ホテル飲食店メニューの虚偽表示問題などでゆれる料理人の世界。また一方で消費税増税を前にし、飲食業界では年々、個人店として独立するリスクが高まっているという事実もあります。

そんな厳しい時代でも、料理人の方は、他の業界・職種よりも、独立開業を目指す方がたくさんいるのが特徴。そこで「クックビズ総研」では、料理人の方の目標実現を応援する新コラムをスタートします!

飲食業界で独立を考える料理人に送る、10のメッセージ」と題して、イタリアン料理人である木下誠吾さんから、等身大のメッセージを連載形式でお届けします。
第1回目のテーマは、「料理人は、失敗を失敗と考えるべからず」です!

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はじめまして。「飲食業界で独立を考える料理人に送る、10のメッセージ」のコラムを担当する木下誠吾です。

最近まで、大阪市西区にある、「インコントロ」というイタリアンバールで料理長をしていました。

15年間、ずっと料理をしてきましたが、イタリアンワインの卸会社で、営業として勤務しています。
目標は、3年後にバールを開業すること。
それに向けて、一旦料理人をはなれ、自分を成長させたいと思っています。

今回、「クックビズ総研」を運営するクックビズ株式会社とご縁があり、料理人としてこれまで学んだことや経験談をコラムにすることになりました。
執筆は初めてで慣れないですが、等身大の目線から、20代・30代前半の料理人の方に参考にしていただける内容をお届けしたいと思っています!

初回のテーマは、「失敗」について。
僕はこれまで、船上料理人として初めて就職して、インコントロの料理長になるまで、15年間、料理人人生を歩んできました。
たくさんの失敗をしてきましたが、その中で学んだことがあります。

1.したっぱのうちに失敗すると先輩からアドバイスをもらえる

20歳の頃、イタリア料理店で働き始めました。調理見習いがまず任せられるのは、掃除や準備などの作業ですよね。

そして、やっと任せてもらえた仕事がデザート作りだったんです。
デザート作りは厳密にレシピが決まっている。
それに、オーブンに入れる時間や温度も、少し違うだけで出来上がりがまったく違ってしまいます。

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レシピどおりに作っているはずなのに、なかなかうまくいかない。
休憩時間中に何度も練習しました。そして「こんなの出来ました!」と、先輩に食べてもらって感想や改善点を聞いて・・・の繰り返し。
最初はぜんぜんうまくいかず、先輩に怒られたりもしましたが、それを何度も繰り返して、レシピを自分のものにしていきました。
後で考えると、この経験は非常に大切だったと思います。

下っ端のうちに失敗したら、先輩や上司が指摘してくれますが、経験年数が増えてくると、周りも指摘をためらったりして、本音を言ってもらえないこともあります。

先輩にドンドン質問できるのは、見習いの特権。
この時期に、どれだけ先輩に質問して聞いて、実践してみて・・を繰り返したかで、数年後の能力が大きく変わってくると思います。

2.失敗して次どうするか考えることが大事

料理人がお店を持ったら、一番トップは自分です。
失敗はできないですし、予想外の出来事にも対応策を考えて立ち向かっていかないといけません。

私自身、23歳のとき働いていたお店で、それまで自分の立場は一番下だったのに、先輩が一人、二人と抜けていき、入店3年目で、気づけば自分が調理場のトップ・・・になってしまったことがありました。

それまでろくにメイン料理など作ったこともなかったのに、いきなり料理長になるのですから、毎日失敗ばかり。
塩加減を間違えてしまったり、メニュー構成がうまくいかなかったり。けれどその失敗のおかげで、とにかく必死に、勉強しましたね。
この頃身についた料理の基本が、自分の土台になっています。

失敗したとき、「どうして?なぜ?」を繰り返して、改善点を考える。そして次にその失敗を活かして行動する。
失敗してそのままにするのではなく、次どうするかを考えることで対応力が磨かれると思います。

3.失敗したら経験値が高まる

とあるお客様からの紹介で、リストランテの料理長になった時のこと。
オーナーから打診があり、新店をオープンさせるので、既存店の経営を委託したいと言われたんです。

経営までかかわれるチャンスだ!
ということでもちろん快諾しました。

店長兼料理長として、一時は1人で料理や接客、店舗経営までほぼ全てを行なっていました。
原価管理などはしていたのですが、経営全体をみることがこんなに難しいこととは。
1年弱程度でそのお店は閉店してしまったのですが、それまで料理だけをしていた自分からすれば、店舗経営に携わったことで、これまで以上に視野が広がりました。

失敗することで、人間力は高まる。

これまで15年の料理人人生で、料理人に大切なのは、調理技術以上に、人間性なのではないかと考えています。
インコントロでの勤務時、常連さんのお客さんがたくさん来てくださいました。
なんでだろう?と考えたとき、料理ではなく、私の人となりを好きになってご来店いただけていることが分かりました。

そこまで料理をオーダーされず、お酒を飲みながら会話を楽しんでいるお客様が多いですから。
料理にお金を払っているのではなく、サービスや雰囲気に対して価値を感じてくださっていたのです。

他店を見ていてもそう。料理がおいしいのは当たり前です。
スタッフの人間性でお客様は判断しているのだと思います。

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人間性を磨くのに最適なのが、何より失敗経験。失敗をそのままにせず、その改善策を考え、行動にしてみる。
そしてまた失敗したら、改善策を考え、行動する。
失敗→改善→行動のプロセスを繰り返す中で、人間力を磨いていくこと。
独立を目指す料理人であれば、大切なことだと思います。

この連載では、私の体験談を交えながら、独立を目指す料理人の方へ、等身大のメッセージがお届けできればと思っております。
次回は、11月22日(金曜)更新ですので、よろしければまたお付き合いください!

【連載企画/飲食業界で、独立を考える料理人に送る、10のメッセージ】更新されました!
第2回 オープンキッチンでフライパンばかり見ていると損をする

<コラム作者紹介>木下誠吾

香川県出身。調理師専門学校卒業後、船上料理人として就職。その後イタリア料理店で、23歳にして料理長を任せられる。レストラン新店立ち上げ、店長兼料理長としてレストラン経営を任せられるも、あえなく閉店。その後、ダイニングバーへ転職し、2010年から「オステリア エ バール インコントロ」の料理長としてオープンから関わり、お店は界隈の人気店として定着。2013年からはイタリアンワイン卸会社へ転職。3年後の独立目指し、今はワインの知識と自身の人間性を高めるべく、毎日仕事に取り組んでいる。家庭では、バリバリ働く妻と4歳の娘がいる。

【連載企画/飲食業界で、独立を考える料理人に送る、10のメッセージ】

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