求人情報サイト・リクナビに掲載された株式会社ヨドバシカメラの人事ブログが、今話題を集めています。
人事ブログとしては異例なほど注目されているのはなぜなのでしょうか?
クックビズ総研編集部が分析し、情報発信のツボを探ってみました。
目次
人事ブログの内容要約
入社後10日で退職を願い出た新入社員。
「この会社は自分に合わない。販売はアルバイトの延長のような仕事。続けていく気にならないし、自分に向かない」との理由で、辞めて公務員を目指すと言う。
採用担当者は引き留めることはしなかったが、働く幸せについての考えや、安易に職を変えることへの危惧を、ゲームやスポーツなどに置き換えて伝えた。
新卒採用サイトに掲載された内容としては、赤裸々・ぶっちゃけ・正直路線。
新卒採用サイトの目的は、就職先を探す学生に対して企業の魅力を伝え、「ここで働きたい!」と思わせること。
普通なら少しでも良く見せようと取り繕ったり、正しく伝えようとするあまり、面白みのないものになってしまったりしがちです。
この記事では、「新入社員が10日で辞めた」という、企業のイメージダウンにつながりかねないテーマを扱っています。
しかし、新入社員が辞めたいと言った事実と向き合い、どう対応したかを率直に伝える文章からは、書き手である採用担当者の真摯な想いや誠実な姿勢が伝わってきます。
気づいたら最後まで読んでいた、という人も多いのでは?
人柄のにじみ出るような等身大の語り口で、ネガティブな事実も正直に伝えていることが、新卒採用サイトの記事としては異色であり、多くの人の関心を引いたといえます。
「商品が売り文句で売れる時代ではなくなった」と言われる今、人材採用においても、企業の表層だけではなく本質を伝えることが必要になってきています。
⇒取り繕わない、等身大、人柄を感じさせる語り口で、本質を伝える
社会人なら誰しも共感する、仕事への姿勢を伝えている。
この記事に対しては、就職活動中の学生や新入社員から採用する側に近い社会人まで、幅広い層から反応があるようです。
それぞれの立場で、仕事に対する姿勢について考えさせられる内容なのでしょう。
【新入社員に対して】
- 入社する前にわかること。よく考えなかったの?
- たった10日間で合ってるかどうかわかるわけがない
- 親や周りに流されて入社したものの、入ってみたら違うと感じる。わかる気がする。
【採用担当者に対して】
- 自分の意見を押し付けず、親身になって助言している。
- 仕事とゲームを同一視しているのはどうかと思う。
- すぐ辞めるような人材を採用したことを反省するべきでは?
共感や否定的な意見など多種多様ですが、これだけ多くの反応を引き出したのは、志望者が減ることを危惧しながら、それでも学生に伝えずにはいられない書き手の強い想いが届いたからではないでしょうか。
その想いを受け止め、共感を覚えた読者は、感想を人に伝えたくなったり、他の人が読んでどう思うか知りたくなり、結果として多くの人に広まっていったのです。
⇒書き手の強い想いを込めると、共感が引き出しやすくなる
相手の興味に合わせた比喩で、わかりやすく伝えている。
採用担当者が考える仕事の楽しさややりがいを、相手の興味に合わせてゲームやスポーツに例えることで、より伝わりやすくなる。
情報は伝え方によって伝わりやすさが変わる、ということは、ブログでの情報発信だけでなく、職場での指示の出し方やコミュニケーション全般にも当てはまりそうです。
大阪を拠点に急成長を続ける「鉄板神社(株式会社寿幸)」の代表・田中寿幸氏も、「同じことを言っていても、言い方次第で、その効果は全然違ってきます」とおっしゃっています。
若いスタッフには、まず「好きなもんは何?」と聞きます。
たとえば「サッカーが好き」じゃなくても「あのミュージシャンが好き」だとか出てくると、それを例にして、「プロ意識を持て」という話をします。今の若い子も、そういう風に自分の身近なものに置き換えると、結構伝わりますよ。
引用:クックビズ総研「食のメンター」【鉄板神社(株式会社寿幸) 代表取締役 社長 田中 寿幸氏】
⇒ターゲットの興味に合わせた比喩で、より伝わりやすくなる
新卒採用サイトに掲載した記事が、この企業のより良い人材採用に直結するかどうかはわかりません。
しかし、読まれる・読ませる人事ブログとして話題に上ることにより、就職活動中の学生からの企業への注目度がアップしたり、さらにこれまでと違った魅力に気づいてもらえる可能性が広がります。
飲食店や外食企業の皆様の人材採用活動にも役立つヒントとして、ご参考いただければと思います。