ダパイダン105_岸上店長


吉祥寺駅北口、昭和の香りが色濃く残るハーモニカ横丁の一角にあるのが、熱気と食欲をそそる香りを放つ台湾屋台酒場「ダパイダン105」。扉のないオープンな店構えからは、スタッフの威勢のいい声と、名物の焼き小籠包を頬張る客の笑顔が溢れ出しています。
今回は、こちらのお店の立ち上げから厨房に立ち、現在は店長として店全体を切り盛りする岸上さんに話を伺いました。フリーターとして過ごしていた日々から一転、飲食業界の正社員へ。そして、コロナ禍という飲食業界にとって大きな危機と共に始まった新業態の店長という重責。順風満帆ではなかった軌跡と、その中で培われた仕事への揺るぎない信念、そして未来への展望に迫りました。

安定を求めた先にあった、飲食人としての覚悟

──はじめに、これまでのご経歴と、オーイズミフーズに入社されたきっかけについてお聞かせいただけますか?
実は、入社前はフリーターで、将来設計も特になく、自由気ままに過ごしていました。飲食店のアルバイト経験が長かったので準社員のような形で働いてはいたのですが、当時の業界的なものかどうかわかりませんが、給与面がどんぶり勘定だったり、少し不安に感じる部分は多かったです。最後に働いていたお店では、社員同然に働いていたにも関わらず給与の未払いといったトラブルも経験し、「次はしっかりした会社で、正社員として腰を据えて働こう」と決意したのが大きなきっかけですね。
当時28歳という年齢もあり、そろそろ地に足をつけなければ、という焦りもありました。ただ、振り返れるようなキャリアもなかったので選択肢は限られていました。そんな中、紹介会社を通じて何社か紹介してもらったうちの一社がオーイズミフーズでした。正直に言うと、「絶対にここがいい」という強い決め手があったわけではないんです。ですが、待遇の安定性に加え、当時「無借金経営」を掲げていたことへの安心感が大きかった。企業としての安定感が、次の一歩を踏み出す上で何よりの魅力に感じました。

コロナ禍の船出と、手探りで見出した店長の在り方

──入社後、店長になるまでの経緯と、その中で直面された困難について教えてください
入社後は、メイン業態である「くいもの屋 わん」の吉祥寺店に配属され、厨房メインで3年ほど経験を積みました。その後、この「ダパイダン105」が新業態としてオープンするタイミングで、店長候補として異動してきたんです。立ち上げ当初は別の店長がいましたが、すぐに自分が引き継ぐ前提でしたので、実質的にはオープン当初から関わっています。店長になってからは、ちょうど4年が経ちました。
このお店がオープンしたのが、まさにコロナ禍が始まった年の年末。オープン景気に沸く間もなく、マスク着用の徹底、営業時間の短縮、酒類提供の禁止など、次から次へと押し寄せる制限の波に翻弄されました。新業態で、お店のルールやオペレーションもまだ手探りの状態。何もかもが分からない中での船出でしたから、本当に大変でしたね。最初の頃は、社内のさまざまな人に頭を下げ、教えを請いながら、文字通りゼロからお店を創り上げていく日々でした。

──オープン直後から続く未曾有の事態の中、どのように乗り越えてこられたのでしょうか?
苦難の連続でしたね。オープン当初は売上が全く振るわず、コロナ禍の影響でハーモニカ横丁全体がシャッター街のようになり、お客様が一人か二人しかいらっしゃらない日も。アルバイトスタッフには全員休んでもらい、たった一人でお店に立つ、そんな辛い時期も経験しました。
それでも腐らずにやってこられたのは、やはり「仲間」の存在が大きいです。「ダパイダン」という業態の店長同士のチームワークが非常に強く、困ったときには誰かが助けてくれるという安心感がありました。新店のヘルプにみんなで駆けつけたり、仕込みが間に合わなければ食材を送り合ったり。一生懸命やっていれば誰かが見ていてくれる、支えてくれるという体制が、心の支えになっていましたね。コロナが明け、街に活気が戻ると共にお店の売上も上がり続け、過去の苦労が報われた瞬間は、大きなやりがいを感じました。

インタビューにこたえる岸上店長

「ぶれない味」と「活気」で創る、街に愛される店

──お店のコンセプトと、それを体現するために日々意識されていることは何ですか?
「ダパイダン105」は、台湾の屋台をイメージした酒場がコンセプトです。最近は商業施設に入るような綺麗な店舗も増えましたが、当店が位置するこのハーモニカ横丁のレトロな雰囲気に馴染むよう、あえて“小綺麗すぎない”屋台の空気感を大切にしています。目指しているのは、お客様が仕事帰りに「ちょっと一杯」と、ふらっと気軽に立ち寄れる場所。居酒屋、飲み屋としての存在感を大事にしたいと思っています。

──吉祥寺というエリアは競合店も多いと思いますが、どのように差別化を図っていますか?
おっしゃる通り、周辺には本格的な台湾料理店が数多くあります。その中で私たちが最も大切にし、こだわり抜いているのが、看板商品である「焼き小籠包」です。この味だけは絶対にぶらさない。幸いなことに、お客様からも「ここの焼き小籠包はいつ来ても美味しいね」というお声を頻繁にいただき、これが私たちの最大の強みであり、自信になっています。この核となる部分が中途半端になってしまえば、店の魅力は一気に色褪せてしまう。その危機感を常に持ち、味を守り続けることに全力を注いでいます。
また、もう一つの強みは「活気」です。うちは扉がなく、店の前を通りかかったお客様にすぐ声が届く。ですから、クーポンなどに頼るのではなく、店頭での呼び込みに一番注力してきました。「いらっしゃいませ、どうぞ!」と活気ある声をかけ、店の賑わいを外に伝える。この地道なアプローチが、お客様の足を店内に向かわせる一番の力になっていると信じています。

ダパイダン105_料理写真

「お店=自分」― 成長の原動力と未来への視座

──オーイズミフーズ、またはお店で働く中で、ご自身が成長できたと感じるのはどのような点ですか?
何から何まで成長させてもらったと感じています。新業態の初代店長候補といっても、最初は本当に何も分からない状態でした。例えば売上管理も、当初は手書きで計算していたくらいです。それを一から教えてもらい、今では確立されたフォーマットで管理できるようになった。オーイズミフーズは、やる気さえあればいくらでも周りがサポートしてくれ、セミナーなどで学ぶ機会も与えてくれる会社です。成長したいと願う人間にとって、これ以上ない環境だと思いますね。

──最後に、店長としての仕事のモチベーション、そして今後の目標をお聞かせください
一番のモチベーションは、やはり「家族」の存在です。お店のオープンとほぼ同時期に子どもが生まれ、背負うものができたことが、私を強くしてくれました。そしてもう一つは、非常にシンプルですが「売上」という分かりやすいスコアを達成していくことです。結果が全て、と言うと少しドライに聞こえるかもしれませんが、自分の仕事の成果が数字として明確に表れる。それは厳しい反面、大きなやりがいでもあります。
この会社では「お店=(イコール)自分」なんです。スタッフのミスも自分の責任ですが、お店が達成した成果もまた、自分の評価として返ってくる。その責任と評価のダイレクトさが、店長職の面白さだと感じています。
直近の目標は、少し落ち着きを見せている売上を再び上昇気流に乗せること。昨年が好調だった分、今年の目標は決して低くありません。特別な奇策があるわけではありませんが、これまで通り、自慢の焼き小籠包の味を守り、店頭で活気を出し、経費を管理する。そういった地道なことを、真面目に、愚直にやり続けるだけです。その先に、お客様の笑顔とお店の賑わいが待っていると信じています。

ダパイダン105_岸上店長

編集後記

インタビュー中、岸上店長は何度も「地道なことしかしていない」「真面目にやってきただけ」という言葉を口にされていました。その謙虚な言葉の裏には、逆境を乗り越えてきた者だけが持つ、確固たる自信とプロフェッショナリズムが滲み出ていたように感じます。お店の成功を自分の手柄とせず、マーケットの力や仲間の支えがあったからだと語る姿に、その誠実な人柄がうかがえました。家族という守るべき存在を得て、コロナ禍という荒波に漕ぎ出した一人の飲食人として、岸上店長の情熱と活気が、これからもハーモニカ横丁の賑わいを担っていかれることを楽しみにしています。

    ▼株式会社オーイズミフーズの求人情報を見る



>この記事をはじめから読む