──お客様との関係で、特に心に残っているエピソードはありますか?
前の店舗での話ですが、私が最初に対応したお客様が、すっかりお店の常連になってくださったことがありました。もともとは別のお店の常連さんだったそうですが、私の接客をきっかけに、うちの店に通ってくださるようになったんです。しかも、ご旅行に行かれるたびに、毎回お土産を買ってきてくださる。そうした心遣いが、本当に嬉しかったですね。お客様とそこまで深い関係を築けたことは、私の大切な財産です。

インタビューにこたえる橋本さん

「人」が中心の職場。私が考える理想のチーム 

──調理経験者としての視点から見て、現在のお店の料理の魅力は何だと思いますか?
「くいもの屋 わん」の料理は、良い意味で「居酒屋の定番」を裏切る創作料理が多いんです。私自身がキッチン出身だからこそ、その料理内容のすごさがよく分かります。「こんな組み合わせがあるのか」「このひと手間が味の決め手なんだな」と感心することが多いですね。だからこそ、お客様にも自信を持ってその魅力を伝えられます。やはり、自分が「美味しい」と心から思えるものでないと、人には勧められませんから。

──職場の雰囲気はいかがですか?また、仕事をする上で特に意識していることは何でしょうか?
職場の人間関係は、本当に良いと思います。学生アルバイトも社員も、みんな協力的で仲が良いですね。私が意識しているのは、周りのスタッフに過度な負担がかからないような営業を心掛けること。特に、人員が少ない日に予約が集中すると、どうしても現場は疲弊してしまいがちです。スタッフに不満が溜まれば、サービスの質は下がり、店の雰囲気も悪くなる。それは自分自身の過去の経験からも明らかです。もちろん、売上を追求することも重要ですが、スタッフの働きやすさとのバランスを上手く取ることが、最終的には店の力になると信じています。
幸い、この職場は店長をはじめ、誰に対しても自由に意見が言える環境です。思ったことを何でも話せるからこそ、時には叱られることもありますが、それはちゃんと理にかなっていて納得できること。言いたいことが言えない関係性というのが、働く上で一番良くない。思ったことを何でも話せるからこそ、理由も理解できて納得できます。だから、アルバイトスタッフにも思っていることは何でも言ってもらうようにしています。そうした風通しの良さが、みんなが長く、そして協力的に働いてくれる要因になっているのだと思います。

くいもの屋 わん_料理写真

安定した基盤と温かい人間関係。未来への展望

──オーイズミフーズで長く働き続ける魅力とは、何だと思いますか?
いろいろありますが、一番は、会社の規模が大きく、経営が安定していることです。特にコロナ禍という未曾有の危機においても、経営が傾くことがなかった。これは働く上で絶大な安心感に繋がります。私自身も結婚していますし、家族を持つ社員にとっては、この「会社の安定性」が何よりの魅力ではないでしょうか。この安心感があるからこそ、多くの社員が長く働き続けているのだと思います。

──キャリアの中で、特に影響を受けた方はいらっしゃいますか?
特定の誰か、というわけではありませんが、当店の現在の店長と働いていると、日々学ぶことばかりです。とにかくコミュニケーション能力が非常に高く、店舗運営も本当に上手い。上級兼務店長という役職に就かれているだけあって、どんな質問をしても的確な答えが返ってきます。時には厳しい方ですが、先ほども言った通り、その叱り方には必ず筋が通っていて、愛情を感じますね。私も、店長のような人になりたいと心から思います。

──最後に、今後の目標を教えてください。
まずは、この「くいもの屋 わん」で店長になることです。居酒屋業態での接客が、これほど自分に向いているとは思いませんでした。今の仕事が楽しいですし、何より、目標となる店長や素晴らしい仲間に囲まれている。この良好な人間関係が、日々のモチベーションになっています。これからも人との繋がりを大切にしながら、目標に向かって着実に進んでいきたいです。

接客中の橋本さん

編集後記

「シェフではなく、店長を目指しているんです」。そう語る橋本さんの目は、とても晴れやかでした。イタリアンの道で10年以上腕を磨いてきた料理人が、キャリアの途中で見つけた新たな道。それは、一皿の料理を完成させることから、一つの「店」という組織を動かすことへのシフトでした。
お客様とのコミュニケーションを心から楽しみ、共に働く仲間への負担を常に気遣う。その姿勢は、人手不足が叫ばれる現代の飲食業界において、一つの理想形なのかもしれません。
「料理だけが全てじゃない」というこの言葉は、専門性を突き詰めることだけがキャリアではないという、大切な視点を教えてくれます。会社の安定という土台の上で、良好な人間関係というモチベーションを得て、今日も店に立つ。橋本さんのような人材が店を切り盛りする未来は、きっと明るいことでしょう。インタビューを終え、そんな確信にも似た温かい気持ちになりました。

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