食メンTOP「小松勝治氏」

今回、第11回目となる「食のメンター」にご登場いただくのは、レストランのオーナーシェフから、農家へ転身された小松 勝治さん(六次産業 無添加LOHAS食材 ドリームファクトリー 代表)です。飲食業界では、今、「安心・安全な食」への関心の高まりから、契約農家から食材を直接仕入れる飲食企業・店舗が当たり前のようになりました。さらに、「六次産業化(※注1)」という潮流が生まれ、ワタミやAPカンパニーのように、自社でも一次産業(農業など)から手がける外食企業も増加中。企業だけでなく、個人店レベルでも、産地とつながり、食材にこだわるシェフ、飲食経営者が増えています。

そんな背景もあり、今回の「食のメンター」では、個人のレストランオーナーから、農家へと転身された小松さんをクローズアップ!六次産業化の流れは、何も企業に限った話ではありません。料理人出身・飲食業界から、農業に進出する際の強みやビジネスのポイント、さらにきびしさまでをお伝えします!

小松さんが農家になったのは2012年、なんと47歳の時ですから驚きです。農業を始めるにあたっては、8年間経営したレストランを閉店!現在は、大阪・堺で農園を運営するかたわら、自家農園で取れた有機野菜ハーブを使ったお料理を、「ロハスフェスタ」「アースデイ神戸」など、全国各地のイベントやケータリングカーにて販売されています。では前置きはこれくらいにして、「Cook+総研」編集スタッフ:ハコベによるインタビュー内容をお届けします!

(※注1)六次産業とは、農業や水産業などの第一次産業から、食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態を指す。また、外食企業などが第一次産業まで経営を多角化させることを六次産業化と呼ぶ。第一次産業の1、第二次産業の2、第三次産業の3を掛け合わせると「6」になることから生まれた造語。

オーナーシェフから、農業・六次産業へ転身

元オーナーシェフ。農業と移動販売業を手がける小松氏。

元オーナーシェフ。農業と移動販売業を手がける小松氏。

クックビズ(以下、ク):小松さんは、オーナーシェフとして8年間レストランを経営した後、農家へ転身されたと伺っております。なぜレストランオーナーから農業へ、といった異端とも思われる道へ進まれたのでしょうか?

小松氏(以下、コ):大阪の住吉区帝塚山で開業、その後天下茶屋に移転し、イタリアンを中心とした、オーガニックレストランを経営していました。自分のアイデアを活かした料理を作り、お客様に喜んでいただく。料理人として、経営者として、日々やりがいを感じていましたね。農業に興味を持ったのは自然な流れで。もともと仕入れにこだわっていたので、時期や入手ルートにもよりますが、素材の仕入れに当たり外れがあり、自分が気に入った素材だけを仕入れたいと感じるようになりました。けれどそうすると、配送コストが高くなってしまう・・。そう考えていくと、自分で作ったらいいんじゃないか!と、感じるようになって。

ク:料理人として食材を探求していったことが、農業を始めるきっかけだったんですね。けれどそこから、「じゃあ自分が農業をやろう!」と行動に移せるのはすごい決断が必要だったのではと感じるのですが・・・

小松氏(以下、コ):深刻に考えすぎると、動けないですよね(笑)。昔から、自分のアイデアとそれを形にする実行力があれば、自分はどんな世界でも勝てる。そういう自信があるんです。問題や課題ばかり考えていても、何も始まらないじゃないですか。それで、2012年にレストランを閉店させて、本格的に農業をやろうと。47歳で農家になったんですよ。

ク:すごいですね!その自信というか、決断力はどこから来るのでしょうか。

自分のブランドを作る。飲食業でも農業でも変わらない

photo0011_11コ:これまでの経歴もあるでしょうね。私は、10代後半で海外へ渡り、香港で、雑貨を扱う貿易業をスタートしたんです。貿易事業は順調に拡大していたのですが、次第に、人が作ったモノではなく、自分でデザインしたモノで勝負したいという想いが強くなり、アパレルのデザインから手がけるようになりました。

女性向けのアパレル製品をデザインし、中国の縫製工場に製造を依頼。さらに、日本の自社店舗で販売するという、今で言えばSPAのようなことを、やっていましたね。お客様に私がデザインしたトータルコーディネイトを提案・販売し、満足していただく。モノづくりのやりがいを感じていました。その後、バブルが終わり、安いものが支持される時代になって。安くしてまで、自分がデザインしたものを売りたくないと、アパレル事業はきっぱりやめました。その後、知り合いの料理人に指南をうけたりしながら、独学で料理を学び、レストランをオープンさせたんです。

ク:デザイナーと料理人、一見全く違うフィールドのように感じますが。

コ:自らのモノづくりを通じて、誰かに喜んでもらえたり、笑顔になってもらえる。それが共通事項だと思います。どんな業界でも、自分のアイデアとそれを形にする実行力があれば、どの業界でもやっていける。大事なのは、自分のブランドを確立していくことだと、そう考えています。

ク:深刻に考えすぎると、踏み出せない。自分のブランドを作る。何をやっても、自分のアイデアとそれを形にする実行力があれば、どの業界でもやっていける・・・。デザイナー、料理人、そして農家。職業は変わっても、小松さんご自身の根幹は変わらないんですね。