オーダーを取るポニーテールの女性

今回、飲食に関する業務についている方へ『食に関するスキル資格』について、アンケートを実施しました。
飲食経験者ならではの特性は何か?強みは何か?について、まとめました。

アンケート対象について

アンケートの期間は2020年11月20日(金)~26日(木)で、有効回答数は447名ありました。
※転職活動中の方は直近の勤め先の内容で回答

調査名 「食に関するスキル、資格についてのアンケート」
調査対象 日本全国の飲食店関係者
有効回答数 447(男性:295、女性:148、指定なし:4)
調査期間 2020年11月20日~2020年11月26日
調査方法 インターネット調査

■回答者の年代

年代別の回答数を表した円グラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

■回答者の就業状況

回答者の男女比を表したグラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

飲食業界で働くことで培われるスキルや、強みとは?

どんな仕事においても、日々さまざまな課題が生まれ、解決し、身についていきます。
では、飲食業界で従事しているうちに身につく「スキル」や「強み」とはなんでしょう。

総合ランキングトップ5

1位:効率的に仕事を進める、段取り力
2位:人間関係を良好に築くコミュニケーション能力
3位:チームワーク
4位:仕事に優先順位をつける、スケジュール管理能力
5位:粘り強くコツコツと続ける持続力、継続力

<飲食業界で働くことで培われるスキル、強み>※複数選択可

培われるスキルや強みについて表したグラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

仕事を通して培われたと思う能力として、「段取り力」がおおよそ60%を超える回答を得られました。
職種問わず、業務の同時進行をすることの多い飲食業界では、効率よく仕事を行う必要があります。
また、「コミュニケーション能力」が約50%、「チームワーク」も約49%と追随しており、仕事をするうえで、仲間とうまく連携を取る力が自然と培われていくことが結果からも分かります。

年代ごとの回答を見ると、30代~50代では「仕事に優先順位をつける、スケジュール管理能力」がいずれもトップ3位以内でした。
長く仕事を続けることによって「スケジュール管理能力」が培われ、自身の強みと感じているようです。

■職種別のランキング

調理系ランキングトップ5

1位:効率的に仕事を進める、段取り力
2位:仕事に優先順位をつける、スケジュール管理能力
3位:粘り強くコツコツと続ける持続力、継続力
4位:人間関係を良好に築くコミュニケーション能力
5位:チームワーク

サービス系ランキングトップ5

1位:チームワーク
2位:人間関係を良好に築くコミュニケーション能力
3位:効率的に仕事を進める、段取り力
4位:お客様の顔や注文を覚える、記憶力
5位:粘り強くコツコツと続ける持続力、継続力

店長・SV系ランキングトップ5

1位:人間関係を良好に築くコミュニケーション能力
2位:効率的に仕事を進める、段取り力
3位:部下の能力や行動を引き出す、コーチングスキル
4位:チームワーク
5位:クレームに対応する対人スキル

調理系では、「段取り力」「スケジュール管理能力」など限られた時間で効率よく調理をする技術
サービス系では「チームワーク」「コミュニケーション能力」などのお客様や同僚などの人との関わり方
店長・SV系では、「コーチングスキル」「クレームに対応する対人スキル」などのマネジメントスキルが培われることがわかり、それぞれの職種の特徴がよく反映されています。

飲食人の保有資格は「調理師」と「食品衛生管理者・食品衛生責任者」が多数

保有している資格について、職種別にランキング形式でご紹介します。
もし、気になるものがあれば受けてみてはいかがでしょうか。

■調理系

調理系ランキングトップ5

1位:調理師
2位:食品衛生管理者・食品衛生責任者
3位:資格は所持していない
4位:ふぐ調理師、ふぐ包丁師
5位:製菓衛生師

<保有している食に関する資格>※複数選択可

調理系の回答者の保有資格を表したグラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

調理系では、「資格は所持していない」と回答した方は20%以下と、サービス系や店長・SV系と比べて少ない割合でした。
また、60%以上の方が「調理師」の資格を保有しており、その他にも現場で活かせる資格を保有している回答を多く得られました。

「食育インストラクター」「食生活アドバイザー」「野菜ソムリエ」などの食生活や食材に関するアドバイスが可能な資格を保有する方も多かったです。

■サービス系

サービス系ランキングトップ5

1位:資格は所持していない
2位:調理師
3位:食品衛生管理者・食品衛生責任者
4位:その他
5位:ソムリエ・ワインエキスパート

<保有している食に関する資格>※複数選択可

サービス系の回答者の保有資格を表したグラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

サービス系では60%以上の方が「資格は所持していない」と回答しました。
資格がなくても業務が可能である一方で、資格を持っていることにより差別化が図れます。
また、仕事の幅が増えたり新店舗のオープン時の抜擢など、新しい挑戦やキャリアアップのきっかけにもなります。

「その他」と回答したの中には、民間資格の「料理検定」や「和食検定」、レストランサービスのプロを目指す方の国家資格「レストランサービス技能士」や「専門調理師」などもありました。

■店長・SV系

店長・SV系ランキングトップ5

1位:食品衛生管理者・食品衛生責任者
2位:調理師
3位:資格は所持していない
4位:その他
5位:ソムリエ・ワインエキスパート

<保有している食に関する資格>※複数選択可

店長・SV系の回答者の保有資格を表したグラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

店長・SV系では、40%以上の方が「食品衛生管理者・食品衛生責任者(※)」、次いで約33%の方が「調理師」の資格を保有されていました。
※クックビズ総研「飲食店を開業するために必要な資金・手続きを紹介します!」参照

また、サービス系でもランキング5位に入っていた「ソムリエ・ワインエキスパート」の資格が、店長・SV系でも同様にランクイン。ランキング外ではありますが、「日本酒検定・唎酒師」の資格を保有しているという回答もあり、お酒に関する資格も人気のようです。

珍しい資格では、「HACCPコーディネーター」「シガーマネージャー」を保有されている方もいました。

半数以上が「食の安全や衛生に関する知識」が身についた

飲食業界では以前は「職人気質」というイメージも強くありました。では、その身に付けてきた「技術」や「知識」にはどのようなものがあるのでしょうか。

総合ランキングトップ5

1位:食の安全や衛生に関する知識
2位:包丁さばき
3位:魚の知識
4位:店舗運営(仕入れ調整・在庫管理)
5位:お肉の知識

<これまで身に付けてきた技術や知識>※複数選択可

身に着けた技術や知識について表したグラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

これまで身に付けてきた技術や知識について質問したところ、「食の安全や衛生に関する知識」が1位でした。
美味しい料理や、心地よい場面を演出するのはもちろんのこと、食べ物はお客様が口にするものです。飲食店には、食の安心と安全が求められています。
また、コロナ禍においては、飲食店の感染対策なども注目を浴びていることから、さらに関心が高まっていると思われます。

■職種別のランキング

調理系ランキングトップ5

1位:包丁さばき
2位:食の安全や衛生に関する知識
3位:魚の知識
4位:野菜の知識
5位:お肉の知識

サービス系ランキングトップ5

1位:サービスマナー立ち振る舞い
2位:店舗運営(クレーム対応・接客対応)
3位:店舗運営(仕入れ調整・在庫管理)
4位:店舗運営(スタッフ管理・育成)
5位:お肉の知識

店長・SV系ランキングトップ5

1位:店舗運営(クレーム対応・接客対応)
2位:店舗運営(スタッフ管理・育成)
3位:店舗運営(原価計算・売上分析・予算管理)
4位:店舗運営(仕入れ調整・在庫管理)
5位:店舗運営(経営計画・コスト管理)

調理系では調理に関する専門知識、サービスや店長・SV系では店舗運営に関するスキルが身についていることがわかります。
また、意外なところでは、サービス系のランキングの5位に「お肉の知識」が入りました。回答者の業態を確認すると「フレンチ」「ホテル」「居酒屋」などであることから、接客時に料理の説明を行うため自然と知識が蓄積していったのではないでしょうか。

飲食業界で培われるビジネススキルとは?

ビジネススキルとは、社会人として仕事を行う上で役に立つ技術や能力を指し、ここでは飲食業界独自の資格や知識ではなく、基本的で汎用なものを指します。
では、飲食業界で従事するなかで、どのようなビジネススキルを身につけられるのでしょうか?

総合ランキングトップ5

1位:社員やアルバイトなどのシフト管理
2位:PCスキル(メール作成)
3位:人材採用ノウハウ、面接スキル
4位:PCスキル(ビジネス文書作成)
5位:SNS運用

<身についてるビジネススキル>※複数選択可

身についたと思うビジネススキルを表したグラフ

「食に関するスキル、資格に関するアンケート調査」クックビズ調べ(2020年)

「社員やアルバイトなどのシフト管理」、「PCスキル」が全世代で上位に入りました。
飲食店運営においても、メール対応や資料作成などのビジネススキルは求められ、日々の業務の中で身につけられる業種であると言えます。
また、大手でお勤めであれば、人材採用は本部一括でされることもありますが、個人店やアルバイト・パート採用は現場で行われることも多いので人事のノウハウも身につきます。

世代ごとの回答を見たところ、20代では「SNS運用」がほかの世代に比べて上位にランクインしました。SNSを積極的に活用している、いわゆるZ世代は、SNSによる店舗集客にも一躍買っているとも言えるのではないでしょうか。

まとめ

今回のアンケートでは、飲食業界で働く方が多くのスキルや強みをお持ちだということがわかりました。

「段取り力」や「スケジュール管理能力」などは、どの業種業態でも求められる普遍的なスキルです。
「コミュニケーション能力」は、特に個人向けの営業職や販売職でなどに活かせたり、接客対応やクレーム対応のスキルは、コンビニスタッフやコールセンタースタッフなどでも活躍が期待できます。
「コーチングスキル」や「マネジメントスキル」は、塾などの教育関係の仕事にも活かすことができるでしょう。

転職の際に振り返ることが多い自分の強みやスキルですが、新型コロナウィルスの影響により、シフトの減少・休業、配置転換などをで思うように働くことができなくなった方や、飲食業界が復活するまでに新しい知識、経験を得るための副業を検討している方は、この機会に一度振り返ってみてはいかがでしょうか。