接客のイメージ写真。カフェの店内で、白いシャツを着た女性スタッフが、黒いトレンチ(お盆)を持ってこちらを向いて笑っている。

飲食店のバッシングは、店舗の回転率を向上させ、顧客満足度向上にも役立つ重要な要素です。効率良く行うには、バッシングのタイミングを意識し、お客様の食事を妨げないように注意しなければなりません。

今回は、飲食店のバッシングとはどのようなものなのか、最適なタイミングやコツについて紹介します。

新人教育の際にもお役立てください。

バッシングとは?

飲食店で行われるバッシングとは、食事が済んだ席の片付けや清掃作業を行うことを指します。

具体的には皿の回収を行ってテーブルを拭き、メニューや調味料を整列する業務で、次の顧客を迎えるために必要な作業です。

テーブルが空いた後だけでなく、食事中にも適宜バッシングを行うことで店の回転率を上げることができます。

結果的に回転効率がアップするため、収益向上に加えて待ち時間の短縮や、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

バッシングには、「中間バッシング」と「最終バッシング」の2種類あり、双方のバッシングを組わせて効率を上げることが重要です。

まずは、中間バッシングと最終バッシングの違いと、どのようにして行うのかというポイントについて紹介します。

ちなみにクックビズでは、下記のページでもバッシングについて解説しております。

クックビズの採用ノウハウ:バッシングとは? – 飲食店の基本

中間バッシング

中間バッシングとは、お客様が席についている状態で行うバッシングのことです。

回転率を上げるためだけでなく、食事が済んで空いた皿やグラスなどを下げ、テーブル上のスペースを広くして食事を快適に行えるようにする意図もあります。

食事が済んでいる状態なのであれば「お下げいたします」と一言声をかけることで、スムーズに中間バッシングを行うことができます。

判断に迷う場合には「お下げしてもよろしいでしょうか」と尋ねて、食事が済んでいるか、下げても問題ないかを確認しましょう。

お客様の意思を尊重し、食事が済んでいないものを無理に下げようとしないことが大切です。

最終バッシング

最終バッシングは、お客様が退店した後に行うバッシングのことを指します。

特に、ウェイティングが発生している状況の際には、スムーズに最終バッシングを行って席の準備を整えることが重要です。

最終バッシングを効率良く行うことができれば、次のお客様をスムーズに案内できるため、従業員間で役割を分担して取り掛かるなどの工夫が必要になります。

また、最終バッシングの際には片付けだけでなく、テーブルのセッティングや補充品の有無なども合わせて確認する形が一般的です。

中間バッシングのコツ

イメージ:カフェの店内で、白いシャツの男性スタッフが女性客にコーヒーカップをお出しする風景

バッシングの効率をアップさせるには、中間バッシングを行って最終バッシングの作業を最小限に抑える必要があります。

では、具体的に中間バッシングをどのように行えば、効率良く作業を終えることができるのでしょうか。

ここからは、中間バッシングを行う際のコツや注意点について紹介します。

また、下記のページでも約30秒程度の動画で中間バッシングについて紹介しております。

クックビズの採用ノウハウ:中間バッシングとは? – 飲食店の基本

タイミングに注意

中間バッシングにおいて注意しなければならないのが、声をかけるタイミングです。頻繁に中間バッシングを行っていると、お客様が「急かされている」と感じてしまう可能性があります。

お客様自身が空いた食器類をテーブルの端に集めているなど、食事が一区切りついたタイミングで声をかけることで、お客様の食事を中断する回数を最小限に抑えることができます。

また、追加オーダーなどを受ける際に同時に中間バッシングを行うのも良いでしょう。ドリンクが減っているタイミングなどで追加オーダーを尋ね、同時に中間バッシングを行う方法もあります。

あくまでも食事の邪魔をしないことを意識し、最適なタイミングを伺いながらスムーズに中間バッシングを行うように心がけることが大切です。

頼まれやすいものを優先的に下げる

中間バッシングでは、特に注文が入る回数の多い食器やグラス類を優先して下げることもポイントのひとつです。

たとえば、居酒屋では飲み物の注文が多く、繁忙期にはグラスが不足してしまうことも少なくありません。

中間バッシングで適宜グラスを回収して洗い場に回すことで、食器やグラスの不足を未然に防ぐことができます。

追加オーダーが入った際に、グラスや食器不足でお客様を待たせてしまう状況を回避できるようになるため、回転率アップにもつながるでしょう。

お客様に汚れが付かないように

中間バッシングを行う際に、お客様に汚れが付かないように配慮することも大切です。

不手際で食器に残ったソース類などが衣服に付着しないように、取りづらい位置にある場合はお客様にお願いする方法もあります。

「そちらよろしければお下げいたします」などの声掛けを行えば、お客様から手渡してもらえるでしょう。

お客様に手を借りる場合は必ずお礼を伝え、話し込んでいるタイミングで声をかけないように配慮する必要があります。

最終バッシングのコツ

イメージ:カフェでの会計風景。白いシャツの女性スタッフが、カップル客の女性におつりを渡す

中間バッシングだけでなく、最終バッシングにもいくつかのコツや注意点を意識する必要があります。

では、どのような点を意識しながら最終バッシングを行えば良いのでしょうか。ここからは、中間バッシングとの違いや最終バッシングのコツ・注意点について紹介します。

お客様の忘れ物がないかチェック

最終バッシングでは、次のお客様を迎えられるように席を整える意図があります。最終バッシングの際に、前に着席していたお客様の忘れ物がないかをチェックすることも重要なポイントのひとつです。

お客様が退店した直後であれば、忘れ物に気付いた際に追いかけて届けることができるため、可能な限り早い段階で席の周囲をチェックしましょう。

また、忘れ物を届けられなかった場合には「いつ何時に何番テーブルの忘れ物だったか」という点を添えてメモしておき、問い合わせに対応できるようにしておく必要があります。

汚れは入念に掃除する

テーブルに汚れが残っていると、お客様に不快な思いをさせてしまいます。お客様に気持ちよくお食事していただくためにも、汚れは念入りに掃除を行いましょう。

特に、テーブルの上だけでなく座席やテーブルの下などのチェックも忘れずに行う必要があります。

座席周辺が汚れていた場合、お客様の衣類が汚れる恐れがある上に、テーブル下に落ちた食材などを踏んで履物を汚してしまう可能性があるためです。

お客様に安心して食事を楽しんでもらうためにも、最終バッシングの際に汚れが残っていないかをチェックするように意識しましょう。

バッシング時に使えるテクニック

イメージ写真。白いキャップを被ったショートカットの女性スタッフ。食器洗浄機に洗浄する食器をセットしている様子

バッシングを効率良く行うためには、いくつかのテクニックを活用するのも効果的です。

特に、テーブルと洗い場を往復する回数を減らすことが大切で、一度にどれだけ食器やグラスを運べるかという点はバッシングにかかる時間を左右します。

最初にグラスだけをすべて集めて下げたうえで、可能な範囲で食器類とシルバー(カトラリー)を重ねて運ぶ方法がおすすめです。

食器やカトラリーを運ぶ際には、以下の方法であれば効率よくバッシングを行うことができます。

  1. 掌で大きめのお皿を1枚持つ
  2. 手首と腕の部分でもう1枚持つ
  3. 2のお皿の上に他のお皿を重ねる
  4. シルバーは1のお皿にのせる(ナイフを横にして隙間に差し込むように入れていく)

また、トレンチ(お盆)を活用すれば、さらに多くの食器類を効率よく下げることができるので、店舗にある場合は積極的に活用しましょう。

最終バッシングを複数人で行う場合には「グラスを下げる」「皿をまとめる」「洗い場に運ぶ」「テーブルを拭いてセッティングを行う」などのように役割分担を行うと効率良く進めることができます。

編集後記

飲食店においてバッシング作業は、お店全体の回転率を左右する重要なものです。

また、ホールで働く従業員一人ひとりが意識して効率良くバッシングを行えば、最小限の人数で業務を行うことができます。接客の質を向上させることにもつながるでしょう。

「ククロ」の「1分de学び」では、バッシング以外にも、ビジネスの基本や社会人としてのマナーなどを学べます。お客様の満足度をより高めるためにも、日々の接客に活かしてみてはいかがでしょうか。