赤い湾曲した資格の皿の上に和食が盛り付けられている写真

「板前の収入って一体どれくらいなんだろう?」

板前になりたいと思ったとしても、直接店舗で働く板前さんにお給料の話を聞くのはちょっと勇気が必要ですよね。

しかし、大前提として生きていかなければならないので「修業中は収入のことは一切気にしない」ということは難しいです。

この記事では、実際の現場にいた元板前であるライターBORIより、実体験ベースで板前のお給料について以下のことを紹介します。

  • 年収の相場
  • 昇給のタイミング
  • 福利厚生の有無
  • 実際の生活コスト

収入の予想や実際の板前修業生活における支出などを自分のことに置き換えて予想しながら、ぜひ一度参考にしてみてください。

板前の年収の相場

扇状に積み上げられた札束と給料支払明細書が置かれた写真

200万円〜400万円が修業中の年収目安です。

小規模(調理師5人以下)〜中規模(調理師10人程度)の職場を例として挙げますと、修業開始時(見習い)の入社した時点で13万〜15万円ほど、成長や昇進に合わせて月収20万円ほどになります。

一人前の板前として独立をせずに店舗で働いている場合も30万円前後の方が多い印象でした。

板前のお給料は職場の地域や規模によって変わる?

相場を”一例”としましたが、ホテルなど、社員として働いている場合は、社会保険などの福利厚生もついて最初から15〜18万円ほど頂ける場所も。

また、旅館などの生活圏内にない職場などは比較的お給料が高かったりもします。

お給料が安定する順番に考えると以下の順になります。

  1. ホテル・グループ店などの企業
  2. 料亭・旅館などの大型店舗
  3. 個人経営の料理店

経理部が存在したりもする大型店舗(ホテル・チェーン店など)は、最低賃金や福利厚生が保証されている場合が多いです。

規模の小さなお店になるほど、お給料や福利厚生に関しての内容は固定化されなくなってきます。

板前の昇給のタイミングは年数or担当ポジション

黒板に男性が階段を上っている様子がチョークで描かれている写真

大きい職場なら存在することもありますが、飲食店では基本的には部長・課長などの”役職”はほとんど存在しません。

あるとしても料理長、副料理長、現場主任、といった程度。

役職の代わりに存在するのがポジション(持ち場)です。

板場、煮方、焼き場、揚げ場、先付け八寸、脇鍋など、ポジションによって店舗内での立ち位置が変わります。

板前の昇給のタイミングは以下の2つのパターン。

  • 年数
  • 担当ポジション

年数でも担当ポジションでも、昇給を検討する際の共通点は「お店の中での重要度」です。

ポジションによる重要度や、原価計算や資材発注の管理、人材教育の担当など、お店での重要度が高くなるにつれて、評価も上がります。

年数

入店から何年経ったかで変わります。相場感は1年で1万円ほど。

飲食店では器の置き場やお店のメニューにおけるルールなど、各店舗で全くルールが異なるので、「そのお店のルール」を理解してくれている人材は、料理の腕前と同等以上に評価されます。

逆に、年数を重ねてもお店にとっての重要度が変わらない場合は昇給しなかったりもします。

ポジション

持ち場の重要度によってお給料が変化します。

ただ、ポジションによってお給料が決まるというイメージではなく、脇鍋→八寸、八寸→焼き場など、徐々に重いポジションを担当していく場合に昇給が発生ます。

また、若手教育のために先輩が後輩とポジションを入れ替えたりすることもありますが、焼き場→八寸に変わるからといって先輩のお給料が下がることはありません。

こちらもざっくりとした相場感ですが、ポジションがひとつあがるごとに1万円ほど昇給したりします。

板前の福利厚生

ノートの上に「有休休暇届」と書かれた紙が置かれている写真

福利厚生というと難しい言葉に感じますが、福利厚生とは雇用側が被雇用者に対して支給する”お給料以外の報酬”のことです。

法定で定められたものと、法定外のものが存在します。

板前の法定福利厚生

個人の飲食店の場合、一般企業のような社会保険制度(雇用保険、厚生年金など)が導入されていないお店も多いです。

しかし、個人の飲食店同士で料亭組合などを作り、国民健康保険に安価で入れるように対応をしたりします。

一定以上規模の大きい企業の場合は福利厚生を義務付けられたりしているので、法定福利もしっかりとしている店舗が多いです。

板前の法定外福利厚生

板前の世界では以下の法定外福利厚生により、生活面にかかるコストが一般会社員の方よりもグっと安くなることが多いです。

寮(住宅補助)

一棟まるごとお店で使っている場合、お店の裏、最上階などに、若手の為の部屋が一室確保されている場合も少なくありません。

また、お店に寝泊まりするスペースがなくても、お店としてアパートの一室を借りたりして、若手のお給料への負担を減らしたりしています。

お店側としても、各社員1人1人に住宅手当を渡すよりも、自社で住居物件を持って従業員のために用意しておく方が予算もハッキリしているので、都合がいいのです。

まかない(食事補助)

まかないはお店によって様々ですが、勤務時間によって1食のところもあれば、3食出るところも。

仕込みの際に出る食材の切れ端などを捨ててしまうのではなく、従業員のまかないとすれば廃棄を減らし食費も抑えられるので、まかないは店舗・従業員の双方にとって重要な福利厚生になります。

板前修業中の生活コストはどのくらい?

家計簿の上に電卓と赤青の鉛筆が置かれている写真

年収が200万円〜400万円となると、正直年収が高いとはいえません。

しかし、生活が苦しい訳ではありません。実際の生活コストについても考えてみましょう。

まかないと寮制度で低コストな生活が実現する

住環境があることと出勤の日の食事を職場で済ませることができるので、生活にかかるコストは、休日の食事とスマホ代だけという場合もあります。

収入が多くなくても支出も少ない。よって、お金は貯まります。

むしろ、仕事に没頭していると飲み歩いたりなどもしないので、お金を使うタイミングがない場合も。

板前の1ヶ月の収入と支出のイメージ

実際の板前修業中の方を想像し、わかりやすいように表にしました。

項目 内訳 金額 備考
収入 お給料 150,000 福利厚生を含む
支出 家賃(寮) -10,000 店舗にある住み込み部屋
食事代(休日3食&平日朝) -20,000 平日朝300円、休日を2〜3食を2,500円程度
固定費 -10,000 スマホ等
雑費 -20,000 週に1回5,000円
交際費 -20,000 週に1回5,000円
収支合計 残高 60,000

こちらはかなりシンプルなイメージの表ですが、普段の生活にかかるコストや家賃などの固定費が極端に安いため、大きな差はないでしょう。

福利厚生の有無、まかないや寮制度があるかどうかで手元に残るお金がかなり変わってくることがわかります。

板前になるときにお給料について覚えておきたい4つのポイント

黒いお盆の上に四角い皿と四角い箸置きに置かれたお箸、モミジが飾られている写真

板前という職種のお給料について紹介してきました。ここで改めて板前のお給料について覚えておきたい4つのポイントをまとめます。

  • 年収は200万〜400万
  • 昇給のタイミングは年数か担当ポジション
  • 福利厚生(法定内・外)の有無(店舗の規模)
  • 重要なのは年収の大きさではなく収入と支出の計算

以上の4つが板前修業において、お給料の面を検討する際に重要な指標になります。

ただ年収の額面だけを見ると少々不安に感じる面もありますが、福利厚生で抑えられる生活コストを考えれば、一人暮らしをして家賃や食事代を自分で賄いながら生活する会社員のお給料よりも、手元に残るお金は多くなったりします。

もし、板前修業に踏み出そうと考えているのであれば、ぜひ上記の4点をチェックしてみてください。

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