本社エントランスで笑顔の木野目さん


全国でグループ総計1,296店舗(2023年9月末現在)を展開している日本生まれのハンバーガーブランドであるモスバーガー。今回取材をさせていただいた株式会社モスストアカンパニーは、本部である株式会社モスフードサービスが100%出資する子会社で、2023年9月末現在では全国209店舗を保有。FC加盟店の中で最大級の企業です。

今回お話を伺ったのは、株式会社モスストアカンパニーの代表取締役である木野目 徹也さん。これまで同社では、株式会社モスフードサービスから代表取締役への出向を行っていましたが、2023年6月、初めてプロパー社員からの抜擢となりました。経営思想や理念はすべて本部に則りながらも、「今までよりもこれからが大変だが、やりがいがある」と意気込む木野目さんに、独自の思想をもって運営していくこと、そして今までとは一味異なる事業に対しての想いや取り組み方について、お話をお伺いしました。

▼プロフィール
木野目 徹也(きのめ てつや)さん/株式会社モスストアカンパニー 代表取締役
高校卒業後、地元青森のモスバーガーにて店舗勤務からスタートし、北日本支社の支社長、東日本支社の支社長を経て、2023年6月に株式会社モスストアカンパニーの代表取締役として就任。現場のことを誰よりも知っていると自負し、また同社の代表として初めてプロパー社員が就任したケースを創った。
「ブランドの価値を高め、地域に根付くお店を1つ1つ丁寧に作っていく」という経営方針を掲げ、新たな企業、そしてモスバーガーという店舗の存在意義を示していく。

最初から”縁”のあったモスバーガー

──木野目さんは現場出身だとお伺いしました。モスバーガーとの出会いはどういったものだったのでしょうか。
私は青森県出身で、東北のメガフランチャイジーに入社したことがモスバーガーとの出会いです。

高校を卒業し、大学へ行くより早く就職したかったこともあって、就職先を探す中で目に留まったのが某ファストフード店の店長候補でした。高校生の時に食べたその味を思い出し、こういう場所で働いてみたい、と思ったのが入社の動機です。1986年、18歳の頃でした。
その企業の事業の一部として、モスバーガーのFC店があったんです。
もともとは別ブランドの店長として応募したんですが、研修が終わった際、「あなたはモスバーガーの方が向いている」といわれて配属になったんです。当時青森にはモスバーガーは2店舗しかなかったですし、私自身行ったことがないと思い込んでいたので、”モスバーガーってどういったブランドなんだろう”というのが第一印象でした。

──意図せずにモスバーガー勤務になったんですね。
そうです。配属先は青森市のモスバーガー。
そしてその店舗を見た時、「ここでモスバーガーを食べたことがある!」と思い出したんです。

インタビューにこたえる木野目さん

モスバーガーとの出会いについて嬉しそうに話す木野目さん

高校生の頃、当時好きだった歌手のライブのために、田舎から7時間かけて青森市に行ったんですが、その道中に付き添ってくれた叔父から「おいしいハンバーガーがあるから寄っていこう」と提案されたんです。結構時間がかかったので、正直その時はライブに遅れてしまう!という焦りの方が先だったのですが(笑)、いざトマトが載ったハンバーガーを食べてみると、おいしい!って感動したんです。

その時に寄ったお店というのが青森市のモスバーガーであることに改めて気づき、そして初めての配属先だった。今まで知らない、食べたことがないと思っていたこのブランドに、実は高校時代に接点があったんです。
これには本当に何かしらの”縁”を感じましたね。

──現在の代表取締役へと就任した経緯についても教えてください。
モスバーガーでは店舗勤務をしながら、誰よりも自分がいち早くハンバーガーをつくれるようになろう、誰よりも自分が先にレジをできるようになろうなど、がむしゃらに働いていました。そうすることで、20歳で店長になることができたんです。これは私の中でも自慢の一つですね(笑)。

結局当時勤めていた企業はなくなってしまい、今のモスストアカンパニーの前身となる企業に転職。
そこから会社としてどんどん成長を続け、私自身の経歴としては、北日本支社の支社長、東日本支社の支社長と主に東日本のエリアを担当してきました。そして今回2023年6月に、西日本も含めた株式会社モスストアカンパニーの代表として就任させていただきました。

まさか選ばれるとは思ってもいなかったのですが、私が代表として就任したことでただ1つ言えるのは、後続の夢とか期待に繋がった、ということです。今まで当社の代表取締役は、本部である株式会社モスフードサービスの社員が出向として着任していました。私のように、株式会社モスストアカンパニーの社員(プロパー)として働いてきた人が代表に就任したというのは、当社史上初。だからこそ、「木野目さんが社長になったんだ。だったら自分たちも現場から社長になれるんだ」と、今いる現場のSVであったり、店長の夢になったのでは思います。そしてこれからはもっと「ここは自分たちの会社である」という意識を持っていただきたい。そういった未来を作り出すことができた、先を少しでも明るくすることができたのは嬉しいです。

今当社で勤務している社員と同じく現場からずっとやってきたからこそ、今までの代表者が体験してきていない、また直営ではないFC加盟店の社員としてのやり方であったり想いは十分に把握しています。この”さまざまな部分が見える”ことを今後に活かしていきたいです。

FC加盟店にはFC加盟店だからこそのやり方・強みがある

──企業としての魅力や強みはなんでしょうか。
当社は本部の子会社ですし、あくまでもFC加盟店をまとめる企業ですので、モスブランドの発展のために店舗数を増やしていく足掛かり、いわゆる歯車の一つです。
ですが、決して自分たちが歯車であるとは思っていません。私たちは目的の1つである「地域に根付いたお店を1つ1つ丁寧に作っていくこと」を指針に持って運営しています。実はこれが今期私が掲げた活動方針なんです。

活動方針についてホワイトボード前でお話しする木野目さん

誰もが「モスバーガーで働きたい」と思ってもらえるようなお店づくり、が代表就任最初に掲げた活動方針

FC加盟店の数ある企業の中でも、株式会社モスストアカンパニーのお店っていいよね、素敵なお店だよね。といわれることはもちろん、自他ともに認められるお店になれば収益もしっかり獲得できるお店になる。
そしてこの指針を実現するためのブリッジとして、例えば他のFC加盟店に店舗づくりのやり方を広めていく(傾向化)ことであったり、FC店としてなかなか出店できないエリアに当社のノウハウをもって展開していく。私たちが売上げも店舗も育てていき、ゆくゆくは他のオーナーさんにお店を譲る、といった動きに徹することができるのです。

店舗作りサイクルの図

同社ならではの店舗作りサイクルで、ブランドの価値向上・拡大をめざしています。

つまり「地域になくてはならないお店づくり、そしてブランド自体の価値感を更に高めていく」という使命に特化しているのが、私たちの強みだと自負しています。

──FC加盟店だからこそ、ブランド価値の向上に特化して努められるのですね。
そうですね。
おいしいものをよいサービスで、きれいなお店で提供していくことは今までもやってきていますし、これからも変わらないスタンスです。全体的なモスブランドという枠組みの中でも、私たちの会社だからよりよいお店を作っていける。ブランド内でも良きライバルとして、となりのお店よりも更によいお店へと昇華させていく。株式会社モスストアカンパニーが運営するモスは素敵なお店というキーワードを下に、この指針をさらに磨いていきたいと思っています。

──経営や運営の考え方についてはいかがでしょうか。
モスの経営理念である「人間貢献、社会貢献」「感謝される仕事をしよう」といったブランドとしての方針は基本そのままで運営しています。これらから逸脱することはなく、当社が展開する全店舗の共通認識になるように取り組んでいます。

基本方針についてお話しされている木野目さん

ブランドとしての基本方針を何よりも大切に、FC加盟店だからこそできることに注力

これらに加え、当社では前任の時代からずっと、仕事するうえで「物事の判断は、損得ではなくて善悪」という決して譲れない考え方があります。

──善悪の判断、というのはどういうことでしょうか。
詳細にお話ししますと「自分がそれをされたらどうなの」「相手がそれをされたらどうなの」というところですね。得をする・楽をする、自分が損をする、といった考え方ではなく、相手がこれをしてくれてよかった、ありがとうって思われるような行動をしようと。
これは取り引き先やお客様であったり、近隣の地域住民であったり…、関わるすべての方々に関係するものです。自分の発言が意図せずとも相手に不快感を感じさせることもあるので、「自分がされたらどう思うのか、相手がどうとらえるか」を常に考えて行動すれば、おのずと答えは見えてきます。

この考え方は研修や現場の店長会、SVの方針会などでも私自身が話をして落とし込んでいます。損得ではなく善悪といったところを、事例なども含めて話す機会は非常に多いです。

ホワイトボードを指さしながらお話しされている木野目さん

ただ方針を示すだけでなく、しっかりと各スタッフにその考え方を伝えることも忘れていません。

代表就任前から取り組んできた、木野目さんならではの改革とは

──これまでの運営において、変えずにきたもの。逆に変え続けてきたもの。それぞれありますか。
モスブランドとしての理念や価値感など、基本方針は決して変えてはいけないものだと思います。
代表就任前から私自身がずっと変え続けようと努力してきたことでいえば、「社内での人との接し方」です。今までの役職といった立場から生まれる”上下関係”を取っ払い、キャストを含んだ現場のメンバーとしっかりとした繋がりを作って、なんでも相談できるような関係性を作ることに注力してきました。

私は役職者である前に、木野目という個人です。
あくまでも個人として社員に接してきましたし、それは代表取締役となった今でも変えるつもりはありません。そうすると相手も肩書きに対してではなく、個人として応対してくれるんですよね。

オフィスで社員の方と笑顔でお話しする木野目さん

肩書きではなく個人として接する。木野目さんの人柄があるからこそのコミュニケーション術。

──今回、別で現場に取材をさせていただいた際、たしかに社員同士の繋がりや深い関係性を感じることができました。
そういった関係性はもちろん、サポート体制といった面も構築していきます。
例えばあるお店で人が足りなくなればみんなでサポートしますし、ある社員の休みが取りにくい状態であれば、みんなでヘルプに行く。そういったサポート体制をどんどん広げていきます。この体制づくりがコロナ禍でうまくできなかったので、今後はSV会や社内会議などで「仲間は全国にいるんだ!」ということを伝えていきたいと思っています。

今までは東日本の担当でしたので、実は西エリアにはあまり行ったことがありませんでした。改めて代表就任の際に西日本の店舗へ伺ってみると、すごく真面目な印象を受けました。逆にそれが私(代表取締役)との距離を感じてしまったんですね。
真面目に一生懸命やるのは非常に良いことです。
ただ同じ分だけ周りにも頼ってほしいですし、信頼できる仲間がいることで、仕事だけでなくプライベートや遊びも充実させてほしい。

今までは集合したり、リアルでの対面はなかなかできなかったので、実際に対面して会話をすることで、横のつながりはより強固になっていくと思います。私たちは1つのチーム。そして私はそのチームのリーダー。率先して上下関係を取っ払って接することで会社全体をそんな雰囲気に変え、「モスに入ってよかった」「木野目さんと一緒に仕事できてよかった」と思ってもらえるような環境にし、この関係性やサポート体制自体を当社の強みとしていきたいです。

会議室で社員のみなさんとお話しされている木野目さん

今でも良好な関係性を感じられますが、これから更に雰囲気が向上していくと考えると、期待も大きいのではないでしょうか。

──貴社で働く上で意識してもらいたいこと、大切にしてもらいたいことはありますか?
一緒に働く仲間への気配り・目配り。そして「ありがとう」という感謝の気持ちを自分の言葉で伝えること。これだけは大切にしていただきたいです。

なかなか口で言わない人が多いんですが、この「ありがとう」という言葉は魔法の言葉だと考えています。誰でも自分のことを認めてもらったり、自分がやったことに対して感謝してもらうことで、次も頑張ろうという気持ちが芽生えるんです。「今日も暑い中、遅刻せずに来てくれてありがとう」など、日常のことすら当たり前と考えるのではなく、そう一言声をかけること自体が大事だと思っています。

コロナ禍ではより顕著に現れていたのですが、この部分を大事にしてこなかったお店は離職率が高くなったり、体制がぼろぼろと崩れていっていると見受けられます。だからこそ当社の社員、特にチームを引っ張るSV以上の皆さんには、ここだけは徹底するように伝えています。
最終的にはこの考えが全社に浸透し、お客様や店舗で働く皆さんの「ありがとう」が飛び交う店舗にし、そしてそこに喜びを感じてくれる社員を増やしていきたいです。

今後向かっていく企業の在り方への想い。最後はやはり働く社員を大切にする思想がありました

──貴社だからこその事業アイデアや取り組みについて、ご紹介お願いします。
直営店ではない私たちだからこそでいうと、モスブランド全体の「新しい試みや取り組み」です。本部が始めたい施策のテストなどを、まず当社で試験導入し、そしてその結果をもとにした改善案などを提案できるんです。内容は役員会から降りてきたものであったり、現場からの声を吸い上げたアイデアであったりさまざま。
モスブランドとして更にお客様満足度を上げるための施策を実験するステージであり、ゆくゆくは全国の店舗や加盟店の店舗にご紹介できるというこの役目は、かなり誇りを持っている部分でもあります。

──これまでの運営の中で、一番苦労したことはありますか。
私はまだ2023年6月に就任したばかりなので、実質”これから”の事業計画で苦労していくと思います。

インタビューに笑顔でこたえる木野目さん

これからが大変と語りながらも、笑顔がこぼれる木野目さん

私たちの企業の役目というのは、やはり出店を続けていき、ブランド価値を高めていくことですが、残念ながら出店スピードに社員数が足りていないのが現状です。
それでも人がいないからという理由で、出店ができないとは言いたくない。
半年で副店長、入社3年以内に店長といったように人がいち早く成長できる環境を作り、労働環境も改善し続け、壁のないコミュニケーションやサポート体制を企業として整えることが最優先ですね。ゆくゆくは社員1人1人に「自分が勤める店舗・モスブランドへの愛着心」を持てるような働き方を実現させたいです。

もう一度言いますが、私が今までの当社代表と異なるのは、生粋の株式会社モスストアカンパニーの現場上がりということ。当社各地の支部やFCオーナー会にも行かせていただいたり、個人オーナーさんのお店に訪問して事務所を見せていただいたり、確固とした関係性をしっかり築いてきました。そしてそれはこれからも当社がやるべきことだと思っています。

オーナーさんというのは、自分のお店、キャスト、自分たちの地域を盛り上げていきたいという意思を持って運営していらっしゃいますので、私たちがめざす姿というのはその想いに近いんです。まさしくこれがモスらしさですよね。だからFCオーナーさんに教えられている部分はかなり多いんですよ。

このような部分をしっかりと社内に伝えていくことが自分の役目だと思います。お店の存在意義を伝えることで、店舗や地域に愛着がわきやすくなる環境を作る。そしてそれこそが今後当社の新たな経営理念となっていくのでは、とも考えています。

モス店舗で笑顔のスタッフ4名

スタッフが、本当の自分のお店のように考え、活躍する。その姿・未来が容易に想像できます。

──最後に。木野目さんがめざす、今後の展望やビジョンはなんでしょうか。
働いている皆さんが誇りを持って、モスストアカンパニーで働いてよかったな、と思ってもらえる会社にしたい。それしかないですね。

うまくはいえないんですが、自分が作った商品を目の前で食べてもらって反応が直に見えるというのは、飲食業界ならでは。お客様と直接関わることができるのは、素晴らしい仕事です。美味しい料理だけでなく、その料理に付随するサービス、笑顔、一言を通じて、多くの人に喜びや幸せを届けられることに何よりも誇りを持ってほしいです。

本社エントランスで笑顔の木野目さん

まとめ

全国でグループ総計1,296店舗(2023年9月末現在)を展開し、そのうちの全国209店舗(2023年9月末現在)を保有するFC加盟最大級の企業である株式会社モスストアカンパニー。2022年度 JCSI(日本版顧客満足度指数)でモスバーガーは飲食業種で2位を獲得しています。モスグループの経営理念は「人間貢献、社会貢献」。これはモスの創業者である櫻田慧さんの想いが込められています。
同社でも各店舗前の清掃活動等を積極的に行っており、地域に貢献するやりがいや地域住民とのふれあいの機会が自然と生まれているとのこと。
今回の取材で一番印象的だったのは災害時のお話でした。記事内容では紹介していませんが、被災した土地で食べ物がなく困っている地域住民に、店舗の食材を炊き出しで提供していたのだとか。何よりその提案をしたのは上層部ではなく、現地の社員だったということが驚きです。

社員同士のつながり。地域住民とのつながり。そういった関係を少しずつ積み重ねることで、株式会社モスストアカンパニーならではの店舗が増えていく。その人のため、その地域のために頑張ろうという思いを持つ社員たちの集団であることから、創業者 櫻田慧さんの想いを何よりも正しく継承している企業だと強く感じました。

FC加盟店にはFC加盟店ならではの強みや想い。
今回の記事で同社に興味を持たれた方は、ぜひ求人情報も覗いてみてはいかがでしょうか。

    ▼株式会社モスストアカンパニーでは一緒に働く仲間を募集中!




>この記事をはじめから読む