
今回、外食企業の株式会社エー・ピーホールディングスが運営する「しゃぶしゃぶつかだ 渋谷スクランブルスクエア店」のマネージャー・梅沢怜加さんにインタビュー。入社して3年9ヶ月。シングルマザーとして、高校1年生と中学2年生の2人のお子さんを育てながら活躍中です。
入社当初はパートアルバイトでしたが、半月ほどで契約社員になり、2024年10月に正社員となったタイミングでマネージャー職へ。
「食の新しい価値」を追求し、お客様に「感動」を届けたいという強い想いをもつ梅沢さんに、マネージャーとしての仕事の面白さややりがい、後輩たちへの想いなどお聞きしてきました。
マネージャーになって、目下、数値管理を徹底して習得中
──スピーディーにマネージャー職に就かれたそうですね。お仕事内容を教えてください
契約社員の時に、「しゃぶしゃぶつかだ 渋谷スクランブルスクエア店」で勤務し、大阪の店舗や、渋谷と恵比寿の系列店など複数の店舗を統括させていただいていましたが、2025年4月から正式にマネージャー職に就きました。
これまでは、主に「インナーブランド」の構築業務として、いかにスタッフの意識を高めていくかということに注力してきました。
今は数値管理など、これまで携わったことのあまりない業務も多くなってきましたね。
正直なところ数値管理の部分はあまり得意ではないのですが、今は、数字が羅列された表を見ながら、利益がどのように出てくるのか、どの数字が変動したらどうなるのかといったことを勉強している最中です。
──現場にも入るのですか?
現場作業も行います。基本的にはどの店舗にも入り、仕組み作りや本部と現場の間に立つことを意識しながら業務に取り組んでいます。
「裏の山の木の子」も私が担当していて、こちらは火鍋ときのこをメインにしたお店です。大阪にももう1店舗あり、オープン時には私も行きましたが、最近はなかなか行く機会がありません。
──子育てしながらでは大変ですね
大阪へ出張する際は、協力体制を築き、子どもたちと一時離れることになるので寂しい気持ちもありますが、私が一人で子どもたちを育てていることを理解してくれているので本当に感謝しています。
自分で考えて動けるように─スタッフの成長を促すマネージャーの役割
──スタッフとのコミュニケーションはいかがですか。大切にしていることは?
信頼関係を築くことを大切にしています。どんなに「こうしたい」「お店はこういうところを目指している」と伝えても、信頼関係がなければスタッフは耳を傾けてくれないと思います。あとは、指示だけでなく、まず自分がやってみせることを重視しています。信頼関係を築くためには、自分の行動と言動、つまり言っていることとやっていることを一致させることが大事だと感じます。
また、自分から積極的にコミュニケーションをとりにいくというのが苦手な人も多いので、私から積極的に仕事以外の他愛もない話も交えながら話すようにしています。
そのうち「お店でこんなことで困っているんです」「こんなことが不安なので相談に乗ってほしい」といった形で打ち明けてくれることもありますね。
私は感情を溜め込むのが苦手で、すぐに口に出してしまうタイプです。思っていることは、聞いてもらったり、受け止めてもらったりして解決することも多いので、愚痴というと言い方が悪いですが、お互いに意見を言い合える関係性ができているかも大事にしています。なかなか本音を出せない人には個別に声をかけたりもします。
ただ、これらは私一人ができていても意味がありません。リーダー格になるスタッフたちが、私と同じように周りと信頼関係を築き、コミュニケーションをとれるようになることを目指しています。
なかなか全員で時間をとることが難しいのが課題ですが、仕込みの時間などを使いながら、スタッフとの何気ないコミュニケーションをとるようにしています。
──コミュニケーション能力が高くていらっしゃるんですね。ご自身の強みはどこにあるとお考えですか
正直なところ、あまり自分の強みを自覚していませんが、改めて振り返ると、自分の強みとしては「完璧でありたい」という意思が強いのかもしれません。完璧というより、できないことがあるのが嫌なんです。
だからこそこの立場になって、数字の弱さが露呈すると、そればかりに目がいってしまいます(苦笑)。今まさに自分と向き合っているところです。
──スタッフの育成において、特に力を入れていることはなんでしょう
お店として、カンパニーとして目指している目標があります。それは数字だけでなく、ブランディングに注力することです。
これまでは、あまり取り組んでこなかったのですが、今は担当する店舗のスタッフみんなに“ブランディング”の本質的な意味から理解してもらうことを徹底しています。
「これをやって、あれをやって」と指示するのではなく、なぜそれをやるのか、言われたからやるのではなく、考えながら行動できるように、まず店長や料理長といった上の立場の者にしっかりと理解してもらいます。
そして次に、店長・料理長から、契約社員、そしてアルバイトスタッフへと、この考え方を浸透させていくことを意識しています。
そうでないと、「こう言われたからこうする」となってしまい、臨機応変な対応が自分で考えられなくなってしまいます。社員だけでなく、アルバイトのスタッフも含めて全員がこのことを理解できれば、一人ひとりのスキルが向上し、それが結果的にお客様の満足度につながり、売上にも繋がっていくと信じています。
食が織りなす非日常の体験をお客様へ。食べた人の感動と笑顔がご褒美。
──梅沢さんが思う、飲食業界の魅力はなんですか
飲食店には「目的型」と「体験型」の店があると考えています。目的型というのは、ただお腹を満たすためだけの食事です。しかし、私たちが提供しているのは「体験型」です。
商品の価格だけでなく、サービスや空間といった付加価値を含めて、単にお腹を満たすだけでなく、食事を通して非現実的な空間を楽しんでいただくことを目指しています。
今、私たちのカンパニーが目指しているのは、「食の新しい価値」です。今はあらゆるものが既に出尽くしていると言われる中で、例えばハンバーグ一つでも、少し見方を変えたり、角度を変えたりすることで新しい価値が生まれ、それが世界基準になる可能性もあります。
──お客様にもサプライズがあり、ワクワク感がありますね
当社では、生産者さんとの繋がりを大事にしており、当社の旗艦ブランドである居酒屋の「塚田農場」であれば地鶏で宮崎と繋がっていたり、「四十八漁業」であれば漁師さんと繋がりがあります。漁師さんが魚を獲る時からもう料理が始まっている、といったストーリーがあるんですよ。
私自身も、入社当初はあまり生産者さんとの繋がりを意識していませんでしたが、先ほどお伝えした大阪店のオープン時に、仕入れ先の鹿児島に産地研修に行ったんです。実際に現地に行ってみて、どれだけこだわって牛を育てているのかを知りました。そこで得た学びは、そのままお客様に伝えられます。それはとても大きな魅力だし、ブランディングにつながっていると感じています。
──『また来たい』と思ってもらうにはどうしたらいいでしょうか
私は、お客様の満足度が100%ではリピートに繋がらないと考えています。
「期待と現実のギャップ」。
これで決まるということを全スタッフに伝えています。
最近はSNSで当店が話題になり、海外のお客様も調べて来てくださることがあります。期待値が高い分、現実がそれに伴っていないと、ギャップを感じて「思ったほど良くなかったな」と不満につながりかねません。
そして、期待と現実がイコールだった場合は「良かったね」という満足で終わってしまい、これでは「また絶対リピートしたい」とまでは思ってもらえませんし、口コミも書いてもらえません。
私は、お客様の期待を上回って初めて感動するものだと思っています。
だからこそ、スタッフ全員でそこを目指すことを伝えています。そのために何ができるのか。スタッフそれぞれが意識を持ってお客様を迎えるようにと、まだまだ成長途中ではありますが、日々みんなで取り組んでいます。
誰もが笑顔で働ける居心地のいい職場をつくり、未来を創造する
──スタッフのみなさんの笑顔が印象的です。働きやすい環境作りで大切にしていることはありますか?
飲食業界は、拘束時間が長い、といった印象が強いですよね。しかし、私たちは人をしっかり揃え、仕組みを作ることで、「この人しかできない仕事」を少なくすることを実践してきました。
実際に私には子どもがいますし、料理長も子どものいるパパですが、土日のどちらかを休んだり、半休を取ったりといったことができるようになっています。有給休暇もしっかり取得できますし、よほどのことがない限り希望休が取れないということもありません。
「社員しかできない仕事をなくす」
「リーダー格になる人材を育てることに力を入れる」
売上も利益も出しているからこそ、働き方の改善に目を向けることができているのだと思います。みんなの努力の結果です。
──女性のスタッフもおおぜい活躍していますね
そうですね。だからこそ私のような子育て中のママがいることで、自分らしくキャリアを築いていけるといった前例を作っていきたいと思っています。
私自身も、正社員になるのには勇気がいりました。やはり拘束時間が長くなったり、責任が増えるのではないかという不安があり、契約社員で働いていたんです。おそらく、みんなさまざまな事情があって、今の雇用形態を選択しているのだと思います。
だから、今、契約社員の方々には、
「みんな家庭の事情や自分の生活スタイルと両立するために、雇用形態を選んでいるだけだから、契約社員だから責任が少ないとか、正社員だからこれをやらなければならない、ということはない」と伝えています。
正社員でも何もしなければ評価されないし、契約社員でもすごく頑張ってくれている人はしっかり評価しています。
これからも、いろいろな立場の方が働きやすく、私生活と両立できるような仕組みを作っていきたいと思っています。
──ストレス解消や休日のリフレッシュ法はありますか?
今は子どもたちと過ごす時間が一番のリフレッシュです。もちろんイライラすることもありますが、もう対等に話せる年齢なので、私の愚痴も聞いてくれます(笑)。
子どもたちも大きくなってくると、それぞれ忙しくなってきて、なかなか家族で集まる時間もなくなってきました。先日は、受験も終わったので、家族で台湾に行ってきました。楽しかったです。
──株式会社エー・ピーホールディングスで働く魅力はなんですか
「すごくチャレンジできるところ」だと感じています。働くことに対して夢があるというか、ただ仕事をしているだけ、お金を稼ぐためだけにやっているのではなく、自分の気持ちさえあれば、どんどん活躍できる会社だと思います。
社員研修や産地研修があったり、私はまだ経験がありませんが、ソムリエやSAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)といった資格取得も会社がサポートしてくれます。
食に関わることへの想いは、会社全体で非常に強いので、ただ料理を提供するだけでなく、本当に食材を作るところから、みんなが一体となってお客様に届けている、というのは、この会社ならではの魅力だと感じています。
──今後の目標はなんでしょう
デイリーの目標は「私から始まる笑顔の伝染」です。スタッフが笑顔で働いている、笑顔でサービスできるということは、必然的にお客様がその笑顔を受け取ると思うんです。
スタッフみんながニコニコ働いていたら、お客様も楽しく食事できるでしょうし、そうなるとお客様の食事の時間が楽しくなり、お客様も笑顔になる。
そして、当店は商業施設の中にあり、通路からも店内が見えるようになっているので、お客様の笑顔で店内が溢れていると、きっと歩いている人たちも「あの店、気になるな」と思ってくれるはずです。そしてそれが伝播していくと思っています。
私自身も、自分が笑顔で働けていれば、きっと家でも笑顔でいられて、子どもたちも楽しく過ごせるでしょ。他のスタッフも同じです。みんなが笑顔になるために何をするか。それが私の目標かなと思っています。
それは労働環境の改善、売上アップ、時給や給料を上げることも含めて、みんなが笑顔でいられる未来を実現したいです。
編集後記
梅沢マネージャーのインタビューを通じて感じたのは、彼女の仕事に対する真摯な姿勢と、周囲へのあたたかい気遣いでした。
シングルマザーとして2人のお子さんを育てながら、飲食業界の最前線で多店舗をマネジメントするという責任ある立場を全うするその姿は、まさに現代を生きる女性のロールモデルのよう。
多忙だと、つい家庭での何気ない時間を削りがちになることも多いと思います。しかしお子さんと旅行を楽しむなど、日常の時間も大切にしていらっしゃるからこそ、梅沢さんの人生を愉しむ姿に、ハッピーと勇気が周囲に伝播していくんだろうなと感じた取材でした。







